パキスタン関連のニュースは毎日たくさん報じられています。
その多くは政局・選挙関係、あるいはテロ・トライバルエリアでの軍事行動などのものです。
例えば・・・
「ムシャラフ大統領はブット元首相の暗殺事件後、初めて欧州を訪問した。国内情勢が一段と不安定化する中、2月18日の総選挙に向けてムシャラフ政権が進めている民主化プロセスについて、米欧各国から支持を得る狙いがある。また、一連の会談ではテロの掃討に全力を注ぐ姿勢も強調。協力を求める考えだ。」【1月22日 産経】
「ブット元首相が暗殺されて27日で1カ月。事件で一気に噴き出したムシャラフ政権への不信感とブット氏への同情は弱まる気配を見せず、2月18日に予定される総選挙での野党勝利の流れは変わりそうにない。与党側は野党取り込みへと動き、ムシャラフ大統領も自らが描く民主化プロセスに理解を求めて欧州を行脚、政権の地盤沈下食い止めに躍起である。
同国紙ナワイワクトのラザ論説委員長は「PPPとPML-Nの優位は動かない。野党が勝てば、大統領弾劾の動きが出るのは間違いなく、ムシャラフ氏は追い詰められている」と指摘する。
(ムシャラフ大統領はEU高官との会談で)「(選挙で)誰が勝者になろうと、権限は譲る」と述べて、民主化を迫るEUに理解を求めた。」【1月25日 産経】
「パキスタンの野党指導者、シャリフ元首相≪写真≫の車列が通過を予定していたペシャワルの道路上で24日、時限爆弾が発見され、警察の爆発物処理班が除去した。」【1月24日 時事】
「パキスタン国軍は18日、アフガニスタンと国境を接する部族地域の南ワジリスタン地区で、治安部隊とイスラム武装勢力の大規模な戦闘が相次ぎ、計90人近くの武装勢力が死亡したと発表した。 」【1月19日 朝日】
「24日付の米保守系紙ワシントン・タイムズは、国際テロ組織アルカイダがパキスタンの部族地域で勢力を回復し、活動を活発化させていると報じた。」【1月25日 時事】
よく目にするのは、以上のようなニュースです。
一方で、一般庶民の関心は選挙でも民主化でもテロでもない、別のところに向けられているとの記事もあります。
「パキスタンの富裕層の関心事はブット暗殺の首謀者や2月の選挙についてだが、多くの一般大衆は日々の糧を得ることで頭がいっぱいである。生活必需品の値段が急騰しており、政府から補助金を得て小麦を安売りする店には長い列ができている。」【1月21日 IPS】
記事によると、主食のローティを作る小麦粉の値段は1ヶ月で2倍以上になり、暴利を監視するために政府が最高価格を定めて罰則を設けると、市場から小麦が消えてしまったそうです。
政府補助の安売り店に仕事を休んで並んでも、結局手に入らないこともあります。
「こうした人々にとっては小麦をいかに確保するかが選挙より大事である。列に並んだ人々は、政府が製粉業者と組んで不足を捏造しているのではないかなどと話し込む。政治家が買いだめしている、電力不足が工場の稼働に影響している、という説もある。」
「経済専門家は、政府の小麦の収穫予想が現実とかけ離れていたこと、あわてて輸入を試みたがオーストラリアの不作もあって小麦が品薄となり、価格はさらに上昇したこと、輸入業者の幾重にもなったコミッションなどが小麦危機の原因と考え、国民を考えない縁故主義の政府を非難している。」
不足しているのは小麦だけでなく、食糧品一般、燃料、ガソリンの不足も深刻のようです。
酷寒の北部スワット渓谷では、政府が燃料を供給しなければ選挙をボイコットすると人々は宣言しているとか。
こんな話も。
「昨年政府はムシャラフ大統領を支持するパキスタンイスラム連盟Qの党員への懐柔策として小麦の輸出を認めた。国内産小麦が安価なことから輸出業者は国際市場で莫大な利益を得た。小麦が不足する可能性がわかると、政府は35%の規制税をかけたが、多くが輸出された後で手遅れだった。」【1月23日 IPS】
燃料危機は産業部門にも影響を及ぼし、閉鎖する工場も出てきたそうです。
また、電力も不足。
「政府の省エネ計画では、商店街の閉店時間を早め、家庭、企業、公共施設では電気の使用を最低限に抑えるよう奨励している。」
天然ガスも不足。
「国営のガス会社は国民に暖かい服装をするよう呼びかけ、ガスヒーターは健康のために良くないと助言している。」【同上】
直接はこのような物資不足とは関係しませんが、パキスタン経済関連の話で、以前からATTA(アフガン通過貿易協定)という制度があります。
内陸国のアフガニスタン向けの物資は一旦パキスタンのカラチで陸揚げされ、関税が免除されるかたちでアフガニスタンに運ばれます。
それらの多くが密輸品としてパキスタンに還流してくるとか。
その結果、関税を負担していない密輸品に対抗できない国産品産業はつぶれていく事態にも。
たまりかねたパキスタン政府はこのATTAを停止していた時期がありましたが、条件を厳格にしながら現在も行われているようです。
経済は銃や統制令ではうまくまわりません。
文民大統領としての手腕が問われますが、人々の日々の生活が困窮するようでは、ムシャラフ政権・与党の今後は厳しいものがありそうです。
その多くは政局・選挙関係、あるいはテロ・トライバルエリアでの軍事行動などのものです。
例えば・・・
「ムシャラフ大統領はブット元首相の暗殺事件後、初めて欧州を訪問した。国内情勢が一段と不安定化する中、2月18日の総選挙に向けてムシャラフ政権が進めている民主化プロセスについて、米欧各国から支持を得る狙いがある。また、一連の会談ではテロの掃討に全力を注ぐ姿勢も強調。協力を求める考えだ。」【1月22日 産経】
「ブット元首相が暗殺されて27日で1カ月。事件で一気に噴き出したムシャラフ政権への不信感とブット氏への同情は弱まる気配を見せず、2月18日に予定される総選挙での野党勝利の流れは変わりそうにない。与党側は野党取り込みへと動き、ムシャラフ大統領も自らが描く民主化プロセスに理解を求めて欧州を行脚、政権の地盤沈下食い止めに躍起である。
同国紙ナワイワクトのラザ論説委員長は「PPPとPML-Nの優位は動かない。野党が勝てば、大統領弾劾の動きが出るのは間違いなく、ムシャラフ氏は追い詰められている」と指摘する。
(ムシャラフ大統領はEU高官との会談で)「(選挙で)誰が勝者になろうと、権限は譲る」と述べて、民主化を迫るEUに理解を求めた。」【1月25日 産経】
「パキスタンの野党指導者、シャリフ元首相≪写真≫の車列が通過を予定していたペシャワルの道路上で24日、時限爆弾が発見され、警察の爆発物処理班が除去した。」【1月24日 時事】
「パキスタン国軍は18日、アフガニスタンと国境を接する部族地域の南ワジリスタン地区で、治安部隊とイスラム武装勢力の大規模な戦闘が相次ぎ、計90人近くの武装勢力が死亡したと発表した。 」【1月19日 朝日】
「24日付の米保守系紙ワシントン・タイムズは、国際テロ組織アルカイダがパキスタンの部族地域で勢力を回復し、活動を活発化させていると報じた。」【1月25日 時事】
よく目にするのは、以上のようなニュースです。
一方で、一般庶民の関心は選挙でも民主化でもテロでもない、別のところに向けられているとの記事もあります。
「パキスタンの富裕層の関心事はブット暗殺の首謀者や2月の選挙についてだが、多くの一般大衆は日々の糧を得ることで頭がいっぱいである。生活必需品の値段が急騰しており、政府から補助金を得て小麦を安売りする店には長い列ができている。」【1月21日 IPS】
記事によると、主食のローティを作る小麦粉の値段は1ヶ月で2倍以上になり、暴利を監視するために政府が最高価格を定めて罰則を設けると、市場から小麦が消えてしまったそうです。
政府補助の安売り店に仕事を休んで並んでも、結局手に入らないこともあります。
「こうした人々にとっては小麦をいかに確保するかが選挙より大事である。列に並んだ人々は、政府が製粉業者と組んで不足を捏造しているのではないかなどと話し込む。政治家が買いだめしている、電力不足が工場の稼働に影響している、という説もある。」
「経済専門家は、政府の小麦の収穫予想が現実とかけ離れていたこと、あわてて輸入を試みたがオーストラリアの不作もあって小麦が品薄となり、価格はさらに上昇したこと、輸入業者の幾重にもなったコミッションなどが小麦危機の原因と考え、国民を考えない縁故主義の政府を非難している。」
不足しているのは小麦だけでなく、食糧品一般、燃料、ガソリンの不足も深刻のようです。
酷寒の北部スワット渓谷では、政府が燃料を供給しなければ選挙をボイコットすると人々は宣言しているとか。
こんな話も。
「昨年政府はムシャラフ大統領を支持するパキスタンイスラム連盟Qの党員への懐柔策として小麦の輸出を認めた。国内産小麦が安価なことから輸出業者は国際市場で莫大な利益を得た。小麦が不足する可能性がわかると、政府は35%の規制税をかけたが、多くが輸出された後で手遅れだった。」【1月23日 IPS】
燃料危機は産業部門にも影響を及ぼし、閉鎖する工場も出てきたそうです。
また、電力も不足。
「政府の省エネ計画では、商店街の閉店時間を早め、家庭、企業、公共施設では電気の使用を最低限に抑えるよう奨励している。」
天然ガスも不足。
「国営のガス会社は国民に暖かい服装をするよう呼びかけ、ガスヒーターは健康のために良くないと助言している。」【同上】
直接はこのような物資不足とは関係しませんが、パキスタン経済関連の話で、以前からATTA(アフガン通過貿易協定)という制度があります。
内陸国のアフガニスタン向けの物資は一旦パキスタンのカラチで陸揚げされ、関税が免除されるかたちでアフガニスタンに運ばれます。
それらの多くが密輸品としてパキスタンに還流してくるとか。
その結果、関税を負担していない密輸品に対抗できない国産品産業はつぶれていく事態にも。
たまりかねたパキスタン政府はこのATTAを停止していた時期がありましたが、条件を厳格にしながら現在も行われているようです。
経済は銃や統制令ではうまくまわりません。
文民大統領としての手腕が問われますが、人々の日々の生活が困窮するようでは、ムシャラフ政権・与党の今後は厳しいものがありそうです。