お湯の国 日本

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夏目漱石 草枕の湯 (熊本県小天温泉)

2018年08月15日 |   ✒文学逍遥 紀行

映像:前田家別邸の夏目漱石が浸かった湯殿。ここで前田卓(ツナ)女史と鉢合わせする。

夏目漱石ゆかりの温泉地:小天(おあま)温泉にやって来た。夏目漱石はよほど温泉
が好きなのか?それとも明治の社交場は温泉地という事情かここでも「坊ちゃん(道後
温泉)」同様名作を残している。実際にこの湯殿で起きたことを描いたのが小説「草枕」

草枕抜粋 {  宿の娘:那美(前田案山子(かがし)次女卓(ツナ))との遭遇シーン  }
   『・・・女の影は遺憾く、余が前に、早くもあらわれた。・・・真白な姿が雲の底
    から次第に浮き上がって来る・・
頸筋く内輪に、双方から責めて、苦もな
    く肩の方へなだれ落ちた線が、豊かに、丸く折れて、流るる末は五本の指と
    
れるのであろう。ふっくらと浮く二つの乳の下には、しばし引く波が、ま
    た
らかに盛り返して下腹の張りを安らかに見せる。張るろへ抜いて、
    勢の尽くるあたりから、分れた肉が平衡を保つために少しく前に
く。
    受くる
膝頭のこのたびは、立て直して、長きうねりのにつく頃、たき足
    が、すべての
葛藤を、二枚のに安々と始末する。世の中に・・これほど自然
    で、これほど
らかで、これほど抵抗の少い、これほど苦にならぬ輪廓は決
    して見出せぬ。・・・
輪廓は次第に白く浮きあがる。今一歩を踏み出せば・・・・
    あわれ、俗界に堕落するよと思う刹那に、緑の髪は、・・・風を起して・・・・・・・
    
渦捲く煙りをいて、白い姿は階段を飛び上がる。ホホホホと鋭どく笑う女
    
の声が、廊下に響いて、静かなる風呂場を次第に(むこ)うへ遠退(の)く・・・』

鑑定:さあ、この文章を観てどう思うだろうか?漱石は画像右上の階段
から降りてく
    る前田家の娘ツナ(出戻り)の裸体を文章で現した。東大出のエリート教授
    が表現するとこの様に面倒臭いものとなるイヤラシサなど微塵もないのだ。
    しかし、一般人ならこれは覗き表現にすぎない。藝術とはこの様に昇華する。

参照夏目漱石 (則天去私) 探訪紀行


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