【一口紹介】
◆内容紹介◆
劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。
将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。
現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。
後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫太。
或る日彼の生活に変化が訪れたが…。こんな生活とも云えぬような生活は、一体いつまで続くのであろうか―。
昭和の終わりの青春に渦巻く孤独と窮乏、労働と因業を渾身の筆で描き尽くす表題作と「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を収録。
第144回芥川賞受賞。
◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
西村/賢太
1967(昭和42)年7月、東京都江戸川区生れ。中卒。2007(平成19)年『暗渠の宿』で野間文芸新人賞を受賞。『苦役列車』で第144回(平成22年度下半期)芥川賞受賞。
【読んだ理由】
芥川賞作品。
【印象に残った一行】
小学五年時に父親が連続猥褻犯として捕まり、好奇半分の報道で夜逃げに追い込まれたときに、もう勝負はついてしまっていたのである。。何を努力しようと、性犯罪加害者の倅である事実は消えはしない。どう振る舞ったところで疎に事実の前には就職先なぞ限られ用紙、まとも女は逃げてゆく。加害者家族であったが故の罪なき罰として、すでに三十余年前に、十二歳にして人生は終わっているのである。
【コメント】
私小説。作者の著作ははじめて読んだが、これほどインパクトの強い私小説ははじめてだ。