孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イラク・イラン  百年ぶりの雪と女性の凍死

2008-01-12 13:46:05 | 世相

イラクの首都バグダッドで11日朝、数時間にわたって雪が降ったそうです。
政府気象局によると約百年ぶりとか。
治安の悪さに悩む市民の中には「希望のしるし」と喜ぶ人もいたそうで、「これは希望のしるしだ。イラク人たちが心を清め、政治家たちも国民の繁栄のために働くようになれば」との地元の人の発言なども紹介されています。
記事は「人々は雪の純粋な美しさに、平和到来への希望を重ね合わせているようだ。」と終わっています。【1月11日 時事】

イラクというと中東、中東と言えば砂漠・・・という連想で“暑い国”というイメージがあります。
実際、世界最高気温は1921年にイラク南部のバスラで記録された58.8℃(!)です。
信じられないような暑さです。

しかし、砂漠地帯特有の大きな寒暖差があり、1日のうちでも夜間は冷え込みますし、1年でみると、冬場は寒くなります。
手元の記録で調べると、バグダッドの1月の平均最高気温13℃、平均最低気温4℃。
ちなみに私が住んでいる奄美大島の昨年1月が、最高18.0℃、最低12.5℃ですから、島の感覚で言うとイラクの冬は相当に厳しい寒さです。
なお、奄美でも05年の3月に500m弱の山頂付近で積雪があったということが話題になりました。
1901年以来ということでしたが、結局測候所職員による確認がされず、公式記録とはなりませんでした。

さて、イラクです。
非常にロマンチックな記事に水をさすようで恐縮ですが、寒さは住居・暖房施設が十分でない人々にはこたえます。
イラクでは国内難民が200万人を越えていると言われています。
恐らく十分な備えもない冬を向かえていると思われます。
彼らにとっては、100年ぶりの雪は厳しい現実をつきつけるものではないでしょうか。

寒さと地域つながりでイランからの話題。
イラン北部の都市アルデビルで、夫婦げんかの末に夫から家を追い出された妻が凍死したという事件。
夫が妻を追い出した9日夜は、今年の最低気温となるマイナス25℃まで冷え込んでいたそうです。
家を追い出された妻は、歩道橋の下に避難して夜を明かそうとしたようですが、翌朝になって遺体で見つかりました。【1月10日 AFP】

こちらの事件から思いつくことはイスラム社会における女性の地位・権利の問題です。
もちろん、この夫婦の場合がどういう事情・関係にあったかなどは全くわかりませんが、一般にイスラムの影響が強い社会では、外部の人間の目からすると、女性の権利に問題があるように思えます。

ただ、例えばイランもアフガンのタリバンもイスラム原理主義とくくられることがありますが、タリバン支配下では女性はひとりで外出することさえ許されません。
男手を失った女性は食べていくことも出来ません。
これは全くの想像ですが、イスラムの影響だけでなく、山岳地帯に暮らパシュトゥン人の部族社会の掟の影響が強いのではないでしょうか?

イランの場合は9日にも触れたように一度は西欧文化にどっぷり浸った社会であり、欧米的な民主主義も一応機能している国ですから、同じ女性の問題といってもタリバン支配下のそれとは全く異なります。
ただ、やはり夜間女性が1人で外泊するというのはなかなか難しい問題もあるのでしょう。
(一度観たイラン映画では証明書提示を求められ、それができない女性はホテルに泊まることができない・・・というシーンがありました。)

マイナス25℃の夜に妻を追い出した夫が、イラン社会でどのようにとらえられているのか、その点が知りたいところです。

コメント (1)
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