孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン  闘犬・凧揚げ復活、待たれる雪解け

2008-01-18 14:35:06 | 世相
アフガニスタンについては、相変わらずの話、ほっとするような話、懸念されるような話、不思議な話・・・いろいろありますが、先ずはほっとすような穏やかな話から。

アフガニスタンのカブールでは11日、闘犬のトーナメントが行われたそうです。
闘犬は、旧支配勢力タリバン政権下では闘鶏や他のスポーツ同様に禁止されていました。
また、同様に力タリバン政権下では禁止されていたたこ揚げを楽しむ人々の姿もみられたそうです。【1月12日 AFP】

イスラムでは犬は不潔な生き物とされていると聞いていました。
バグダッドなどでもペットや番犬に飼う人が増えており、宗教関係者が苦言を呈しているといった話も先日TVで見たような気がします。
イスラムも土地によって様々なバリエーションがあるのでしょう。

“闘犬”というのは馴染みのない人間には少し抵抗もありますが、犬にしても凧にしても、生活の楽しみに興じることができるというのは、人間らしい暮らしの基本に思えます。
そこまで暮らしを制限するタリバンに対しては、おそらくアフガンの人々の間でも抵抗があるのではないでしょうか。

戦闘のほうは、昨年1年間の米兵死傷者数が、843人(うち死者83人)と01年の戦闘開始以来の最悪を記録しました。
治安悪化に歯止めはかかっておらず、英BBC放送は現地紙の報道として、07年に起きた自爆テロが140件で、一昨年から倍増していると報じています。
今年に入って、14日には首都カブール中心部の最高級ホテル「カブール・セレナ・ホテル」を武装した男らが襲撃し、自爆などによって従業員や外国人らすくなくとも6人が死亡した事件が発生しています。

こうした事態を打開すべく、アメリカは海兵隊3200人の増派をブッシュ大統領が承認しました。
現在展開中の米軍約2万7千人の1割強の大規模増派で、今春行われる予定です。
増派部隊のうち2200人は国際治安支援部隊(ISAF)に加わり、アフガン南部に展開。
残りの1000人はアフガン治安部隊の訓練に当たるとか。
派遣期間は7ヶ月とされ、モレル報道官は、派遣終了後はISAFを率いるNATO各国が増派すべきだとの考えを示しています。【1月16日 朝日】

そのNATO軍に対し、ゲーツ国防長官は、「私は適切な訓練を受けていない者(軍事顧問)が配備されていることに危惧を抱いており、対ゲリラ活動作戦の方法を知らない部隊があることを懸念している」と述べています。
同長官は、NATO軍のほとんどは対ゲリラ活動に対する訓練を受けていないと、公にNATOを批判しました。
砂漠、山岳、ジャングル、市街地・・・あらゆる場所・条件で常に実戦経験を蓄積しているアメリカ軍に比べると、他国の軍隊は頼りなく見えるのでしょう。

昨年末の12月25日、イギリス国籍の国連職員とアイルランド国籍のEU職員が アフガニスタン政府によって、国内の治安を脅かすとして48時間以内の国外退去を命令されました。
2人は南部ムサカラ州を訪問した際にタリバンと接触していたといわれます。
国連側は誤解だと反論していました。

タリバンとの交渉には応じない姿勢を示していたブラウン英首相も難しい立場に立たされているとの報道もありました。
保守党で国防を担当するリアム・フォックス報道官は、「我が国の兵士を殺すような人々と交渉することはできない」と発言しています。

しかし、イギリスのマスコミ報道の論調は、タリバンの内部には強硬派と中道派があり、後者は調停に応じる可能性があるとして、タリバンとの交渉には好意的な見方をしているそうです。
常識的な見方でしょう。
以前も取り上げたように、カルザイ政権自体が地方職員に採用するなどタリバン穏健派の取り込みを図っています。
今回の“接触”がアフガニスタン政府の逆鱗に触れた事情がわかりません。

2週間にわたって大雪が続いているアフガニスタンでは、雪崩や寒さによる死者が120人に達し、家畜数万頭も死亡しているそうです。
災害対策当局によると、アフガニスタン北部での積雪は3.5メートルを記録しており、これによって山間の村や集落への道路が寸断され、数千人が孤立した状態になっているとのこと。
春の雪解けが待たれます。

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