【まくら】
殿のお目にとまった長屋のお鶴がお世継ぎを産み、兄の八五郎が殿に目通りを許されたのがきっかけで、武士に取り立てられるという噺。 別名「妾馬(まかうま)」。
江戸時代の日本には常時約三〇〇人の大名がいて、それが二七〇年間次々と変わってゆく。大名の結婚や世継ぎ対策について一般的なことはなかなかいえない。血のつながった息子がいなければ姻戚から養子をとることはよくあり、あまり血縁にこだわっていないと言えるだろう。それでも世継ぎ確保のためのシステムがあった。それが、正妻以外の侍妾を持つことである。
将軍の侍妾はふつう二~三名で、最大が家斉の二十一人である。が家斉の場合、同時期にいた侍妾は七~八名ぐらいだったという。そして世継ぎを生んだのは家光の母を除き、すべて侍妾であった。侍妾システムは、世継ぎ確保になくてはならないものなのだったのである。世継ぎを生んだ侍妾は「御部屋様」と称され、正妻に次ぐ扱いとなる。これは各大名家でもだいたい同じであったろう。
出典:TBS落語研究会
【あらすじ】
裏長屋に住んでいるが評判の器量良しの”お鶴”ちゃん、歳は十八孝行娘。たまたま御駕籠で通りかかった丸の内、赤井御門守が見初めて、城に上がるように依頼。200両の持参金を貰って奉公に上げたが、持ち付けない金を持った兄の大工”八五郎”は遊びほおけて家にも寄りつかない。お鶴は殿様のお手がついて懐妊。生まれたのがお世継ぎの男の子であったので、お鶴の方からお側室(へや)様と出世した。この慶事に八五郎は殿様に招かれお屋敷に伺う事になったが、何一つ無い。髪結い、銭湯の銭も大家さんに出して貰い、その上着物一式、羽織袴から褌 (したおび)まで借りて、着せて貰った。がさつ者だから言葉使いには気を付けろ、特に言葉の頭には「御」最後には「奉る」を付け、丁寧に話をしろと注意をされる。
赤井御門守の屋敷に着いて、重役の田中三太夫に付いて部屋に通された。言葉の行き違いで、どたまを下げろや、即答をぶてと言われ側頭をぶったり、殿様の言葉が分からずにいたり、丁寧すぎて自分の言っている事が分からず、無礼講で良いと言われた。屋敷中、符丁で話しているから分からないと、職人言葉で話し始めた。はらはらするのは三太夫さんだけ。ササは食べるかと言われ、酒の事とわかって所望すると、酒肴がどっさり出てきた。すっかりいい気持ちになって、改めて見ると殿様の隣にお鶴さんが着飾って座っていた。母親が喜んで踊っているし、初孫なのでおしめを洗ってやりたいが身分も違うのでそれもかなわない。と近況を話し、殿様にはお鶴をよろしくとお願い。お鶴には子供が出来たからと自惚れてはおけないと、心から話聞かせた。湿っぽくなったので、都々逸を一声聞かして、座を盛り上げた。
「おもしろい奴で有る。彼を抱えて使わせ。」鶴の一声で、八五郎出世というおめでたい話です。
出典:落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
不明
【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『女氏なくして玉の輿に乗る、男意気地なくして飴やおこしを売る』
『この酒を止めちゃ嫌だよ酔わしておくれ、まさか素面じゃいいにくい』
『三日月は痩せるはずだよありゃ病み(闇)あがり』
【語句豆辞典】
【赤井御門守】差しさわりがないようにと、落語家がな付けた大名の姓。
【物見櫓】大名の屋敷には、町の様子を見るための櫓または台が設けてあり、奥方や姫君は外出があまりできなかった、祭礼その他を見る時は、そこへ上がって見物した。なお、物見櫓のかわりに火の見櫓も利用した。
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【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・六代目 三遊亭圓生
・三代目 古今亭志ん朝
【落語豆知識】
【お店噺(おたなばなし)】商家が舞台の噺。
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殿のお目にとまった長屋のお鶴がお世継ぎを産み、兄の八五郎が殿に目通りを許されたのがきっかけで、武士に取り立てられるという噺。 別名「妾馬(まかうま)」。
江戸時代の日本には常時約三〇〇人の大名がいて、それが二七〇年間次々と変わってゆく。大名の結婚や世継ぎ対策について一般的なことはなかなかいえない。血のつながった息子がいなければ姻戚から養子をとることはよくあり、あまり血縁にこだわっていないと言えるだろう。それでも世継ぎ確保のためのシステムがあった。それが、正妻以外の侍妾を持つことである。
将軍の侍妾はふつう二~三名で、最大が家斉の二十一人である。が家斉の場合、同時期にいた侍妾は七~八名ぐらいだったという。そして世継ぎを生んだのは家光の母を除き、すべて侍妾であった。侍妾システムは、世継ぎ確保になくてはならないものなのだったのである。世継ぎを生んだ侍妾は「御部屋様」と称され、正妻に次ぐ扱いとなる。これは各大名家でもだいたい同じであったろう。
出典:TBS落語研究会
【あらすじ】
裏長屋に住んでいるが評判の器量良しの”お鶴”ちゃん、歳は十八孝行娘。たまたま御駕籠で通りかかった丸の内、赤井御門守が見初めて、城に上がるように依頼。200両の持参金を貰って奉公に上げたが、持ち付けない金を持った兄の大工”八五郎”は遊びほおけて家にも寄りつかない。お鶴は殿様のお手がついて懐妊。生まれたのがお世継ぎの男の子であったので、お鶴の方からお側室(へや)様と出世した。この慶事に八五郎は殿様に招かれお屋敷に伺う事になったが、何一つ無い。髪結い、銭湯の銭も大家さんに出して貰い、その上着物一式、羽織袴から褌 (したおび)まで借りて、着せて貰った。がさつ者だから言葉使いには気を付けろ、特に言葉の頭には「御」最後には「奉る」を付け、丁寧に話をしろと注意をされる。
赤井御門守の屋敷に着いて、重役の田中三太夫に付いて部屋に通された。言葉の行き違いで、どたまを下げろや、即答をぶてと言われ側頭をぶったり、殿様の言葉が分からずにいたり、丁寧すぎて自分の言っている事が分からず、無礼講で良いと言われた。屋敷中、符丁で話しているから分からないと、職人言葉で話し始めた。はらはらするのは三太夫さんだけ。ササは食べるかと言われ、酒の事とわかって所望すると、酒肴がどっさり出てきた。すっかりいい気持ちになって、改めて見ると殿様の隣にお鶴さんが着飾って座っていた。母親が喜んで踊っているし、初孫なのでおしめを洗ってやりたいが身分も違うのでそれもかなわない。と近況を話し、殿様にはお鶴をよろしくとお願い。お鶴には子供が出来たからと自惚れてはおけないと、心から話聞かせた。湿っぽくなったので、都々逸を一声聞かして、座を盛り上げた。
「おもしろい奴で有る。彼を抱えて使わせ。」鶴の一声で、八五郎出世というおめでたい話です。
出典:落語の舞台を歩く
【オチ・サゲ】
不明
【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『女氏なくして玉の輿に乗る、男意気地なくして飴やおこしを売る』
『この酒を止めちゃ嫌だよ酔わしておくれ、まさか素面じゃいいにくい』
『三日月は痩せるはずだよありゃ病み(闇)あがり』
【語句豆辞典】
【赤井御門守】差しさわりがないようにと、落語家がな付けた大名の姓。
【物見櫓】大名の屋敷には、町の様子を見るための櫓または台が設けてあり、奥方や姫君は外出があまりできなかった、祭礼その他を見る時は、そこへ上がって見物した。なお、物見櫓のかわりに火の見櫓も利用した。
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【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・六代目 三遊亭圓生
・三代目 古今亭志ん朝
【落語豆知識】
【お店噺(おたなばなし)】商家が舞台の噺。
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