日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第八十二段

2021年01月12日 | 徒然草を読む


【原文】  
 「羅の表紙は、疾く損ずるがわびしき」と人の言ひしに、頓阿が、「羅は上下かみしもはづれ、螺鈿の軸は貝落ちて後こそ、いみじけれ」と申し侍りしこそ、心まさりして覚えしか。一部とある草子などの、同じやうにもあらぬを見にくしと言へど、弘融僧都が、「物を必ず一具に調へんとするは、つたなき者のする事なり。不具なるこそよけれ」と言ひしも、いみじく覚おぼえしなり。

「すべて、何も皆、事のとゝのほりたるは、あしき事なり。し残したるをさて打ち置きたるは、面白く、生き延ぶるわざなり。内裏造らるゝにも、必ず、作り果てぬ所を残す事なり」と、或人申し侍りしなり。先賢の作れる内外の文にも、章段の欠けたる事のみこそ侍れ。

【現代語訳】
「薄い表紙の巻物は、すぐに壊れるから困る」と誰かが言った際に、頓阿が、「巻物は上下がボロボロになって軸の飾りが落ちると風格が出る」と言ったのが立派で、思わず見上げてしまった。また、全集や図鑑などが同じ体裁でないのは、「みっともない事だ」と、よく言われるが、弘融僧都が「何でも全部の物を揃えるのはアホのすることだ。揃っていない方が慎み深い」と言ったのには感動を覚えた。

「何事も完璧に仕上げるのは、かえって良くない。手を付けていない部分を有りの儘にしておく方が、面白く、可能性も見出せる。皇居の改築の際も必ず造り残しをする」と誰かも言っていた。昔の偉人が執筆した文献にも文章が脱落した部分が結構ある。
 
◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2021/01/12)

2021年01月12日 | Daily Vocabulary
26541.freach for the stars(高い価値、目標達成に困難な目標に手を伸ばすこと)
People say I’m dreamer but I will keep reach for the stars
26542.Beyond one 's budget(予算オーバー)
I've heard a rumor that he bought a car that was way beyond his budget.
26543.porridge(お粥)a soft food made of cereal or meal boiled in water or milk until thick 
Today we7re having ""Seven Herbs porridge". 
26544.Put someone on the spot(難しい質問をして人を困らせる) to put someone in a difficult situation which they cannot avoid, for example by making them answer awkward questions 
My dad asked my girlfriend and I if we were planning on getting married in front of the whole family. He really put us on the spot.
26545.on the spot(即座に、現場で、困った立場に、責任ある立場に) things are done at the place that you are in at the time that you are there 
The surveyor will use a lap-top computer to give on the spot advice. 

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