2020年12月25日 6時00分 ☝宮坂茂樹さん(左)が寄贈した宮坂光昭所有資料の一部。梨久保遺跡で収集した縄文時代中期(約5000年前)の初めごろとされる土器や土偶など
諏訪市湯の脇出身の考古学者、宮坂光昭さん(1931~2013年)が収集、作成した考古遺物や書籍、研究資料など1万981点が同市博物館に寄贈された。光昭さんの長男、宮坂茂樹さん(60)=同市湯の脇=が「後進、若手の育成に役立ててほしいという父の思いに沿いたい」と同館に贈った。寄贈品について同館は「諏訪地域の考古学や歴史を語るうえで貴重な資料群」と評価する。
寄贈されたのは光昭さんが岡谷工業高校在学中に発掘調査した梨久保遺跡(岡谷市長地梨久保、後に国史跡)の縄文土器、土偶を中心に、諏訪湖底の曽根遺跡(諏訪市大和沖)から見つかった動物の骨、まわり場古墳(同市四賀)の鉄鏃(鉄製の矢じり)、太刀の刀装具など。書籍は約7000冊、研究資料は約3500点。
同館学芸員の児玉利一さんによると、今回の寄贈品は、すでに同館が収蔵、展示している考古学者・藤森栄一資料(国登録有形文化財、諏訪地域考古資料)を補完し、昭和50年代以降の各自治体教育委員会による遺跡の発掘調査や保護に関わる資料も多いという。書籍は同館内の大昔情報センターで配架される。「諏訪地方ゆかりの考古学者である藤森栄一、戸沢充則、宮坂光昭の書籍が1カ所にまとまって収蔵されることは有益で価値がある」としている。
24日には、同センターで諏訪市の金子ゆかり市長が宮坂茂樹さんに感謝状を贈呈した。宮坂さんは「父は若手の育成に力を注いでいた。寄贈品がこれからの研究に生かされ、『未来のために過去を学ぶ』。その一助になれば」と語った。
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