日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第四十七段

2020年05月12日 | 徒然草を読む


【原文】  
或人、清水へ参りけるに、老いたる尼の行き連れたりけるが、道すがら、「くさめくさめ」と言ひもて行きければ、「尼御前、何事をかくはのたまふぞ」と問ひけれども、応へもせず、なほ言ひ止やまざりけるを、度々問はれて、うち腹立ちて「やゝ。鼻ひたる時、かくまじなはねば死ぬるなりと申せば、養君の、比叡山に児にておはしますが、たゞ今もや鼻ひ給はんと思へば、かく申すぞかし」と言ひけり。

有り難き志なりけんかし。

【現代語訳】
ある人が清水寺に、お詣りに出かけた。一緒についてきた年寄りの尼さんが道すがら、「くさめ、くさめ」と言い続けてやめない。「婆さんや、何をそんなにのたまわっているのだ」と尋ねても、老いた尼さんは返事もせず、気がふれたままだ。しつこく尋ねられると、老いた尼さんも逆上して、「ええい、うるさい。答えるのも面倒くさい。くしゃみをしたときに、このまじないをしなければ、死んでしまうと言うではないか。あたしが世話した坊ちゃまは賢くて、比叡山で勉強しているんだ。坊ちゃまが、今くしゃみをしたかも知れないと思うと気が気でないから、こうやってまじないをしているのだ」と言った。

殊勝なまでの心入れをする変人がいたもんだ。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2020/05/12)

2020年05月12日 | Daily Vocabulary
25321.track(追跡する、監視する)to search for a person or animal by following the marks they leave behind them on the ground, their smell etc 
The GPS function on his daughter's phone let him track her movements.
25322.infringe on to do something that is against a law or someone’s legal rights 
There's concern about how this could infringe on people's privacy
25323.redundant(余分の、冗長な、冗語の、余剰とされた)British English if you are redundant, your employer no longer has a job for you 
Businesses are closing and making people redundant. 
25324.flip-flop (サンダル)
Dressing in shorts and a t-shirt or a sundress and flip-flop is too casual
25325.snobbery (上流気取り、俗物根性)behaviour or attitudes which show that you think you are better than other people, because you belong to a higher social class or know much more than they do – used to show disapproval   
I took it as a sign of snobbery

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