阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

東日本大震災が起こった翌年の [ 2012年08月31日(金)の阿智胡地亭の非日乗ブログ ] 再掲載

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2012年08月31日(金)
 
「戦後史の正体」の書評二つ
 

「戦後史の正体」を読む
志村建世

 「戦後史の正体」(孫崎享・創元社)を読みました。いま話題の本で、日本の戦後政治の「常識」を覆す内容を多く含んでいますが、

本来は「高校生にもわかるように日米関係を解説する」趣旨で企画されたとのことで、非常にわかりやすく書かれています。

状況を具体的に説明しながら話を進めて行く説得力は、「池上彰の時事解説」にも似たところがあります。

 一回の記事で紹介しきれるような内容ではありませんが、大筋としては、敗戦後のアメリカ軍による日本占領以来、日本の政治経済は、

アメリカの国益を最優先として支配されてきており、その状態は今も変っていないということです。これを政治家の系譜として見れば、

「アメリカ追従路線」と「自主独立路線」との消長の歴史でした。大ざっぱに言えば、比較的に安定長期にわたる「アメリカ追従」と

短期不安定で終る「自主独立」との交代の繰り返しでした。

 アメリカの対日政策の最初は、日本を二度とアメリカの脅威にならない国にすることでした。軍備の全廃と平和憲法は、その中心です。

さらに経済的にも、東南アジア諸国の平均程度の生活水準にするのが当初の計画でした。しかし大戦後の米ソ対立と朝鮮戦争により、

日本の工業力を利用する方向へと、方針は急遽変更されました。共産主義への防波堤として、日本の利用価値が高まったのです。

 この枠組みは、講和条約で日本が独立しても全く変りませんでした。

ということは、アメリカは継続して日本の政治経済への支配力を維持する必要があったのです。そのためのノウハウは、

占領時代の圧倒的な権力を通して、日本国内のさまざまなシステムの中に、深く埋め込まれていました。

必要な影響力を与えられる多くのチャンネルを、今も保持しているのです。

 米ソ冷戦が終っても、太平洋を勢力圏にしておきたいアメリカの国益は変りません。今は世界戦略への協力を日本に求めてきています。

アメリカの国益を損なう恐れのある日本の政権は、今でも短命に終る運命にあるようです。しかしアメリカは政権を倒すことはできても、

次の政権を指定することはできない、そこに「自主独立」への可能性があると孫崎氏は言います。

 それと日本の平和憲法が、今はアメリカに対して日本の国益を守る防波堤になっているという皮肉な現実があります。

戦後67年たっても、アメリカにとっての日本は、独立した「外国」ではありません。

だからこそオスプレイの配備も自由にできて当然と考えるのです。

日本の戦後史は、アメリカとの関係がすべてであったと言ってよいでしょう。どうしたらここから「独立」できるか。

高校生とともに考える絶好のテキストになります。

(追記・内容的には「たぶんそうだろうな」と思っていたことが証拠文献とともに紹介されているのですが、安保闘争の全学連にまでアメリカの資金が流れていた話は
 
今まで知りませんでした。地位協定の改定を意図していた岸内閣を、早期に退陣させるためでした。)

引用元

☆ 著者の孫崎享は、(1943年 - )は、日本の元外交官、元防衛大学校教授、作家。東京大学法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。
 
東大卒業を待たず中退のうえ、1966年外務省入省した。英国、ソ連、米国(ハーバード大学国際問題研究所研究員)
 
イラク、カナダ勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。国際情報局長時代は各国情報機関と積極的に交流。Wikipediaから部分引用。

2012.08.16 テクノクラートによる「対米従属」史

書評 孫崎 享著『戦後史の正体 1945-2012』(創元社)

半澤健市 (元金融機関勤務)           

 本書は読者にショックを与える本である。どんなショックか。対米従属外交の実態をキャリア外交官が暴露するショックである。著者は「はじめに」にこう書いている。

「この本は、かなり変わった本かもしれません。というのも本書は、これまではほとんど語られることのなかった〈米国からの圧力〉を軸に、
 
日本の戦後史を読み解いたものだからです。こういう視点から書かれた本は、いままでありませんでしたしおそらくこれからもないでしょう。
「米国の意向」について論じることは、日本の言論界ではタブーだからです」。

著者 孫崎享(まごさき・うける、1943年~)は東大法学部中退で外務省入省、国際情報局長、註イラン大使を経て09年まで防衛大学校教授。
元エリート外交官は現在は執筆、講演、ツィッター発信者として活躍している。

《米国の対日政策・日本の対米姿勢》

 孫崎は自作を「変わった本」というが、その方法論は決して「変わった」ものでない。

まず米国の対日政策についてこういう。

①米国の対日政策は米国の利益のために行われる。

②その政策は時期により大きく変化する。占領政策は冷戦開始で反転した。
 
日本の「民主化・非軍事化」から日本を「反共の防波堤」にする方向へと。
 
更に冷戦の終結で更に反転した。日本のライバル視と経済的・軍事的利用の明確化である。

③米国は自国のために様々な要求をする。
 
これに対抗するのは容易でないが、日本は従属の態度を変え国益を主張すべきである。

いずれも国益を重視する普通の外交方針で「変わった」ところは一つもない。

一方で日本の対米政策は何であったか。総じて言えば「対米従属」(孫崎語では「対米追随」)であった。
 
戦後の日本政治家がすべて従属的だったのではない。
 
著者は戦後外交は「自主路線」と「追随路線」の戦いだったとする。

続きはこちら
 
 
原発を成立させてきた下請け群がメシを喰える構造に転換できるか?
 

立ちはだかる東電下請け400社の原発利権

一部引用・・

「福島原発行動隊」

若い作業員の被曝量を減らすため、高齢者たち自らが志願し、収束作業に従事したいと、昨年(2011年)結成された。

プラント建造などの経験を持つベテラン技術者たち、およそ700人が作業開始に向けて準備を進めている。

しかし、結成から1年、作業への協力は実現していない。

政府・東電との交渉は遅々として進まず、時だけが過ぎた。

立ちはだかっているのは「原発利権」。

作業員の被曝偽装に気づかないぬフリをしてきた政府

今後の脱原発運動の方向性は、どうあるべか。

私たちは、次のステップを踏もうとしています。

そのために、国民は理論構築する必要が出てきたのです。原発反対を叫んでいるだけではダメなのです。

脱原発運動を、しっかりした基盤の上に乗せて、政府を動かしていかなくてはならなくなったのです。

政府、政治家には、もうその力がないことが分かったからです。

山田恭暉氏が率いる福島原発行動隊は、私たちに、その糸口を与えてくれました。

山田氏が目指しているのは、原発利権を壊すまでいかなくとも、「どうにかする」ということと、その過程で必然的に生じる国の産業構造の転換です。

全文はこちら
 
橋下市長は数集めにエネルギーを使っているのではない
 

数集めの政治
長期投資ガンコおじさん (2012年8月28日 09:10)

 日本の政治は票集めから始まって、仲間集めなど数集めに終始している感がある。 民主主義だから多数の賛同を得なかったら何も出来ない。 

そのためには、数集めがなによりも優先ということなんだろう。

 その数集めだが、いろいろな見解や政策アイデアを持った政治家達をどう糾合していくのか、妥協の産物となってでも仲間を集めるのがよいのか、難しい問題が残る。

 妥協を重ねていたら、政策の方向がぼやけてしまうばかりとなる。 それで、まともな政治が出来ようか?

 いま大阪の橋下市長が大きな吸引力を持って、世の政治家達を寄せ集める流れの中心にある。

 それだけ人気が高いわけだが、元はといえば橋下さんが大阪府や大阪市をこう変えるのだという明瞭な改革メッセージを発信し続けたからだ。 

その強い政策遂行意欲に大阪の人々が応えていったはず。 決して彼が政治家仲間集めにエネルギーを費やしていたわけではない。

 別に橋下さんに限ることはない、世の政治家が強く意識してもらいたい教訓がここにあろう。

 これまでの橋下さんの成功が示してくれた政治家としてのあるべき姿と、それに選挙民が応える図式は民主主義本来の姿ではなかろうか。

 本物の政治は数集めではない。 明確な政策を打ち出して選挙民にストレートに訴える。 それが結果として票集めになり、思い描く政治を実行できるはず。

 橋下さんが範を垂れてくれた成功モデルこそ、多くの政治家が心してもらいたいところだ。

 地方選挙と国政選挙とは違うという人もいようが、いまの日本経済に政治的妥協とかでウヤムヤしている余裕はない。 

一刻も早く次々と経済改革のメスを入れていかないと、本当に大変なことになる。

 ポピュリズム政治はもうやめにしよう。 まともな政策を真正面から国民に訴えて、国民の審判を待とうではないか。

引用先

 
 
原発事故、検察 年度内に立件の可否判断か
 

朝日新聞デジタル 2012年8月30日10時19分.

東京電力福島第一原発の事故をめぐり、検察当局は9月から、業務上過失致死傷容疑などでの告訴・告発があった東電幹部や政府関係者に対する捜査を、本格的に始める模様だ。

関係先に資料提出を求めて分析したうえ、関係者への事情聴取を慎重に進め、今年度内にも刑事立件の可否を判断するとみられる。

 今月初めに告訴・告発を受理したのは東京、福島、名古屋、金沢の4地検。検察内部で調整した結果、東京都内に関係者が多く、

事故現場のある福島県内に告訴・告発をした被災者が多いことから、東京、福島の両地検を中心に捜査態勢を組むことにしたとみられる。

資料が膨大で関係者の人数も多いため、両地検には各地から応援検事も集める模様だ。

 告訴・告発されているのは、東電側では勝俣恒久前会長など経営陣と安全対策の責任者らで、

「地震や津波の危険が指摘されていたのに安全対策を取らなかった」などと指摘されている。

政府側では経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長や原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長、

原子力委員会の近藤駿介委員長らが対象となっている。

 
 
規制当局と『業界の虜」について  日経ビジネスオンラインから
 

原発事故で露呈、繰り返し「業界の虜」となる規制当局の病巣

ガバナンスが破綻したのは今回だけではない

一部引用・・

「規制当局が事業者の虜になった」福島原発事故。だが規制当局の独立性の欠如と専門性の欠如は、たびたび深刻な事件の原因になってきた。

その構造的な病根について、気鋭の政治学者が斬る。

 先日、福島原発事故に関する4つの報告書が出揃った。だが報道などによる報告書の受け止め方を眺めていると、

報告書で指摘された問題点が、あたかも原発特有のもの、悪く言えば、原子力ムラという対岸の火事であるかのように伝えられていると感じた。

 規制政策の破綻という側面から原発をめぐるガバナンス(統治構造)を考えれば、

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)の『報告書』(2012年7月5日)が簡述するように、

「規制機関の組織的問題点は『独立性の欠如』『透明性の欠如』『専門性の欠如』に集約される」のであり、「規制当局が事業者の『虜』となっていた」。

しかし私見では、安全規制部門に独立性と専門性が欠けていたために、規制行政が被規制業界を優遇し、

消費者の安全を大きく損なう事態を招いた構図は、他の多くの政策分野・業界でもあった。

以下で検討するように、不良債権・薬害エイズ・BSE問題などがいい例だ。我々は原発行政の失敗を他山の石としなくてはならない。

全文はこちら

 
 
これまでの原発訴訟と福島原発爆発  司法への信頼
 

原発訴訟、安全性本格審査を 最高裁研究会で改革論
2012年8月31日 05時29分 東京新聞(共同通信)

 原発訴訟をめぐる最高裁特別研究会の内部資料

最高裁が今年1月に開いた原発訴訟をめぐる裁判官の研究会で、国の手続きの適否を中心としてきた従来の審理にとどまらず、

安全性をより本格的に審査しようという改革論が相次いでいたことが30日、共同通信が情報公開請求で入手した最高裁の内部資料などで分かった。

 裁判所はこれまで原発訴訟のほとんどで「手続き上適法」などとして訴えを退けてきた。改革論が浮上した背景には、

東京電力福島第1原発事故を踏まえ、このままでは司法の信頼が揺らぎかねないとの危機感があるとみられる。

原発訴訟の審理の在り方に変化が起きる可能性がある。

 
 
福島県の人口 流出続く
 

朝日新聞デジタル 2012年8月30日8時32分.

福島県の人口、4割減少も 2040年、原発事故で流出

 福島県は29日、県外への人の流出が止まらない場合、県人口が2040年に現在より最大約38%減少するとの試算結果を明らかにした。

 福島県では東京電力福島第一原発事故のあと、子育て世代を中心に県外への流出が続いている。人口は2011年10月で198万9千人。

県の試算では、年0.5%の減少が続き、住民票を残したまま県外に避難している人が全員住民票を移すなどと想定すると、

40年の人口が122万5千人に減少する。65歳以上が占める割合である高齢化率は現在の25%から39%になる。

 人口流出が来春までに止まり、県内に戻る動きが進んだ場合でも、震災前からの減少傾向が続くことから、

40年の人口は2割以上減る計算という。

 県は「安心して子育てできる環境づくり、原子力に代わる産業の集積などで人口流出を抑えたい」としている。


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