孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ナイジェリア  「国際児童デー」の1日、子ども生産売買の「赤ちゃん工場」摘発

2011-06-02 20:40:44 | 世相

(ナイジェリアの赤ちゃん。当然ながら、本文記事のような事例はナイジェリアでも特殊なものであり、経済・医療状況は別として、大多数の赤ちゃんは母親からの愛情を受けて育っています。 “flickr”より By T_Lo http://www.flickr.com/photos/tlo/3137096411/

変わらぬ少子化傾向
日本では、2010年の合計特殊出生率は1.39と、前年1.37から微増でした。
厚生労働省の分析「30代で出産する率が上がり、20代も下げ止まったため」にもあるように、晩婚化にともなう出産年齢の高齢化による部分が大きく、基本的な少子化の構造には変化は見られないようです。
なお、第1子出産時の母親の平均年齢は29・9歳で、前年より0・2歳上がり、30歳目前となっています。

****<出生率>1.39 2年ぶり増…少子化傾向変わらず****
厚生労働省は1日、2010年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)が1.39となり、前年を0.02ポイント上回ったと発表した。上昇は2年ぶりだが、1.37で横ばいだった08、09年をはさみ、06年以降の上昇基調は続いている。ただ、出産しやすい年齢(15〜49歳)の女性人口は減り続けていて、全体の出生数は0.1%増の107万1306人にとどまった。少子化傾向に歯止めが掛かったとはいえない状況だ。

同出生率は05年に1.26と過去最低を記録した後、上昇傾向に転じている。厚労省は晩婚化が定着し、増え続けている30代で出産する人の出生数が、集計に反映され始めたのが原因とみている。第1子出産時の平均年齢は29.9歳。前年より0.2歳上昇した。
しかし、最も出生率が高かった30〜34歳の女性が14万人減るなど、15〜49歳の女性は3万9000人減少した。この傾向は続いており、1人が何人産んだかを示す合計特殊出生率は増えても、全体の出生数が増加傾向に転じたわけではない。

都道府県別の同出生率は、高かったのが(1)沖縄1.83(2)宮崎、島根1.63−−の順。低かったのは(1)東京1.12(2)北海道1.21(3)京都1.22−−だった。

一方、死亡数は前年比4.8%増の119万7066人で、戦後最多を更新した。高齢化の進展が原因で、出生数と死亡数の差「人口の自然増減数」はマイナス12万5760人。4年連続のマイナスで、初めて10万人を超えた。【6月1日 毎日】
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婚外子と男性の育児参加
構造的な転換のためには、子ども手当のような経済的子育て支援対策のほか、婚外子の社会的認知や、男性の育児参加など、社会の意識変化が必要に思われます。

出生率が改善傾向にある欧州各国では、婚外子の数が急増しています。
****イタリアで婚外子が急増 20年には50%に*****
正式な結婚をしていない男女の間に生まれる子供、つまり婚外子の数は、世界的に急上昇している。
フランスではすでに2006年に出生児の50%を突破し、英国でも統計局の推定だと14年には出生児の75%に達するそうだ。昔はイタリアやスペインのような旧カトリック教国では婚外子の数は非常に少なかったが、カトリックの影響が弱まった現在、増加の一途をたどっている。
イタリアの場合、2000年には婚外子は約10%だったものが07年には20・8%に上昇し、このままの上昇率で行けば、20年には出生児の2人に1人、つまり50%は婚外子になると推定されている。

この急上昇の原因は、正式な結婚をせずに同棲(どうせい)する男女が増えたことだ。1972年と2008年両年の結婚総数、つまり教会での結婚と市役所での非宗教結婚の合計を比較すると、39万2千件から21万2千件に減少している。この結果、上記の結婚のどちらも行わないで一緒に住んでいる男女のカップル、つまり同棲カップルの総数はイタリア全国で現在63万7千組と推定される。
わが国でも、夫婦別姓制度が導入されるとこれまでの家族概念が崩れ、同棲カップルが増加し、婚外子の数は欧米並みに急増する可能性がある。【1月23日 産経】
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また、ノルウェーでは男性に割り当てられる育児休業期間を、現行の10週間から12週間に増やすことが検討されています。
****男性への育児休業割り当て、12週間へ延長の公算 ノルウェー****
ノルウェーで法律に基づき取得できる育児休業のうち、男性に割り当てられる期間を現行の10週間から12週間に延長する法律の改正案が審議されている。
ノルウェーはすでに世界で最も長い育児休業を男性が取得できる国だが、改正案が議会を通過することは確実視されている。可決された場合、7月1日から施行される。

改正案によると子どもが生まれた場合、両親には、普段の賃金の100%(金額に上限あり)にあたる給付金を国から受けながら計47週間まで、あるいは賃金の80%にあたる給付金を受けながら計57週間まで育児休業をとる権利が与えられる。妻と夫の育児休業期間の合計を夫婦でどう振り分けるかは自由だが、現行で10週間、改正後で12週間は必ず男性が取るものとされる。
ノルウェーの中道左派政権は2013年の任期満了までにさらに男性分の育児休業を14週間に延長したいとしている。

ノルウェーは世界でも男女同権が進んでいる国とみなされているが、今回の法律改正は子育てを担おうとする父親のさらなる後押しとなるだろう。ノルウェーでも女性が育児で長期休業をとることは多く、女性が仕事をする上で不利になっていた。このような職場での性差を取り除くことも狙いだ。
同国の民放テレビ局TV2によると、1993年に4週間で始まった育児休業の一定期間を父親に割り当てる制度は、非常に有効に機能しているという。この制度の導入前は育児休業を取る男性は3%に満たなかったが、今では90%前後の男性が育児休業をパートナーと分かち合っているという。【5月31日 AFP】
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【「先軍の子」】
さて、昨日6月1日は「国際児童デー」でした。
北朝鮮からは、お国柄を反映したニュースが。

****国際児童デーの北朝鮮、子どもたちに先軍思想教育*****
朝鮮中央放送など北朝鮮メディアは2日、「国際児童デー」の1日、各地の幼稚園で運動会や学芸会など行事が開かれたと報じた。

報道では子どもたちを「先軍の子」と呼び、祝福された「先軍の子」たちの明朗な姿を見て、人々は新世代の幸福を守り花開かせる金正日(キム・ジョンイル)総書記に感謝したと伝えた。
前日に平壌の遊園地で開かれた記念行事でも、出席者らは子どもたちを「先軍朝鮮の主人公」「先軍朝鮮を支える者」と呼び、先軍政治を強調した。続く運動会では、北朝鮮の子どもたちと外国の子どもたちが一緒に「軍事ごっこ」をしたと伝えている。
朝鮮中央テレビも同日、咸鏡北道清進市の幼稚園で行われた記念行事のようす、「敬愛する将軍様(金総書記)の先軍政治の下、この世で最も幸せな子どもたちとして育つ歓喜が熱くあふれ流れていた」と報じた。
こうした報道から、先軍政治を幼いころから植えつける思想教育を行おうという北朝鮮当局の意図がうかがえる。【6月2日 聯合ニュース】
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児童誘拐
今回は敢えて“思想教育”云々には触れません。
先日も取り上げた中国の、「一人っ子政策」に乗じた地方役人による子供連れ去り、海外への売却に比べれば、はるかにましでしょう。社会への影響度合いは別ですが。

****一人っ子政策」悪用の赤ちゃん連れ去り、中国当局が捜査開始****
中国政府は10日、人口計画出産委員会の関係者が、1家庭の産児数を制限する「一人っ子政策」を悪用して子どもたちを人身売買していた疑いについて、調査を始めたことを明らかにした。
中国誌「財新」が、湖南省の同委員会当局者らが、子どもたちを連れ去り、米国やオランダ向けの養子縁組組織に売り飛ばしていた疑いがあるとの報道をうけたもの。
財新は、同省では20人前後の子どもたちが、「一人っ子政策」違反との理由で強制的に家族から引き離され、養子縁組組織に売られ海外に引き取られていったと報じている。(後略)【5月11日 AFP】
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中国では、社会一般に児童誘拐が蔓延しているとも報じられています。
****児童誘拐大国の深刻すぎる背景とは****
・・・・中国に住むと、驚くほど頻繁に「誘拐」という言葉が耳に入ってくる。児童や女性の誘拐事件は毎年3000件を超えるといわれ、被害者は出稼ぎ農民の子供が多い。親が忙しく、目が届きにくいのが理由だ。
生後数日の乳児から9歳くらいまでが狙われるが、特に3~7歳の子供がさらわれやすい。子供1人が1万~数万元で取引されるという。(中略)

テレビニュースは、子供を誘拐されたときに善後策を講じられるよう日頃から子供の近影だけでなく、歯科治療記録や指紋を準備しておこうと呼び掛けている。被害に遭ったときの備えまでしておこうというところが、誘拐が決して人ごとではないことを物語る。

特に誘拐が多発しているのが広東省だ。地元紙は、売買現場となっている地下診療所の医師の「女の子は2万元、男の子なら少なくとも5万元で売れる。よく問い合わせがある」という証言を紹介。生まれた子が女の子だったため売りに来る親の姿も伝えている。
子供のいない都市部の家庭や労働力を必要とする農村に買われていくこともあるが、誘拐した子供に物乞いさせる犯罪組織もある。健常者では通行人の同情を得られないため、誘拐後にわざと手足を不目由にさせるケースもあるという。

夕方になると都市部の幼稚園はもちろんのこと、小学校の門前に子供や孫の下校を待つ父母や祖父母が鈴なりになる。「小皇帝」を甘やかす過保護な保護者の姿にも映るが、子供の安全を考えるなら、登下校時の送り迎えは当然のことなのだ。【6月1日号 Newsweek日本版】
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【「赤ちゃん工場、拷問死」】
ただ、世の中にはもっと怖い話はたくさんあります。
下記の記事は、“売買”だけでなく、“生産”からの一貫システムで行おうというものです。

****子ども売買目的、少女32人を妊娠させる ナイジェリア****
ナイジェリアの警察当局は1日、人身売買するための子どもを少女に産ませようとしていた病院経営の男を南部アバで逮捕し、32人の妊娠した少女を保護したと発表した。

AFP通信などによると、保護されたのは15~17歳の少女で、産んだ子どもを3万ナイラ(約1万5千円)で男に売るよう持ちかけられていた。警察当局は男が子どもをより高い値段で売り飛ばす目的だったとみて、人身売買と児童虐待の疑いで調べている。
ナイジェリアでは貧困につけ込んだ人身売買ビジネスが横行しており、この手の病院は「赤ちゃん工場」と呼ばれる。売られた子どもは奴隷的な労働をさせられたりするほか、呪術の儀式の生けにえにされる例もあり、高ければ1人あたり100万ナイラの値が付くという。【6月2日 朝日】
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“西アフリカでは、児童の人身売買が横行している。多くは農園や鉱山、工場の働き手として、家政婦として、あるいは売春婦として売られるが、黒魔術の儀式用に殺害または拷問を受けるケースもある。NAPTIPによると、ここ最近は違法な養子縁組が結ばれる傾向が見られるという”【6月2日 AFP】ということです。
“黒魔術の儀式用に殺害または拷問”・・・・言葉を失います。

反政府でもが続くシリアからは、“拷問死”のニュースも。
****シリア:デモ参加の13歳、拷問死の疑い…政権は否定*****
シリアのアサド政権による民主化要求デモへの弾圧で、子どもに対する拘束や拷問が問題化している。拷問死したとされる少年について、反体制派は「当局の残虐行為の殉教者」と攻勢を強めているが、政権側は「にせ情報だ」と反論、大統領が事実関係の調査を約束するなど、国民の怒りを抑え込もうとしている。

国連児童基金(ユニセフ)によると、シリアの弾圧では、未確認ながら30人の子どもが死亡したとの情報がある。最近注目を集めているのが、民衆蜂起の発火点である南部ダルアーで死亡したハムザ・ハティーブ君(13)の事件だ。シリア人でつくる複数の人権団体によると、ハムザ君は4月29日にデモに参加して拘束され、5月下旬に遺体となって家族のもとに返された。体には「ムチで打たれ、電気を流された跡が残り、首の骨が折られ、性器が切断されていた」といい、拷問死が疑われている。

一方、シリア国営テレビは5月31日、全面的に反論する番組を放映。ハムザ君は「デモに参加し、4月29日に銃撃され死亡した。拘束も拷問もない」と主張した。アサド大統領が遺族と面会し、調査を約束したとの情報もある。
ユニセフは5月31日、「シリアで子どもが負傷、拘束、殺害されたとの報告が増えている」と指摘。3月中旬にダルアーで始まった民主化要求デモも、政権批判の落書きをしたという少年15人が拘束されたのがきっかけだった。シリアによる弾圧では1000人以上が死亡、1万人が拘束されたとされる。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本部ニューヨーク)は1日、50人以上の目撃証言に基づくダルアーでの弾圧状況についての報告書を公表。「当局の行為は人道に対する罪だ」と非難した。【6月2日 毎日】
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