孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

2008年上半期、世界で注目される政治スケジュール

2008-01-15 15:29:04 | 国際情勢
いつも重箱の隅をつつくような話題ばかり取り上げているので、今日は、世界的に波乱を呼びそうな事柄のタイムスケジュールをここ数ヶ月の期間でざっと見てみます。

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先ず今月20日に予定されているのがセルビアの大統領選挙。
現職のタディッチ大統領と極右民族派、セルビア急進党のニコリッチ党首代行が有力候補となっています。
恐らくどちらも過半数はとれず、2月3日に予定されている決選投票に持ち込まれるのではないでしょうか。

一方、コソボは昨年末の総選挙で、かつてアルバニア人武装勢力「コソボ解放軍(KLA)」を率いていたサチ氏のコソボ民主党が第一党となり、今年大連立内閣で首相に就任しています。
サチ首相は恐らくセルビア大統領選挙後の2月6日に独立を宣言するのではと見られています。

セルビアはどの政党もコソボ独立を容認していませんので、誰がセルビアの新大統領になっても波乱は避けられませんが、特にセルビア急進党のニコリッチ氏が勝利した場合、一層の混乱が懸念されます。
同氏は14日の会見で「いかなることがあってもコソボを放棄しない」と語っています。

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この2月3日(セルビア大統領選挙決戦投票)と6日(コソボの独立宣言が予想されている日)の間の2月5日が“メガ・チューズデイ”で、アメリカ大統領選挙の民主・共和両党の候補が事実上ここで決すると言われています。
ヒラリーは貴重な“涙”で踏みとどまり体勢を立て直しましたが、今後注目されるのは黒人票の動向では。
ビル・クリントンは“初の黒人大統領”と言われるほど黒人層の支持が強く、ヒラリーはこの黒人票を引き継いでいると見られていました。
しかしオバマ候補の善戦によって、オバマ候補の大統領としての現実性が出てくるに従い、やはりオバマ氏へ黒人票が流れるのでは・・・とも言われています。
特に、ヒラリーの「キング牧師の夢がかなったのは、リンドン・ジョンソン大統領が1964年に公民権法を制定したのが始まりだ。実現のためには大統領が必要だった」という最近の発言が、黒人指導層の反発を招いているとも。
ぎりぎりの状況になるとやはり肌の色が問題になることも。
また、それに対する白人側の反応は?

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2月の18日にはパキスタンの総選挙が予定されています。
爆弾テロが止まない状況で、予定どおりおこなわれるのかは定かではありませんが、与党敗北の場合はムシャラフ大統領は辞任するとも発言しています。
パキスタンの情勢はアフガニスタン情勢、ブッシュ大統領言うところの“テロとの戦い”の今後に大きく影響します。

死亡したブット元首相の後任として野党第一党のパキスタン人民党(PPP)総裁に指名されたのが19歳のご子息。
当面は被選挙権がなく、しばらくはイギリス・オックスフォード大学での学業を優先したいとか。
大学周辺の住民からは、何か事件が起きた場合に自分たちにも被害が及ぶのでは・・・という心配、警備のための費用が税金で負担されることへの反発が出ているとか。
それもさることながら、流血すら珍しくない今のパキスタンの情勢を考えるとき、その中心に位置するPPP総裁が「在学中は私生活を尊重してほしい」とは・・・。
「だったら、総裁になるなよ!」と言いたくなります。
PPPがブット家の個人的支援政党であることは周知のところですが、ここまであけすけにブット家の所有物としての性格を公にされると、個人的には引いてしまいますし、恐らくPPPが政権をとっても責任者不在で事態は混迷するのではないかと懸念されます。

ブット元首相とは犬猿の仲の親戚筋で、生前も彼女を激しく非難していた“めい”か何かにあたる随分きれいな女性がいたかと思いますが、どうせなら彼女のほうが。
若くて美人だというだけでなく、野心にあふれた攻撃的性格が政治家に向いているかも。

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3月にはいると22日に台湾の総統選挙が予定されています。
総統選挙もさることながら、波紋を広げそうなのが同時に予定されている“台湾名義での国連加盟問題”に関する住民投票。
現在の東アジア秩序を支えている“ひとつの中国”という虚構を崩しかねない問題です。
先の立法委員選挙での国民党圧勝によって、この住民投票が不発に終わるのではという期待がアメリカなどにも出てきているようです。

台湾との国交破棄が懸念されていたマラウィ共和国を訪問するために外交部長が出発した後に、マラウィ共和国から受け入れ拒否を伝える通知を受け取るとか、グアテマラに誕生した左派系新大統領就任式に陳総統が出席するとか、台湾も外交関係維持に大変な苦労しています。

しかし、虚構とは言え、“ひとつの中国”に代わる枠組みが現段階で存在しない以上、“東アジアで騒ぎを起こして欲しくない”というのが本音です。
おそらく中台間の交易が更に拡大して中国経済圏が形成されていく、一方中国においても諸方面の改善が進展する、そういう流れのなかで、なんらかの方向性が出てくるのでは。

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春になって注目されるのはトルコのPKK討伐のためのイラク侵攻の動向。
冬の間は大規模な地上軍の活動が出来ませんが、春になってそれが可能になったとき、どうでしょうか?
どこまでやる気でしょうか?

一方で、昨年12月、キルクーク帰属をめぐる住民投票が半年延期されましたが、これもいつまでも先延ばしと言う訳にもいかないのでは。
クルド自治区への編入についてはアラブ系の激しい反発も予想されます。
トルコの侵攻とあいまって、この地域を一気に不安定化させる危険があります。

予定されている主な節目だけでも、以上のようにいろいろ。
なかなか平穏な1年とはいかないような。

コメント
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