その山崎監督が脚本、監督、VFXを一人でやったこの映画は、原作は作家の百田尚樹ですが、映画は原作をヒントに紡いだ「脚本家が描くある九州男児の物語」が
スクリーン上に展開されます。監督自ら思い通りにVFXの技術を駆使した部分と、実写部分の統合に何の違和感も与えないのは映画『ALWAYS 三丁目の夕日』と同じです。
映画のオープニングシーンは凄まじい。これほど米軍の焼夷弾が日本の民間人の住宅地を完璧に絨毯爆撃で襲い、民間人を殺戮していく場面を生々しく
描いた映画はなかったと思います。山崎監督は彼の持つ技術をここに結集しているなと思いました。このファーストシーンを見ることが出来ただけでも、
私は今回映画館に足を運んでよかったと思いました。
山崎貴という日本人が持つ、戦争に負けた祖国、今も従属国状態の祖国への思いがこの映画から伝わってきます。彼の祖国愛が随所にほとばしるのがこの映画です。
関西出身の岡田准一と国村隼が対峙する場面が多く、国村隼の長年のファンにはとっては嬉しい映画ですし、門司で開業したから多くの登場人物が九州弁を使うのは、
九州若松の小学校時代に九州弁ばつこうとった阿智胡地亭には、なんがなし耳に心地のよか映画やったけんね。
エピソード満載の原作から2時間25分の映画にまとめるコンテ作りはかなりしんどかったのではないかと、やや散漫さを映画の途中で感じましたが、
それは映画全体としては殆どキズにはならない仕上がりの、上質のエンターテイメント映画でした。
山崎一家の吉岡秀隆、堤真一は勿論ですが最近は「深夜食堂」でいい味を出している小林薫も登場。今売りだしの西宮市出身芦屋南高校出の鈴木亮平やピエール瀧も
出てきて嬉しい限りでした。そして最初の妻の役を演じた「綾瀬はるか」が人間という存在が持つ一面の哀れさを見事に演じていました。
映画館でのこの映画を鑑賞を皆さんにお勧めします。
すべての映画は「映画の中の現実」という虚構で成り立っていることを観客が前提に見ればいいと、ある監督が言っていますが、映画にはそれを味わう楽しみがありますね。
公式サイト。
キャスト
岡田准一 国岡鐡造
吉岡秀隆 東雲忠司
染谷将太 長谷部喜雄
鈴木亮平 武知甲太郎
野間口徹 柏井耕一
ピエール瀧 藤本壮平
須田邦裕
飯田基祐
小林隆
矢島健一
黒木華 小川初美
浅野和之
光石研 国岡万亀男
綾瀬はるか ユキ
堤真一 盛田辰郎
近藤正臣 木田章太郎
國村隼 鳥川卓巳
小林薫 甲賀治作
映画のモデルとなっているのは出光興産の創業者。
Wikipedia.
出光 佐三
生誕
1885年8月22日
福岡県宗像郡赤間村
死没
1981年3月7日(満95歳没)
出身校 神戸高等商業学校
(現・神戸大学経済学部)
職業 実業家
活動期間
1909年 - 1981年
肩書き
出光興産創業者
子供
長男:出光昭介(出光興産第5代社長)
親戚
弟:出光計助(出光興産第2代社長)