
【原文】
子張問、十世可知也、子曰、殷因於夏禮、所損益可知也、周因於殷禮、所損益可知也、其或繼周者、雖百世亦可知也
【読み下し】
子張問う、十世(じゅっせい)知るべきや。子の曰わく、殷は夏の礼に因る、損益する所知るべきなり。周は殷の礼に因る、損益する所知るべきなり。其れ或は周を継ぐ者は、百世と雖(いえど)も知るべきなり。
【通釈】
子張が「十代さきの王朝のことが分かりましょうか」とおたずねした。先生はいわれた、「殷では[その前の王朝]夏の諸制度を受け継いでいて、廃止したり加えたりしたあとがよく分かる。周でも殷の諸制度を受け継いでいて、廃止したり加えたりしたあとがよく分かる。[だから]もし周のあとを継ぐものがあれば、たとえ百代さきまででも分かるわけだ。」
【English】
Tsze-chang asked whether the affairs of ten ages after could be known.
Confucius said, "The Yin dynasty followed the regulations of the Hsia: wherein it took from or added to them may be known. The Chau dynasty has followed the regulations of Yin: wherein it took from or added to them may be known. Some other may follow the Chau, but though it should be at the distance of a hundred ages, its affairs may be known."
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。