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宮沢賢治(けふのうちに・・・春と修羅)

2008年05月01日 |   ✒文学逍遥 紀行

映像:東北砕石工場時代の宮沢賢治、石川啄木より年下だが何故か同じ影が視える。

宮澤賢治は筆者にとって詩人であった。学生時代感銘を受けたのが詩集「春と修羅
に収められた一篇。日本女子大学校在籍の妹とし子の臨終を詠んだ哀しく切ない詩。
高村光太郎の妻智恵子も又、日本女子大学校卒。此の縁なのか光太郎は花巻に隠棲。

~永訣の朝~:宮澤賢治(春と修羅より)   この詩は声を出して読むべし

  けふのうちに
  とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
  みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
     (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
  うすあかくいっさう陰惨〔いんさん〕な雲から
  みぞれはびちょびちょふってくる
     (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  ああとし子
  死ぬといふいまごろになって
  わたくしをいっしゃうあかるくするために
  こんなさっぱりした雪のひとわんを
  おまへはわたくしにたのんだのだ
  ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
  わたくしもまっすぐにすすんでいくから
     (あめゆじゅとてちてけんじゃ)
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  この雪はどこをえらばうにも
  あんまりどこもまっしろなのだ
  あんなおそろしいみだれたそらから
  このうつくしい雪がきたのだ
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   
  おまへがたべるこのふたわんのゆきに
  わたくしはいまこころからいのる
  どうかこれが天上のアイスクリームになって
  おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
  わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ

解説:「あめゆじゅとてちてけんじゃ」とは病の床で妹が賢治にみぞれ雪を望んだ
   方言、雪のように純白で淡い妹を思った詩、学生の私は感涙したものだった。

参照宮沢賢治(銀河の詩人)探訪紀行


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