
【漢文】
子張問崇徳辨惑、子曰、主忠信徒義、崇徳也、愛之欲其生、惡之欲其死、既欲其生、叉欲其死、是惑也、誠不以富、亦祇以異。
【書き下し文】
哀子張(しちょう)、徳を崇(たか)くし惑(まど)いを弁(べん)ぜんことを問う。子曰わく、忠信(ちゅうしん)を主として義に徒(うつ)るは、徳を崇くするなり。これを愛しては其(そ)の生を欲し、これを悪(にく)みては其の死を欲す。既に其の生を欲して、又(ま)た其の死を欲するは、是(これ)惑いなり。
【通釈】
子張(しちょう)が徳を高めて惑いを断ち切るにはどうしたら良いか尋ねました。孔子は、
「真心と誠実さに重きをおいて正しく行動すれば徳を高めることができる。人は愛する人の生を望み、憎い人間の死を望むのが普通だ。それなのに同じ人間の生を願ったり死を願ったりする、この心の動きこそが惑いなのだ。」
と答えられました。
【English】
Zi Zang asked how to improve one's virtue and how to clear puzzlement away. Confucius replied, "If you value sincerity and honesty, then you act rightly, you can improve your virtue. They want him to live when they love him, they want him to die when they hate him. If you want the same person to live or to die according to the time and circumstances, that is exactly puzzlement."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。