(雲がかからなければポカラ市街から「ネパールのマッターホルン」マャプチャレの大きな姿が望めるのですが・・・
“flickr”より By gordontour http://www.flickr.com/photos/gordontour/5532058123/)
【ヒマラヤに響く遠雷】
9日に日本を出発して、ネパールを観光中です。
今日13日は首都カトマンズから、ヒマラヤトレッキングのベースとなっているリゾート都市ポカラへ朝の飛行機で移動。
飛行機からは万年雪を戴いたヒマラヤの山々を、ほんの一部だけですが眺めることもできました。
ただ、ポカラの空港に降り立つと天気はいいのですがガスっており、マチャプチャレをはじめとするアンナプルナ
山を眺めるなら乾期の冬場がお勧めです。
ポカラには3日間滞在し、4日目の朝カトマンズに戻ります。この間にマチャプチャレを眺めることができるかは日頃の行い次第・・・ということ、あまり期待しない方がいいということでしょうか。
前回12年前に訪れた際にもなかなか拝めず、あきらめていた最終日夕方に思いがけず姿をあらわし、その美しさに感動したものです。
午後から天気が崩れ、今もときどき遠くで雷鳴みたいなものも聞こえます。明日の天気は大丈夫でしょうか。
ポカラと言えばトレッキングですが、そんな体力も時間もお金もないので、明日・あさってはお手軽ハイキングなどを楽しむ予定です。
でも、到着したこの日は特に予定もありません。
観光スポット的なものもあることはあるのですが、あまり動き回る気にもならず、街中を少し歩き、旅行会社で翌日のハイキングのアレンジを済ませ、安宿で知り合った日本からの方(リタイアされた年齢の方ですが、今日はパラグライダーを楽しまれたそうです)としばし雑談し、2時すぎ頃からは部屋でゴロゴロしていました。
日本から持ってきた昔懐かしい「猿岩石」(!)の文庫本をしばらく読み、ネットでいろいろ検索し、疲れたら昼寝・・・せっかくネパールまで来て、そんな形で時間をつぶすのはもったいないとも思いますが、自分がしたいことをやりたいようにやるのが休日という気もします。
もっとも、部屋の大き目の窓から異国の町を眺めながらゴロゴロするのは、日本の自宅で同じように過ごす時間とは、また何か違ったもの、日常から切り離された開放感的なものがあります。
本当はこの時間にいつもより早めにブログを書き上げてしまいたかったのですが、持参のポンコツPCのバッテリーが切れ、恒例の停電のため出来ませんでした。
ポカラの電力事情はカトマンズよりましかも・・・と、少し期待していたのですが、大差ないようです。今日の午後は時から通電しています。
【「国の将来のためには軍と国民の和解も必要で、反対派こそなぜ抗議するのかを熟慮すべきだ」】
今日目に付いた記事は、11日ブログで取り上げたミャンマー・スー・チー氏に関するもの。
11日ブログは最後に“スー・チー氏が、民主化運動の象徴から現実政治化へ転進し、将来的には大統領としてミャンマーを導くのか、あるいは、理想は語ることはできても現実問題への対応はできないことをさらけ出すのか、今後の動向が気になるところです”と書いたのですが、ちょうどそのことに関係することです。
****ミャンマー:スーチー氏の調査委が銅山開発認める 反発も****
ミャンマー中部の銅山開発を巡る反対運動を巡り、野党指導者アウンサンスーチー氏が委員長を務める調査委員会は「開発継続」を認める報告書を公表した。
事業は軍系企業と中国の合弁で、報告書は「開発中止は外国投資を冷え込ませる」と指摘し、国益に配慮した。民主化勢力が加勢する反対派は「住民軽視だ」と抗議行動を再開する意向で、矢面に立った格好のスーチー氏に対し風当たりが強まる可能性がある。
反対運動は、レパダウン銅山の一部住民が昨年6月、土地収用への「補償金が不十分」として始めた。この動きに僧侶を含む民主化活動家が合流し、開発中止を求める運動に発展。治安部隊は11月、開発予定地を「占拠」した反対派数百人をガス弾を使い強制排除、多数の負傷者が出た。
このためテインセイン政権の要請でスーチー氏をトップとする調査委員会が発足。11日公表された報告書は「地元住民への適切な補償と雇用機会の提供が必要だ」と問題点を指摘しつつ「開発は中国の利益というより国益にかなう」と強調。「開発の一方的な中止は中国との関係に悪影響を与え、外国企業がこの国への投資に関心を失うことにもつながる」と懸念を示した。
反対派は、治安部隊が強制排除の際に「深刻なやけどを負う白リン弾を使った」と非難していたが、報告書はこの事実を認めながら、反対運動は「地元と無関係な組織の扇動で広がった」と指摘した。また、反対派が主張する「環境影響」についても「大きな影響はない」と否定した。
銅山開発の契約は、親中国政策を続けた軍政期の2010年に結ばれており、契約も反対派の強制排除も「中国への配慮では」との指摘がある。スーチー氏は12日、取材に「中国や軍が問題のメーンではない。調査委は、この国の将来を考慮した。そのためには軍と国民の和解も必要で、反対派こそなぜ抗議するのかを熟慮すべきだ」と自制を求めた。
スーチー氏に対しては西部ラカイン州での宗教対立や北部カチン州での政府軍と武装組織の戦闘を巡り「静観しているだけだ」と国内外から批判がある。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのロバートソン氏(アジア局長代理)は「ノーベル平和賞受賞者というより二流政治家」と酷評している。【3月13日 毎日】
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中部モンユワのレパダウン銅山については、以前ブログで取り上げたことがあります。
環境汚染を主張して反対する住民・僧侶に対し、治安部隊がこれを実力で排除し、多数の犠牲者が出ました。
この銅山開発の主体が、既得権益層の軍関連企業とミャンマーに大きな投資を行っている中国関連であることも、問題をデリケートにしています。
調査報告を任された民主化運動の象徴スー・チー氏がどのような判断を下すのか非常に注目されていた案件です。
スー・チー氏は当初から、「国の将来にとって正しいと思うことをする。私の決断が皆さんを喜ばせるとは限らない」と述べ、銅山閉鎖を支持しない可能性を示していました。
実際、住民側にとっては厳しい、白黒をはっきりさせた報告書となっています。
住民らに報告するため現地入りしたスー・チー氏に対して、住民からは厳しい抗議の声が上がり、“地元記者によると、現地では報告書に不満を持つ住民ら約250人が集結。「スー・チー氏はいらない。報告書も調査委もいらない」と気勢を上げた。”【3月13日 時事】とのことです。
レパダウン銅山の実態がわかりませんので、今回報告書の評価も難しいところです。
現実政治家への転身を見せているのか、「ノーベル平和賞受賞者というより二流政治家」なのか。
政権側に利用されているという批判もあるでしょう。
もとより、政権側に屈しない姿勢を貫いたスー・チー氏は、その存在自体が民主化運動・反政府運動の象徴だったわけですが、具体的政策について彼女がどのような考えを持っているのかは、いままであまり触れられてきませんでした。
開発・成長によって国民生活がよくなるという目に見える実益なしには、民主化への国民の支持をつなぎとめることもできません。
また、既得権益層や中国とのいたずらな軋轢も、今後の改革を続けていくうえでマイナスになるという判断もあるでしょう。
そうしたことも踏まえたうえでの現実的判断だったのでしょう。
「反対派こそなぜ抗議するのかを熟慮すべきだ」といった発言からは、ミャンマーは軍政によって失われた年月を取り戻さねばならないという、豊かさ・経済的成長へのスー・チー氏自身の強い思いが窺えます。
それにしても、住民抗議活動に“白リン弾”を使用するというのは、ミャンマー治安部隊の体質が旧態依然であることを示しています。
こうした面についてはスー・チー氏の口から厳しい指摘があってしかるべきでしょう。それなしには、開発独裁的な既成政治家とあまり変わるところがないことにもなります。