【チベット難民キャンプ】
今日15日もネパール・ポカラを観光しています。
ヒェンザ~ダンプス~フェンディのハイキングコースを歩き、マチャプチャレなどの美しい風景を堪能しました。
帰途、ヒェンザ近くにあるチベット難民キャンプによってもらいました。
正確に言えば、キャンプの大きなチベット寺院です。読経の最中だったのですが、ジャパニーズ・ブッディストだと言ったところ入っていいとのことで、中を拝見させていただきました。
寺院の境内は、観光客目当てのみやげ物屋が並んでいます。おそらく就労などの制約があるなかでは、キャンプ最大の収入源なのでしょう。
特に、通常の寺院と変わりなく、“難民キャンプ”といった雰囲気はありません。今回は居住区は訪れませんでしたが、そちらも難民キャンプというよりはチベット人街といった雰囲気のようです。
50年ほどの歴史のある古いキャンプで、チベットを実際に脱出した人は相当の高齢になっているものと思われ、若い人は2世、3世でしょう。
制約と保護のもとで、仕事の機会も少なく、将来の展望もなく毎日をすごす・・・といった、アメリカインディアンの居留区にも似た閉塞感があるようにも思われます。
【難民受け入れ側の苦悩】
一方、シリア難民の方は、生死がかかった緊迫した毎日です。
受け入れる側も重い財政負担に苦しんでいます。
****トルコ軍、シリア難民に発砲も=急増でキャンプ満員―違法な越境ルートに変化****
内戦に発展したシリアの反体制運動開始から15日で2年となる中、100万人を突破したシリアから周辺国への難民の増加が止まらない。隣国トルコの難民キャンプは建設が追い付かず、シリア側にもキャンプの設置が進む。難民急増に危機感を強めるトルコ側が、越境しようとする難民に発砲する事件も起きている。
シリア北部ヤジバーグ村に設置された反体制武装組織「自由シリア軍」の検問所。オリーブ畑を歩いて約300メートルでトルコ側に至る越境ルートの一つだ。パスポートなどを持たないシリア難民や義勇兵(イスラム戦士)の移動、武器の密輸に使われてきた。
難民の流入を黙認してきたトルコ軍だが、検問所のオマル・バドリ指揮官(27)によると、約10日前からトルコ軍は難民の越境を認めず、軍の発砲で少女と高齢男性の難民計2人が負傷する事件も発生した。
トルコ側にも事情はあるようだ。トルコ当局者によれば、同国は既に17カ所のキャンプに18万5000人を収容。新たなキャンプの建設も進むが、財政負担が重くのしかかっている。100万人を突破した周辺国へのシリア難民は、事態が改善しなければ、年末には300万人に達するとの予測もある。
バドリ指揮官は「戦火を逃れてきた難民は一体どこに行けばいいのか」と、国際社会の対応の遅れに不満を示す。
アサド政権による激しい弾圧が続く中、国際社会の無策にもいら立ちを強めている。外国からの武器は昨年6月ごろに入って以来、ほぼ途絶えているという。バドリ指揮官は「反体制派への支援を約束した国際社会はうそつきだ。
**********************
シリア・アサド政権への対決姿勢を鮮明にし、これまでシリア難民に寛容な対応をとってきたトルコですが、増え続ける難民の対応に苦慮しているようです。
【攻撃力がある上、略奪といった逸脱行為も少ない】
一方、上記記事にもあるように反体制派への武器支援については、欧米はこれまで慎重な姿勢をとってきました。そのことが「国際社会はうそつきだ」といった批判にもなる訳ですが、武器支援をためらう最大の理由は、反体制派内でのイスラム過激派の存在です。支援した武器が結果的にアルカイダとも協調するイスラム過激派組織に渡ってしまう事態を懸念しています。
****シリア、原理主義国家目指す=ビンラディンは「総司令官」―イスラム武装組織指揮官****
内戦が続くシリアの反体制イスラム武装組織「アハラル・シャム」の北部アザズの地元指揮官アブ・マフムード氏(43)は15日未明、時事通信のインタビューに応じ、アサド政権崩壊後にシャリア(イスラム法)に基づく原理主義的な国家の創設を目指す考えを表明した。さらに、国際テロ組織アルカイダの元首領ビンラディン容疑者について「ムジャヒディン(イスラム戦士)の総司令官だ」と表現、思想的に同調する姿勢を示した。
指揮官は主要な反体制武装組織「自由シリア軍」との違いについて、「反アサド政権という点で相違はないが、政権打倒後の国家造りでは意見の違いがあるかもしれない」と説明した。
イスラム武装組織は戦闘力が高いといわれることに関し、指揮官は「真のイスラム教徒は死を恐れない。殉教すれば天国が待っている」と述べ、戦闘中の死を恐れていないことを強調。自爆作戦については「自爆でしか攻撃できない場合に実施する。組織の指導者は殉教を名乗り出た人々のリストを持っている」と述べ、自爆志願者が多数いることを明らかにした。【3月15日 時事】
*******************
こうしたイスラム過激派組織は戦闘力が高いだけでなく、住民支持を獲得しているという点でも存在感を強めています。
*****イスラム武装勢力が台頭=信仰心あつく住民に人気―少数派や欧米は懸念・シリア*****
内戦が続くシリアの反体制運動開始から15日で2年が過ぎた。同国では離反兵らが結成した反体制武装組織「自由シリア軍」に加え、イスラム武装組織が台頭。信仰心があつく殉教作戦もいとわないため攻撃力がある上、略奪といった逸脱行為も少ないとあって、住民の信頼を獲得している。
シリアでは、米政府がテロ組織に指定し、国際テロ組織アルカイダともつながる「ヌスラ戦線」や「アハラル・シャム」、「ムハンマド軍」など複数の反体制イスラム武装組織が活動。欧米諸国はアサド政権崩壊後にこうしたイスラム勢力が欧米敵視のテロ行為に走る可能性があるとして、反体制派への武器供与に二の足を踏んでいる。
激戦が続く北部の要衝アレッポに住むサーレムさん(32)は「自由シリア軍は問題を起こすこともあるが、イスラム勢力は宗教的な戒律に従い、逸脱行為がない」と評価する。北部アザズの地元有力者は「イスラム勢力は弱者に対する食料の配布などイスラムの喜捨に基づく活動もしており、これが支持を受けている要因だ」と説明する。【3月15日 時事】
*********************
エジプトで穏健派イスラム主義のムスリム同胞団が大きな力を得たのも、イスラムの教えに沿った住民福祉活動がありました。
住民がそうしたイスラムの教えに沿った活動を評価して支持するというのなら、それを否定することもできません。
国家を含め、住民の面倒をみてくれる組織が他にないのですから。
“シャリア(イスラム法)に基づく原理主義的な国家”についても、伝統的な生活様式で暮らす地方の貧困層にとっては違和感もあまりないでしょう。
ただ、不寛容な宗教と武器が支配する社会は、個人の自由・人権を根本的価値観とする日本などからすると受け入れがたいものです。アフガニスタンのタリバン政権にみられるように、原理主義的社会は決して住民の幸せにも繋がらないように思えます。
イスラム原理主義を選択しようとする人々にどのように対処すべきか、悩ましい問題です。
今日15日もネパール・ポカラを観光しています。
ヒェンザ~ダンプス~フェンディのハイキングコースを歩き、マチャプチャレなどの美しい風景を堪能しました。
帰途、ヒェンザ近くにあるチベット難民キャンプによってもらいました。
正確に言えば、キャンプの大きなチベット寺院です。読経の最中だったのですが、ジャパニーズ・ブッディストだと言ったところ入っていいとのことで、中を拝見させていただきました。
寺院の境内は、観光客目当てのみやげ物屋が並んでいます。おそらく就労などの制約があるなかでは、キャンプ最大の収入源なのでしょう。
特に、通常の寺院と変わりなく、“難民キャンプ”といった雰囲気はありません。今回は居住区は訪れませんでしたが、そちらも難民キャンプというよりはチベット人街といった雰囲気のようです。
50年ほどの歴史のある古いキャンプで、チベットを実際に脱出した人は相当の高齢になっているものと思われ、若い人は2世、3世でしょう。
制約と保護のもとで、仕事の機会も少なく、将来の展望もなく毎日をすごす・・・といった、アメリカインディアンの居留区にも似た閉塞感があるようにも思われます。
【難民受け入れ側の苦悩】
一方、シリア難民の方は、生死がかかった緊迫した毎日です。
受け入れる側も重い財政負担に苦しんでいます。
****トルコ軍、シリア難民に発砲も=急増でキャンプ満員―違法な越境ルートに変化****
内戦に発展したシリアの反体制運動開始から15日で2年となる中、100万人を突破したシリアから周辺国への難民の増加が止まらない。隣国トルコの難民キャンプは建設が追い付かず、シリア側にもキャンプの設置が進む。難民急増に危機感を強めるトルコ側が、越境しようとする難民に発砲する事件も起きている。
シリア北部ヤジバーグ村に設置された反体制武装組織「自由シリア軍」の検問所。オリーブ畑を歩いて約300メートルでトルコ側に至る越境ルートの一つだ。パスポートなどを持たないシリア難民や義勇兵(イスラム戦士)の移動、武器の密輸に使われてきた。
難民の流入を黙認してきたトルコ軍だが、検問所のオマル・バドリ指揮官(27)によると、約10日前からトルコ軍は難民の越境を認めず、軍の発砲で少女と高齢男性の難民計2人が負傷する事件も発生した。
トルコ側にも事情はあるようだ。トルコ当局者によれば、同国は既に17カ所のキャンプに18万5000人を収容。新たなキャンプの建設も進むが、財政負担が重くのしかかっている。100万人を突破した周辺国へのシリア難民は、事態が改善しなければ、年末には300万人に達するとの予測もある。
バドリ指揮官は「戦火を逃れてきた難民は一体どこに行けばいいのか」と、国際社会の対応の遅れに不満を示す。
アサド政権による激しい弾圧が続く中、国際社会の無策にもいら立ちを強めている。外国からの武器は昨年6月ごろに入って以来、ほぼ途絶えているという。バドリ指揮官は「反体制派への支援を約束した国際社会はうそつきだ。
**********************
シリア・アサド政権への対決姿勢を鮮明にし、これまでシリア難民に寛容な対応をとってきたトルコですが、増え続ける難民の対応に苦慮しているようです。
【攻撃力がある上、略奪といった逸脱行為も少ない】
一方、上記記事にもあるように反体制派への武器支援については、欧米はこれまで慎重な姿勢をとってきました。そのことが「国際社会はうそつきだ」といった批判にもなる訳ですが、武器支援をためらう最大の理由は、反体制派内でのイスラム過激派の存在です。支援した武器が結果的にアルカイダとも協調するイスラム過激派組織に渡ってしまう事態を懸念しています。
****シリア、原理主義国家目指す=ビンラディンは「総司令官」―イスラム武装組織指揮官****
内戦が続くシリアの反体制イスラム武装組織「アハラル・シャム」の北部アザズの地元指揮官アブ・マフムード氏(43)は15日未明、時事通信のインタビューに応じ、アサド政権崩壊後にシャリア(イスラム法)に基づく原理主義的な国家の創設を目指す考えを表明した。さらに、国際テロ組織アルカイダの元首領ビンラディン容疑者について「ムジャヒディン(イスラム戦士)の総司令官だ」と表現、思想的に同調する姿勢を示した。
指揮官は主要な反体制武装組織「自由シリア軍」との違いについて、「反アサド政権という点で相違はないが、政権打倒後の国家造りでは意見の違いがあるかもしれない」と説明した。
イスラム武装組織は戦闘力が高いといわれることに関し、指揮官は「真のイスラム教徒は死を恐れない。殉教すれば天国が待っている」と述べ、戦闘中の死を恐れていないことを強調。自爆作戦については「自爆でしか攻撃できない場合に実施する。組織の指導者は殉教を名乗り出た人々のリストを持っている」と述べ、自爆志願者が多数いることを明らかにした。【3月15日 時事】
*******************
こうしたイスラム過激派組織は戦闘力が高いだけでなく、住民支持を獲得しているという点でも存在感を強めています。
*****イスラム武装勢力が台頭=信仰心あつく住民に人気―少数派や欧米は懸念・シリア*****
内戦が続くシリアの反体制運動開始から15日で2年が過ぎた。同国では離反兵らが結成した反体制武装組織「自由シリア軍」に加え、イスラム武装組織が台頭。信仰心があつく殉教作戦もいとわないため攻撃力がある上、略奪といった逸脱行為も少ないとあって、住民の信頼を獲得している。
シリアでは、米政府がテロ組織に指定し、国際テロ組織アルカイダともつながる「ヌスラ戦線」や「アハラル・シャム」、「ムハンマド軍」など複数の反体制イスラム武装組織が活動。欧米諸国はアサド政権崩壊後にこうしたイスラム勢力が欧米敵視のテロ行為に走る可能性があるとして、反体制派への武器供与に二の足を踏んでいる。
激戦が続く北部の要衝アレッポに住むサーレムさん(32)は「自由シリア軍は問題を起こすこともあるが、イスラム勢力は宗教的な戒律に従い、逸脱行為がない」と評価する。北部アザズの地元有力者は「イスラム勢力は弱者に対する食料の配布などイスラムの喜捨に基づく活動もしており、これが支持を受けている要因だ」と説明する。【3月15日 時事】
*********************
エジプトで穏健派イスラム主義のムスリム同胞団が大きな力を得たのも、イスラムの教えに沿った住民福祉活動がありました。
住民がそうしたイスラムの教えに沿った活動を評価して支持するというのなら、それを否定することもできません。
国家を含め、住民の面倒をみてくれる組織が他にないのですから。
“シャリア(イスラム法)に基づく原理主義的な国家”についても、伝統的な生活様式で暮らす地方の貧困層にとっては違和感もあまりないでしょう。
ただ、不寛容な宗教と武器が支配する社会は、個人の自由・人権を根本的価値観とする日本などからすると受け入れがたいものです。アフガニスタンのタリバン政権にみられるように、原理主義的社会は決して住民の幸せにも繋がらないように思えます。
イスラム原理主義を選択しようとする人々にどのように対処すべきか、悩ましい問題です。