孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  選挙・犯罪・糖尿病・・・人種問題に関する話題から

2008-06-10 17:17:59 | 世相

(指名レース勝利を確実にしたオバマ夫妻 6月3日 ミネソタ “flickr”より By Cherie Priest
http://www.flickr.com/photos/cherie_priest/2551839384/)

【オバマ ヒラリーに勝利】
アメリカ大統領選挙の民主党候補がようやく確定しました。
選挙戦が始まる昨年の1,2月ころまでは、みんなヒラリー・クリントンが民主党候補になると思っていたばかりでなく、共和党支持者すら“次期大統領はヒラリーだろう”と考えていました。
しかし、結局「ガラスの天井」を突き破ることはかないませんでした。

それは女性であるがゆえに遠くからでは目に見えない“ガラスの天井”で進出を阻まれる・・・というよりは、「私は家庭でクッキーを焼いて満足するような女性ではない」というような攻撃的な彼女の個性が、対立候補のオバマ氏の優しく癒し、包み込むような個性を逆に際立たせていったようにも思えます。

オバマ候補をスターダムに押し上げた2004年民主党大会での有名なスピーチ。
「わたしは彼らにこう言いたい、“ここにあるのは、リベラルなアメリカでも保守的なアメリカでもなく、アメリカ合衆国なのだ”と。ここにあるのは黒人のアメリカでも白人のアメリカでもラティーノのアメリカでもアジア人のアメリカでもなく、アメリカ合衆国なのです。」
http://macska.org/article/34  “macska dog org”より)

アメリカに人種の問題があることは誰もが知っています。
しかし、それを口にすることは、特に公の場に持ち出すことは、非常にデリケートな配慮を必要とするようです。
しばしば、人種の問題などないように振舞うことが要求されます。
それでも、やはり問題は存在します。

****米国の囚人、世界最多の230万人 30代前半の黒人男性は11%が壁の中*****
【6月7日 AFP】国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は6日、米国の刑務所で収監されている囚人が史上最多の230万人に上り、他国と比べても最多だと声明で発表した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは米法務省が公表した調査を引用し、受刑率は米国が10万人あたり762人と、英国の152人、カナダの108人、フランスの91人などを大きく引き離していると指摘した。
米国の刑務所で収監されている黒人と白人の割合は6対1で、人種別の人口比率と大きく異なっている。司法省の報告によると、30歳から34歳の黒人男性の11%近くが収監されているという。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、米国内で白人も黒人もほぼ等しく薬物に手を染めているにもかかわらず、薬物に関連した犯罪で収監されるのは、黒人が白人に比べ12倍も多いと指摘している。
*********************

“30歳から34歳の黒人男性の11%近くが収監されている”というのは驚異的な数字です。
該当の世代の場合、知り合いの10人にひとりは塀の中・・・ということですから。
“アメリカでどうしてこんなに犯罪が多いのか?”というのは重大なテーマですが、今日はパス。
“黒人と白人の割合は6対1”という点に絞ります。

アメリカは30年近く前に西海岸の観光ツアーに参加した以外は縁がありませんので、むこうの社会のことなどはわかりませんが、恐らく薬物や犯罪に関わりやすい生活環境の差があるのではないでしょうか。
(小説や映画などフィクションの世界からの印象ですが、ある程度現実を反映しているのでは・・・)

人種に関する話題でこんな記事も目にしました。
****糖尿病患者の手足切断率は黒人が白人の5倍、米大学研究*****
【6月9日 AFP】アフリカ系米国人の糖尿病患者が手足の切断手術を行うを確率は、白人の場合の5倍高い。医療における不平等を調査している米ダートマス大学の研究所は5日、こうした調査結果を発表した。
Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical Practice(健康政策と臨床診療に関するダートマス研究所)が米政府管掌の医療保険制度「メディケア」に加入している糖尿病患者を対象に調査を行ったところ、手足の切断手術を行った確率は、黒人では1000人中4.17人だったのに対し、白人では1000人中0.88人に過ぎなかった。
また、糖尿病患者のうち、極めて重要な血糖値管理試験を受けたことがあるのは白人では85%だったが、黒人では79%にとどまった。
こうした人種間格差は、ほかの検査項目でもみとめられた。例えば、メディケア加入者のうち、マンモグラフィー検診を受けた人は白人女性では64%だったが、黒人女性は57%だった。
同研究所は、こうした結果は医療の質における「驚くべき」人種間格差を示す新たな証拠だとしている。
**************************

“血糖値管理試験を受けたことがあるのは白人では85%だったが、黒人では79%”ということですから、確かに差はありますが、何倍もの差ではありません。
“手足切断率は黒人が白人の5倍”というのは、おそらく検査受診の差ではなく、普段の生活状態・意識の差ではないでしょうか。

糖尿病の食事療法は、非常に強靭な意志を必要とします。
食べ過ぎたら胃が痛む・・・というなら、誰でも摂生します。
しかし、糖尿病では別に不摂生しても当座は痛くもかゆくもありません。
ただ、その不摂生の影響が10年後、15年後に・・・という訳ですから、遠い将来のリスクのために、今現在の食欲という生理的欲求を押さえ込む意思が必要とされます。

漠然とでも“明日”に何らかの期待を持てるなら、「10年後、15年後を考えて、今はがんばろう」という気持ちにもなれます。
逆に“クソみたいな毎日で、明日のことなんて・・・”というのであれば、今を摂生するのは難しいでしょう。
そういう生活環境、意識の差が“手足切断率は黒人が白人の5倍”になっていると考えるのは思い違いでしょうか。

****黒人6割「オバマ氏の身に危険」=人種対立改善期待も-米ギャラップ社****
【6月7日 時事】米民主党の大統領候補指名が確定したオバマ上院議員について、他の候補者より、危害が加えられる可能性が高い」と回答したのは全体の42%。黒人では57%と高い割合を示したのに対し、白人では39%にとどまった。
また、同社とUSAトゥデー紙が最近、ロサンゼルスとニューヨークの黒人を対象にした調査では、75%が「オバマ氏は他の候補者より白人と黒人の関係を改善してくれる」と期待感を示した。
*****************

ヒラリーが思ったのか思わなかったのかは分かりませんが、これまでのテロ・暗殺の歴史を考えると、そういう危害の可能性も現実問題としてはあるのかもしれません
もし、オバマ候補が大統領となれば、政策的には未知数なだけに、これまでの言動から、金正日総書記と会談するのではないか? 中国に対し貿易制裁を発動するのではないか? イスラム武装勢力一掃のためにパキスタンに米軍を派遣するのではないか?・・・といった疑問を感じる向きもあります。

一方で、実質的に多様な世界をリードする米大統領という立場に、人種的マイノリティー出身で、異なる価値観の共存と融和を旨とする人物がつくということには、“何か変わるのでは・・・”という期待を感じます。
しかし、“白人と黒人の関係を改善してくれる”という期待感は、問題が難しいだけに、期待にこたえられないときの反動ともなって、暗殺云々よりもっと厄介かも。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イラク  米軍死亡者は5月最少の19人、しかし・・・・

2008-06-09 14:50:50 | 国際情勢

(米軍の医療援助活動 薬をもらう列に並ぶ少女 
米軍も戦闘ばかりやっている訳ではないのですが、イラクの人々の心を掴むことはできないようです。“flickr”より By soldiersmediacenter
http://www.flickr.com/photos/soldiersmediacenter/2400262409/ )

【駐留米軍の月間死者数、5月は過去最少】
マリキ首相が陣頭指揮にたった3月末の治安部隊とシーア派反米指導者サドル師傘下の民兵組織“マフディ軍”との戦闘が、イランの影響力とサドル師の存在感を見せつけるかたちで収束したことを4月4日に取り上げましたが、4月に戦闘が再燃。

サドルシティーを中心に、米軍及びイラク政府軍とマフディ軍の間で戦いが行われましたが、5月10日にサドル師側からイラク政府と停戦に合意したと発表がなされました。
その後、戦闘は落ち着いたようです。

この間、「マフディ軍に武器を供与している」とアメリカはイランを非難。
マリキ政権はイランとも友好関係を持っていますが、アメリカとイランの板ばさみになるかたちで、5月1日議員団をイランに送っています。

****イラク駐留米軍の月間死者数、5月は過去最少*****
【6月1日 AFP】5月のイラク駐留米軍の死亡者は19人で、2003年の米軍侵攻以来、月間の死亡者数として最も少なかったことが明らかになった。
これまでイラク駐留米兵の月間死亡者が最も少なかったのは、20人が死亡した2004年2月だった。
一方、月間の米兵の死亡者が最も多かったのは137人が死亡した2004年11月だった。
イラク侵攻以来、4084人の米兵がイラクで死亡した。
米軍は前週、イラク全土で武力衝突の度合いが4年間で最も低いレベルに低下していると発表していた。
*********************

【イラク占領による死亡者数は121万人】
確かに、イラクからの大きな戦闘や事件のニュースは、最近あまり目にしなくなりました。
もちろん、完全に収まっている訳ではなく、今日も「イラクでは8日、北部で車両爆弾による自爆攻撃で米兵1人が死亡し18人が負傷、さらに首都バグダッド中心部や各地でも攻撃が相次ぎ、民間人計13人が死亡した。」【6月9日 AFP】なんて記事が入っています。

そもそも、すでに十分すぎる被害がイラクでは出ています。
ジャスト・フォーリン・ポリシー(米独立系外交研究機関)が発表したイラク占領による死亡者数は121万3,716人でした。(米軍死亡者4084名を含むのかどうかは不明 どちらにしてもイラク人死亡者のほうが桁違いに多くなっています。)

*****イラク占領:推定よりはるかに多い死亡者数*****
「宗派間の抗争でディヤラ川へ投げ込まれた死体は数えられていない」とディヤラ県の県都バグバの住人はいう。あまりに多くの死体が投げ込まれ、川のそばで生活できなくなり、引っ越した人々もいる。
ディヤラ県の警察官は、「逮捕された民兵の自白によると相当数の遺体が処分されていて、その数を正確に把握するのは不可能だ」と語った。
民兵などが支配している地域には警察や軍隊が近づけないため、実際の死亡者数は調査結果をさらに上回ると多くの人は思っている。
「毎日のように多数の人々が拉致されて民兵の支配地域に連れて行かれたが、その後の消息は分からない」と野菜売りの男性は話す。【6月8日 IPS】
***************
戦闘状態にあるとき、民間人の被害者がどれだけ出ているかを把握するのは困難です。
“121万人”が実際より大きすぎるのか、小さすぎるのかはわかりませんが、すでに十分すぎる数であり、今も増え続けていることは間違いありません。
亡くなった人だけでなく、イラク内外で難民となっている人々も多数存在しています。

【イラク難民】
*****イラク難民受け入れ限界 ヨルダン外相*****
ヨルダンのバシール外相が5日、アンマンで共同通信と会見し、同国に逃れてきたイラク難民の生活を支えるための政府の財政負担が「限界に達している」として危機感を表明、国際社会の早急な支援が不可欠だと訴えた。
ヨルダンにはイラク難民が50万-60万人おり、ヨルダン総人口の約1割に相当。政府は難民受け入れのため、過去3年間で約2100億円以上の財政支出を強いられたという。【6月6日 共同】
*************************
シリアにはヨルダン以上に多くのイラク難民が暮らしています。
受け入れ国が「限界に達している」と表明するということは、難民の生活が困窮していることをも意味します。

【マリキ首相 イランを訪問】
マリキ首相は7日、隣国イランを訪問しました。
イラクの治安や復興支援に加え、中断しているイラク治安問題をめぐる米国とイランの直接協議の再開や、米国とイラクが年末までに合意を目指す駐留米軍の地位協定交渉についても意見交換したものと思われます。
マリキ氏の首相としてのイラン訪問は3回目。
イランは同じイスラム教シーア派主導のイラク政府を支持しています。

*****イラン、イラク治安に関与 大統領「隣国の役割重い」*****
イランのアハマディネジャド大統領は8日、テヘランを訪問中のイラクのマリキ首相と会談、「イラクの平和と安全保障に対し隣国が果たす役割が極めて重くなっている」と述べ、イラクの治安問題にイランが引き続き関与していく意向を表明した。マリキ首相は7日、米国とイラクが交渉中の駐留米軍の地位協定がイランに脅威を与えるものであってはならないと表明しイランに配慮を示した。【6月9日 共同】
***********************

*****自国の攻撃拠点化認めず-イラク首相*****
「マリキ首相は、これに先立ち7日夜に行われたモッタキ外相との会談後「イラクがイランの安全保障を損なうための拠点となることを許さない」と述べた。米国によるイラン攻撃の基地となることを拒否する意向を示した発言とみられる。【6月9日 時事】
***********************

【存在感を増すイラン】
“隣国(イラン)が果たす役割が極めて重くなって”おり、“駐留米軍の地位協定がイランに脅威を与えるものであってはならない”“(イラクは)アメリカによるイラン攻撃の基地となることを拒否する意向”・・・・アメリカの思惑とは異なり、イラクにおけるイランの存在はいよいよ大きくなっています。
アメリカも本気でイラクから抜け出す考えなら、イランと何らかの交渉・合意が必要になっているようにも思えます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高騰が止まらない原油価格  高価格に対応した需要構造変化を

2008-06-08 14:03:02 | 世相

(“Thirsty for Oil”・・・“flickr”より By hrtmnstrfr
http://www.flickr.com/photos/hrtmnstrfr/154238076/

【止まらぬ高騰】
原油価格の高騰が止まりません。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は4日に121ドルと、1ヶ月ぶりの安値をつけましたが、その後急ピッチで切り返し、2日後の6日には1バレル=139.12ドルまで上昇。
5月22日に記録した最高値(135.09ドル)を大幅に更新しました。

1日で10ドル以上値上がりするというこの動きは、“5月の米雇用統計の大幅な悪化や、欧州の利上げ観測などから、ユーロなど主要通貨に対してドルが下落し、ドル建てで取引される原油相場への資金流入が加速した”【6月7日 毎日】ことによるものだそうです。

周知のとおり、基本的な“原油価格高騰”の枠組みとしては、新興国を中心にした実需の増加、サブプライムローン問題に端を発した金融不安による株やドルに投資していた投機マネーの流入(年金基金のような長期運用、ヘッジファンドのような短期運用の両方)が存在します。
グローバル化とIT化が進んだ今日、膨大な資金が瞬時に世界を駆け巡り、一気に価格を押し上げます。

【過去の石油ショックとの比較】
下記のグラフは、70年以降の原油価格の推移を表したものです。
http://www.afpbb.com/article/economy/2395043/2960039【図解】原油価格の推移 【5月23日 AFP】

話の本筋からややずれますが、“第三次石油ショック”とも言われることがある最近のすさまじい高騰をグラフで見て感じる最初の印象は、“それにしては、世の中随分落ち着いているじゃないか・・・”という感じです。
もちろん、ガソリン価格高騰に関する国内での騒動、石油をベースとする各種原材料・燃料費上昇に対する業界の悲鳴、最近では海外の漁業従事者の騒動・・・いろいろありますが、かつての石油ショック時、特に第一次石油ショック時の社会の混乱に比べると“落ち着いている”という印象です。

1973年10月6日に第四次中東戦争が勃発。これをうけたOPECの石油戦略によって10月に21%、翌年1月には2倍に原油価格は引き上げられました。(イスラエル支援国には禁輸するとの戦略も日本を慌てさせました。)
前年からの“列島改造ブーム”によるインフレと相まって、94年には消費者物価が23%上昇、売り惜しみ、買占めが横行し、トイレットペーパーや洗剤などに人々が殺到する“狂乱物価”の時代でした。

なお、第二次石油ショックは、1978年のイラン革命によりイランでの石油生産が中断、イランから大量の原油を購入していた日本は需給が逼迫、更に、1978年末にOPECが原油価格引き上げを実施・・・というものでした。

グラフで見ると、第一次のとき、それまでの4.31ドル(!)が一気に2倍程度に高騰し、その後78年まで3倍程度までに漸増しています。
第二次では、15ドル程度から36ドルへと、やはり2倍強に高騰しています。
なお、最近の動きでみると、03年のイラク侵攻当時の33ドルが現在139ドルですから、ここ5年で4倍に高騰しています。ここ1年で見ても、60ドル前後から2倍以上に跳ね上がる異常ぶりです。

なお、経済・社会への影響を見る場合、物価水準の上昇を考慮する必要があります。
下記グラフは物価水準変動を考慮した“実質価格”の推移です。
http://www.flickr.com/photos/foreclosurepro/2333927352/
“flickr”より By foreclosurepro
黒のラインが名目値、赤いラインが実質値です。
このグラフによれば、現在の物価水準に換算すると、第一次のとき約20ドルが約40~50ドルへ、第二次では約50ドルが約100ドルへ上昇したことが見てとれます。
現在の139ドルは、第二次当時の100ドル水準をはるかに越えています。

日本国内への影響という意味では、為替レートも考慮する必要があるかと思います。
71年に、それまでの1ドル=360円というレートが308円に切り上げられました。
73年からは変動相場に移行し、74年の第一次石油ショックの頃は270~300円で推移しています。
第二次石油ショックの78年頃は180円ぐらいまで急上昇した後、2年ぐらいで250円付近に低下しています。
おおまかに考えて、円表示の実質価格で考えると、第二次のころは現在の感覚で言うと200ドルぐらいの水準まで高騰した・・・とも見られますがどうでしょうか。(全くの素人の推測ですので、基本的な思い違いもあるかも。読み飛ばしてください。)

過去の石油ショックと比較すると、今回は需要サイドの要因でおきていること、それと、私が感じたように価格高騰の衝撃がある程度吸収されている特徴があるようです。

*******************
フランスの国立エネルギー研究機関であるIFPのエコノミスト、Francois Lescaroux氏は「過去2回の石油危機は、供給サイドの要因によるものだとの意見が支配的だ」と指摘する一方、「今回は誰もが需要サイドの要因で価格上昇を招いていると考えている」と語る。
猛烈なスピードで発展している中国とインドが原油需要を大きく高めているが、経済的な影響に関していえば、現状の原油価格の高騰は世界各国で価格高騰の衝撃が吸収されていると指摘。
「今回の石油価格高騰は、過去の石油危機と比べてインフレや不況といった悪影響を伴っていない。これは、過去の石油危機の経験を踏まえて、特に先進国において、原油価格高騰の影響を和らげることに成功しているということだ」と指摘した。 【07年12月4日 AFP】
***************

もうひとつ、原油価格の推移を見て思うのは、今回を含めて石油ショックと呼ばれるような高騰期に比べ、86年から03年というのは、異様に価格が安かった・・・ということです。
この安さが、化石燃料に頼る現在の構造を温存させてきたのでしょう。

【高価格への対応】
話を本筋に戻すと、“では、この価格高騰にそのように対処すべきか?”ということです。
投機マネーのことについては、4月28日のブログ「原油・食糧価格高騰、投機マネー、通貨取引開発税、トービン税のことなど」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080428)で“トービン税”などについて触れました。
ただ、中国・インドなど新興国の需要増加という実需の要因は今後もますます大きくなるでしょうから、長期的な対応を考える必要もあるのではないでしょうか。

需給の関係が逼迫すれば価格が上がるというのは、市場における当然のメカニズムで、それに応じて供給の拡大、需要の調整が行われるのが“本来”の姿です。
いたずらに価格補助などでその影響を小さくしようとするのは、高騰した価格による希少な資源の適切な分配という本来のメカニズムを損ねることになります。

別に、市場原理主義者ではありませんので、それで全てうまくいくとは言いません。
いろんな補完策、緩和策は必要になりますが、それは高価格に対応した需要の基本構造変革が行われることが前提になります。
日米中印韓5か国のエネルギー相会合が7日、青森市で行われ、燃料費への補助金の継続的な削減を表明した共同声明を採択しました。
共同声明では、政治的に慎重な対応が求められる燃料費への補助金の削減を求め、削減により「エネルギー効率が強化され」、代替エネルギーへの投資を呼び込めると訴えています。
これは、正しい方向だと思います。

原油ではなく、直接には温室効果ガスの問題ですが、アメリカ上院は6日の本会議で、温室効果ガスの排出量削減を義務付ける法案の審議を打ち切り、廃案としました。
企業の省エネ技術導入や排出権購入のコストが消費者に転嫁されることを危惧したものですが、消費者負担を上げない限り、需要の抜本的な調整は進みません

アメリカではガソリン価格が史上最高を記録するなかで、通勤の必要がない在宅勤務が人気をよんでいるとか。【6月2日 AFP】
価格上昇は、こうした社会構造の抜本的変化を求めています。
日本でもガソリン高騰で“遠出が減った”とか“バスなどに切り替えた”とかの“不満”が話題になっていますが、そういう行動変化こそが求められています。

エネルギー供給面について言えば、日本はロシアやノルウェーのように北極海で石油を掘ることはできません。
しかし、資源を持たないということは、自国の資源に縛られずフリーハンドで、最適な資源を世界に求めることができるというこでもあり、これまでもそのようなメリットを生かして日本は成長してきました。
今後も高くなった原油価格を前提に、遅れている自然エネルギー活用に本腰をいれるなどの転換が求められていると思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バングラデシュ、インドネシア、中国  変わる社会、変わらぬ社会

2008-06-07 16:30:36 | 世相

(19年前 天安門で抗議活動を行う学生を鎮圧に向かう戦車の車列の前に立ちはだかる1人の男性 “flickr”より By laihiu
http://www.flickr.com/photos/laihiu/159409428/sizes/o/)

【バングラデシュ 強権的に進む腐敗一掃】
バングラデシュでは、ともに軍事クーデターで命を落とした元大統領を夫または父に持つ二人の大物女性政治家に率いられた2大政党、ジア前首相のバングラデシュ民族主義党(BNP)とハシナ元首相の野党のアワミ連盟(AL)を軸にまわってきましたが、両者・両党の対立による政治的混乱、更に汚職・腐敗が蔓延した状態にありました。

07年1月に予定されていた総選挙に向けてつくられた選挙管理内閣が両党の対立から行き詰まり、首席顧問が交代、軍部に支持された暫定政府が引き継ぐかたちで、非常事態を宣言し総選挙は延期されました。
その後、実質的な軍事政権でもある暫定政府は、ジア前首相、ハシナ元首相ら与野党幹部約150名を汚職容疑などで逮捕。
強権的に“汚職・腐敗一掃”の荒療治に着手した暫定政府は、政治家だけでなく犯罪者や活動家など28万人以上を拘束したと言われています。【07年9月4日 産経】

暫定政府は、年内に延期されていた総選挙を行い民政へ復帰する予定を発表していますが、「政党は選挙に参加できるが、総選挙延期前の状態には戻らない」と、逮捕されたジア前首相、ハシナ元首相らを排除して選挙を実施する方針を示唆しています。
なお、非常事態宣言が続くなか、現在でも屋外での政治活動は禁じられています。

こうした強権的な“政界・社会の浄化”について、国民は概ね支持しているとも言われていますが、昨年8月には大学内に入った治安当局の活動をきっかけに学生の抗議行動が暴動化したこともあります。
また、選挙についても「政府は次期選挙で2大政党を抑え、骨抜きの議会を作ろうとしている」との指摘もあります。

暫定政府は総選挙に向けて、政党活動再開の道筋を話し合う対話を始めましたが、政党側は、対話の条件として逮捕されている党首の釈放や非常事態の即時解除を要求、対話に応じていません。
この事態に圧力をかけるためか、暫定政府は今月1日までの3日間で、主要政党の活動家など1637人を拘束しました。【6月3日 朝日】

あわせて、大規模な犯罪取り締まりを実施。
少なくとも1万人を拘束したと発表しています。
警察当局者は、この取り締まりについて、総選挙を前に治安強化を図るためのものと説明、「拘束しているのは明確な容疑者だけで、多くは密輸業者や武器の違法所持者だ。逮捕には政治的な動機はない」と強調しています。【6月4日 AFP】

“民主化による混乱か、強権的な独裁による発展か”という図式はしばしば目にしますが、バングラデシュでは“強権的な民主化の枠づくり”が問題になっています。
なお、バングラデシュの経済は現在とても順調だというようなことをTVで見聞きしたような気がします。

【インドネシア “普通の国”“中進国”?】
インドネシア政府は5月23日深夜、ガソリンの統制価格引き上げを発表しました。
世界的な原油高騰により、国内価格を抑えるための政府補助金が膨らみ、財政的に維持できなくなったためです。
(価格引き上げに代えて、同規模の低所得者への所得補償を行うとしています。)
発表以降、全国各地で学生らによる抗議デモが行われ、警官との衝突に発展したケースもあります。

その中には、デモ隊を追って大学構内へ警察が侵入し、「スハルト時代の高圧的な国軍を思い起こさせる」と批判を受けたケースもあります。
しかし、そうした批判を避けるため、大通りを封鎖する学生に対し、遠巻きに見守るだけで手を出さない“平和的な抗議行動は容認し、暴力的な行為を取り締まる”警備も見られ、当局への批判が出されることを含め、かつてとは異なる社会的“変化”が見られるとの評価もあるそうです。

オーストラリアの戦略研究所は「普通の国としてインドネシアを見る」と題した報告書で、「インドネシア政府は汚職撲滅に向け厳しい取り組みを続け、警察組織を改革した。民兵組織の解散や、麻薬密売組織の摘発で成果を上げている」「国軍はスハルト時代に担った政治的役割を次々取り上げられ、もはや政治の舞台から降りた。タイやフィリピンなどと違う点だ」としたうえで、「インドネシアはブラジル、インド、メキシコなどと同じような『中進国』になった」と評価しているとか。【高取茂2008/06/03】

もしそうなら大変結構なことですが、かつての東ティモールでのインドネシア国軍・民兵の行動がまだ記憶に残る今、いささか「本当だろうか・・・」という疑念も感じます。

【中国 風化する天安門事件】
中国では、学生らによる民主化運動を武力鎮圧した1989年の天安門事件から、4日でまる19年を迎えました。
当局は事件の死者数について、319人としていますが、当時の病院関係者の証言を元に「1000人を超える」との声もあります。
政府はデモを首謀した容疑者として数百人を逮捕、現在も多くが投獄されたままとみられています。

秦剛外務省報道官は3日、報道陣に対し「1980年代末に起こった政治的事件については、すでに明確な結論が出ている」と、事件を「反革命暴乱」と位置づける中国政府として、事件の再評価をする考えはないことを明らかにしました。
人権状況の改善を求める内外の声についても、秦報道官は「他人がどう言おうと、状況がどう変化しようと、わが国は中国的性格の社会主義の道を貫くだけだ」と一蹴したそうです。
特段の社会的な動きも見られませんでした。

昨今の中国社会の様相を見ると、地方当局と結託した大資本による土地利用に抵抗する人々など、“お上の意向”が貫徹する社会というかつてのイメージとは異なる、個々人が自己主張するような面も見られます。
政府側も情報公開について、一定に配慮する変化も見られます。
インターネットの普及による個人の情報発信も見られます。
“隔世の感”を抱くこともしばしばありますが、天安門事件の風化現象をみると、共産党による一党支配という大枠を揺るがすような変化には至っていないようにも見受けられます。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジンバブエ  大統領選挙 対立候補を警察が拘束

2008-06-06 16:25:56 | 国際情勢

(ジンバブエ 水浴びする赤ちゃん “flickr”より By babasteve
http://www.flickr.com/photos/babasteve/5398572/ )

【飢餓の原因】
昨日まで開かれていた食糧サミットへの出席が注目されたのがジンバブエのムガベ大統領。
2000年に白人(主に旧宗主国イギリス)所有大農場を強制収用し、その制裁措置としてEU諸国への渡航を禁じられてきたジンバブエのムガベ大統領も、今回は主催者である国連の招待ということでイタリア・ローマ入りが実現しました。

ムガベ大統領の人気取り的な、あるいは自分の失政から国民の目をそらすための強攻策によって接収した白人農園の農地を、生産ノウハウ・技術を伴わないまま黒人へ移転した結果、農業生産システムが崩壊し、ジンバブエの食糧危機を招くところとなっています。
イギリスやオーストラリアは今回の会議出席について、“ムガベこそが飢餓の原因”と反発していました。

露骨な人種差別を行った白人農場主達による“ローデシア”から、イギリスの支援もうけて国を取り戻し、黒人国家“ジンバブエ”としてスタートしたムガベ大統領。
独立当時は白人との融和政策を評価され、農業生産・輸出も順調で、IMFから「アフリカ経済の優等生」と呼ばれたこともあります。
アパルトヘイトが続く南アフリカの将来的なモデルとも見られていました。

その後の失政、転落、経済崩壊、ハイパーインフレーションについては
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070711  「経済崩壊 権力に固執するかつての独立の英雄」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20071214  「経済崩壊・人権侵害、それでも続くムガベ政権」
また、ムガベ大統領の強権的な政治、大統領選挙での疑惑についても
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080208  「元財務相が大統領選挙へ出馬」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080401  「遅れる大統領選挙の結果発表 不正操作の危惧」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080417  「選挙結果を認めないムガベ政権 独裁の構図」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080519 「決選投票は6月27日、国内外で続く弾圧・苦難」
など取り上げてきました。

独立の英雄から非道な単なる権力者への変遷は、多くの国でも目にするところです。
アフガニスタンでタリバンを率いたオマル師も、当初は国民の大きな支持・共感を得て登場し、かつ、「自分には政治のことはわからないので、国が安定したらしかるべき人達に任せて郷里へもどるつもりだ」というような謙虚なことを語る人物でした。

【ツァンギライMDC議長拘束、更に・・・】
周知のとおり今月27日が大統領選挙の決選投票になっていますが、ムガベ大統領が食糧サミットで外遊中に対立候補のツァンギライMDC議長が同行の党幹部らと共に警察に拘束される事態となっています。
“議長拘束は大統領不在の間のクーデターの発生を懸念した政権与党の警告との見方もある”とも報じられています。【6月5日 毎日】
野党MDCは、この数週間で58人の支持者がムガベ派民兵に殺害されるなど、大統領による激しい選挙妨害が行われていると指摘しています。
ツァンギライMDC議長がその後解放されたとのニュースはまだ見ていません。

かわりに目にしたのは、アメリカおよびイギリスの外交官車両が襲撃され、複数の外交官が一時拘束されたとの記事。

****ジンバブエ治安当局が米・英外交官を一時拘束****
襲撃を受けたのは米外交官車両2台と英外交官車両1台で、警察官が路上にバリケードを設置して車を停止させ、タイヤを切りつけた後、乗っていた職員から電話を奪った。さらに、車から降りなければ車ごと燃やすと退役軍人に脅されて降車したところ、近くの警察署に連行されたという。
在ハラレ米大使館によると一時拘束されたのは米国人5人、英国人4人と現地スタッフ1人。
拘束されていた全員は解放されたが、地元運転手が激しい暴行を受けた。
一方ジンバブエの副情報広報相は、外交官らが野党・民主変革運動(MDC)活動家の自宅での「騒ぎ」に関与していたとしている。「警察官が到着すると外交官らは(車で)逃亡したが、その途中にバリケードで止められた。外交官らが警官の命令に従って降車するのを拒んだため、警官が1台の車のタイヤをパンクさせた」。【6月6日 AFP】
************

また、上記記事によると、ジンバブエの公共サービス相は全NGO団体に対し、「追って通知があるまであらゆる現地活動を停止すること」を命じる書簡を送ったそうです。
一体何をやろうとしているのか・・・
少なくともまともな選挙を行う気はないようです。

この状況を見ると、仮に決選投票が行われてツァンギライMDC議長が多数を集めても、おそらくムガベ大統領側が敗北を認めないのではないかと危惧されます。
また、選挙後の“力”に訴える混乱も懸念されます。

【ジンバブエの日本援助批判】
先月末に横浜で開催されたTICAD(アフリカの開発に関する東京国際会議)に関して、ジンバブエから批判が出されているそうです。

******日本の援助、強化されるもまだ不十分*****
ジンバブエのムンベンゲグウィ外相は、2000年に日本が拠出した5億ドルで世界エイズ基金が設置されたことに言及し、HIV/エイズとの世界的な闘いに先導的な役割を担っていると日本国民と政府を称賛する一方で、次のように付け加えた。
「しかしこのように私心のない意思表示を示したとき、日本政府と国民は、世界エイズ基金が将来不当な政治的理由で一部開発途上国を制裁するための政治的武器として利用されることになるとは認識していなかった」
「基金が創設されてから、これまでの9回にわたる援助実行のうちジンバブエはわずか2回しか援助を受けていない。しかも域内の1人当たり援助額が平均124ドルであるのに対し、ジンバブエはわずか4ドルである。」
ムンベンゲグウィ外相は、「世界エイズ基金が政治化されていることは遺憾なこと」と述べた。

しかし日本の政府高官は対ジンバブエ援助については楽観視していないようであった。日本には、援助選定の重要な基準として法の支配、人権および良い統治等を定めたODA大綱がある。
高官は「これらの基準が満たされないかぎり、ODAを拠出することはできない」と述べた。【6月3日 IPS】
********************

エイズのような生命に直接かかわる問題に対する援助における、援助受入国の“法の支配、人権および良い統治”の問題は難しいところもあります。
“良い統治”が行われていないと判断する国の国民がエイズに犯されていくのを座視していいのか・・・。
しかし、そういう国は、援助しても本来目的に援助が活用されるのかどうか・・・という懸念もあります。

もっとも、選挙結果を捻じ曲げてしまうのでは・・・とも疑われるジンバブエから、“基金が政治化されていることは遺憾なこと”なんて言われたくないなというのが本音です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

食糧サミット開催  世界は今「憂慮すべき岐路」 意見が分かれる食糧輸出規制やバイオ燃料

2008-06-05 15:39:02 | 国際情勢

(伐採が進むブラジル・アマゾンの熱帯雨林 “flickr”より By qu1j0t3
http://www.flickr.com/photos/qu1j0t3/2495041920/)

【静かな津波】
食糧価格高騰という“静かな津波”に襲われる途上国の貧困層、広がる社会不安・政情混乱・・・早急の対応を迫られている国連の潘基文(バンギムン)事務総長は、当初予定していた国連食糧農業機関のハイレベル会議を“食糧サミット”に格上げすることを4月末に決定。
その“食糧サミット”が3日から5日までローマで開かれています。

会議には約150か国の代表が参加、40か国の首脳が出席して開催されています。
“緊急援助”とか“長期的な農業生産拡大”といったことは、比較的異論が少ないのでまとまりやすいのですが、議論が分かれているのは、輸出国による国内需要を優先した“輸出制限措置”の扱いと、食糧生産と競合するとの批判がある“バイオ燃料”の扱いです。
伝えられるところでは、立場の異なる両サイドに配慮して玉虫色の文言に落ち着きそうな様子です。

【食糧輸出規制】
インドやベトナムがコメ輸出を停止するなど輸出規制の動きが広がっており、食糧輸入国に重大な危機をもたらしています。
潘基文事務総長は会議の冒頭、食糧増産の必要性を訴えるとともに、食糧の輸出規制について、「貿易をゆがめ、食糧価格を引き上げている」と非難し、「我々はこれに抵抗すべきで、(輸出国は)人道支援のため即刻、輸出を始めるべきだ」と強く求めました。

ただ、輸出国の国内事情を考えると難しい問題です。
日本のような飽食の国とは異なります。
先日、世界の食糧危機・食品価格高騰を扱ったTV番組で、日本でも食品価格値上げで従来の学校給食が維持できなくなったとして、“週2回実施していたデザートが週1回しかできない”“給食費を月300円値上げしないといけない”といったことが放映されていました。

学校給食でデザートがつけられないことが問題でしょうか?
むしろ月に1,2回、昼食抜きの日、あるいは、豆だけの日やパンだけの日などを設けて、世界中に大勢いる満足に食事ができない人々・子供への思いを促すのが本来の教育ではないでしょうか。
現在の日本で“300円”の負担ができないとしたら、それは食品価格の問題ではなく、生活保護・格差是正などを含めた所得政策の問題です。

しかし、多くの途上国にはこれ以上食事を切り詰められない、これ以上食費を負担できない人々が多く存在するのも事実であり、国内にそのような貧困層を抱える国が国内の食糧価格高騰を防ぐために輸出規制に走るのは、主権国家としての権利であるようにも思えます。

日本でも、昨今の世界の穀物事情を考慮してこれまでの減反政策を見直すべきと発言した某官房長官が、“国内の米価が暴落する”“生活保護をうけている家庭が町内会に10万円寄付しようとするような行為だ”といった批判にさらされています。どこの国でも国内事情が優先します。

輸出国側の事情も踏まえ、世界銀行のゼーリック総裁は、“少なくとも、世界食糧計画(WFP)による人道支援での食糧購入や輸送については、輸出制限や課税措置は解除されるべきだ”と、また、“発展途上国や食糧危機の危険性のある国々への輸出制限は解除されるか、少なくとも緩和されるべきだ”と述べています。
会議でも、輸出規制撤廃をストレートに求めるのではなく、「人道支援目的のもの」は除外し、それ以外の規制も最小限にとどめるべきだとの表現に落ち着く方向のようです。

【バイオ燃料】
バイオ燃料の問題は、どういう植物を使って、どういう方法で栽培しているのか・・・個々のケースを分析する必要があります。
例えば、アメリカのトウモロコシを利用したバイオエタノール生産は、飼料(つまり肉)にまわるコーンを減少させるように思えますが、現在アメリカにおいて主流となっている乾式製法によってトウモロコシからバイオマスエタノールを生産する際には、エタノールのほかに発酵滓由来の飼料が生産されるそうで【ウィキペディア】、その影響判定は単純ではなさそうです。
(ただし、従来半々で作っていた大豆の作付け面積が減らされることで、日本などに輸出される大豆も減少・高騰します。)

ブラジルはサトウキビ産エタノールの世界最大の輸出国。
05~07年の世界平均シェア51%を、17~18年には66%に伸ばす見込みだそうです。
ブラジルのルラ大統領は、サトウキビからのエタノール製造には砂糖精製の副産物であるでんぷんなどを使うため、砂糖そのものの生産量は落ちない、「食糧とエタノールは両立する」と主張しています。
また、ブラジルはアマゾン地域でのサトウキビや大豆の増産を見込んでおり、森林破壊を起こしているとの批判もありますが、大統領は「アマゾンは我々のもの。我々が管理する」と反論しています。
(3日の食糧サミットでの演説では「アマゾンの休耕地を開発するだけで、熱帯雨林は伐採していない」と、もう少し穏やかに表現しています。)

ヨーロッパ向けバイオディーゼル原料となるインドネシアのアブラヤシ栽培は、熱帯雨林を破壊し、泥炭層からのCO2放出を促進しているとの指摘もあります。
泥炭層から年間約20億トンの温室効果ガスが放出され、この結果、インドネシアのCO2排出量は化石燃料使用量だけなら世界20位前後だが、泥炭層からの放出分も含めれば米国と中国に次いで3位となるとも。

今回の会議では、米国やブラジルなどバイオ燃料生産に積極的な国にも配慮して、採択予定の政治宣言について、当初検討されていた「最善の生産の在り方」を探るため「国際的な政策指針」づくりを目指すとしていた方針を削除することになりました。
最終的には、「バイオ燃料をめぐる課題については、食糧安全保障と環境の観点で対処することが不可欠だ」との表現を盛り込んで、バイオ燃料の生産が、食糧生産と競合しない必要があるとの認識を示す、更に「バイオ燃料の生産と利用について、徹底的な研究が不可欠」と強調して国際的な対話を継続させることも明記する・・・というあたりに落ち着きそうとか。

日本は食用作物を原料にしない第2世代バイオ燃料の実用化を主張して、洞爺湖サミットの議論に引き継ぐ方針です。
ドイツは、バイオ燃料の原料栽培を各国政府の認可制にすべきだとの考えを示しています。
今回会議では結局、国際的対話を開始するという抽象的表現にとどまる公算が大きいようですので、日本やドイツの提案するところなどについて引き続き検討が求められます。

【憂慮すべき岐路】
国連の潘基文事務総長は会議に先立つ2日、世界は「憂慮すべき岐路」にあると警告しました。
国連の国際農業開発基金のローマ本部で演説し、長年にわたる食糧価格の低下と生産量の増加に国際社会が慢心した結果、各国政府は農業開発の必要性を見落とし、厳しい決断を避けてきたと述べています。
その上で、「今、まさにその報いを受けている」として、食糧危機について、「適切に対処されなければ、この問題は、世界の経済成長や社会発展、そして政治的な安全保障といった、さまざまな危機の連鎖の引き金となりかねない」と警告しています。【6月3日 AFP】


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮  謎の伝染病 子供数十人が死亡?

2008-06-04 14:57:48 | 世相
【鳥インフルエンザ】
(鳥インフルエンザの発生源を中国・広東省とするアメリカの研究報告もあるようですが、写真は中国・雲南省の少数民族 かごの中はニワトリです。
中国に限らず、アジアではヒトと家禽の密着した生活があり、鳥インフルエンザの温床となっています。
なお、中国では情報隠蔽によって対策が遅れ、鳥インフルエンザが風土病として定着してしまったとも言われています。
ウイルスは野鳥によって各地へ運ばれます。
“flickr”より By avlxyz
http://www.flickr.com/photos/avlxyz/2299452961/)

今日は食糧サミットの話でもと考えていたのですが、なんだか薄気味悪い記事を目にしたので、そちらのほうで。

****北朝鮮で謎の伝染病、子ども数十人が死亡か****
【6月4日 AFP】北朝鮮の中国国境沿いに位置する複数の地域で、正体不明の病気が広まっており、子ども数十人が死亡していると韓国の援助グループが3日、報告した。
 北朝鮮への人道支援を行っている韓国ソウルに拠点を置くNGO「良い友人(Good Friends)」によると、中国国境に近い北東部の会寧(フェリョン)市では4月27日以降、発熱、せき、のどの痛み、食欲減退などインフルエンザのような症状を呈する病気により毎日5-6人の子どもが亡くなっており、伝染性の高い疾病への警戒が高まっているという。
 同グループによれば、北朝鮮の保健当局はこれまで感染を阻止できておらず、また正確な診断法や治療法も分かっていないという。北朝鮮の医療関係者は、鳥インフルエンザあるいは先ごろ中国の子どもたちに流行した手足口病の可能性を疑っているという。
「良い友人」によれば、ある北朝鮮の医師は「鳥インフルエンザが広がっている」と述べたという。また別の医師は、この病気は主に国営の幼稚園などで広がり、成人の感染例はなく、中国から入ってきた可能性があると述べたという。
*****************

【鳥インフルエンザ】
鳥インフルエンザは10月17日(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20071017)でも取り上げたように、世界中で一番多発しているのがインドネシアですが、それでも死者数は年間で40~50名程度です。
多くの国は年間でも数人です。
毎日5~6人が亡くなるような事例はありません。

本当に鳥インフルエンザで毎日5~6人亡くなるのであれば、それは従来の鳥インフルエンザではない、更に強毒性のものである可能性があります。
最悪の場合、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの危険性すらありえます。

上記の記事によると、北朝鮮はこれまで鳥インフルエンザの予防に全力を挙げて取り組んでいるそうで、韓国では今年4月1日にも鳥インフルエンザが発生しましたが、北朝鮮では21万羽の家禽を処分した2005年以来、鳥インフルエンザの発生は報告されていないそうです。
また北朝鮮は世界保健機関(WHO)が提供した予防プログラムを積極的に実施しているとか。

【手足口病】
手足口病は確かに中国で流行していました。
***中国:手足口病患者各地で拡大****
中国で手足口病患者が急速に拡大し、新華社通信によると9日現在、34人が死亡、患者は計2万7499人に上った。3月に安徽省で急増した後、北京や上海市、広東省など各地に広がった。政府は、同病を法定伝染病に指定し、専門家対策チームを設立する。【5月10日 毎日】
********************

5月の連休後はこの手足口病拡大のニュースが連日報じられており、チベット問題に加えて、北京オリンピック開催に支障を及ぼすのではないかと懸念さていました。
しかし、四川大地震発生のため、中国関連のニュースはすべて地震関連となったみたいで、5月14日の「北京で初めての死者発生、全国で犠牲者39名」を報じる記事を最後に、手足口病関連の記事は目にしないようになりました。
その後、どうなったのでしょうか?

手足口病は日本でも幼稚園や保育園などで時々流行する乳幼児の病気で、発熱し、手のひら・足の裏・口内に水疱が発生するのが特徴です。
比較的“ありふれた”病気で、欧米では症状が重篤化しない限り薬も特には処方せず、安静して自然治癒を待つことが多いとか。
ただ、原因ウイルスによっては、症状の程度は異なるようで、中国の流行はエンテロウイルス71型によるものらしく、このタイプは重篤化する事例があります。
日本でも97年に大阪市内で3名の乳児が死亡したことがあります。【ウィキペディア】

ただ、それにしても毎日5~6人というのはどうでしょうか?
発生源の中国ですら、あれだけ広範に流行していても死者は39名です。
飢餓で極端に抵抗力が低下しているのでしょうか?

【情報公開】
情報源のNGO「良い友人(Good Friends)」は、支援の必要を強調するため、北朝鮮の被害・惨状を比較的大きく伝える傾向があるとも聞きます。
恐らく、情報が正確に伝わっていないか何かで、周辺国が騒ぐようなことではないのでしょう。
そうでなければ困ります。

“困る”と言うより、万一“新型インフルエンザ”なんて話になれば、第三次世界大戦勃発ぐらいのインパクトを持った“人類の危機”です。
“ミサイル発射”どころではありません。
いくらなんでも、そんなことはないでしょう・・・。
何の根拠もありませんが、“世の中、そんなに最悪の事態は、そうそう起こるものではない”という常識・経験則に照らしての判断です。

北朝鮮は、あのような国で情報が皆目わかりません。
したがって、いろんな憶測・デマが飛び交います。
韓国では、金総書記が襲撃を受けて死亡したといううわさが5月末、インターネットサイトを通じて広まりました。 

とにかく、情報が伝わらないのが一番困りますし、人を不安にさせます。
北朝鮮はWHOには協力的に活動しているそうですので、今回の事態についても、速やかな情報公開を行ってほしいものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パレスチナ  「オリーブス・オブ・ピース」と「約束の地」

2008-06-03 14:36:02 | 世相

(オリーブの小枝、白いハト、青い地球、レインボー・・・すべて集めてみましたといった感じで気恥ずかしくもありますが アメリカ・シカゴのようです “flickr”より By Zesmerelda http://www.flickr.com/photos/zesmerelda/562173560/)

【「オリーブス・オブ・ピース」】
パレスチナ情勢がどうこうといった話ではありませんが、印象に残ったトピックスが下の記事

****平和のオリーブ:イスラエルとパレスチナの農家が共同生産****
イスラエルとパレスチナのオリーブ農家が共同で「オリーブス・オブ・ピース(平和のオリーブ)」と銘打ったオリーブオイルを製造し、特産品として海外に売り出そうと奮闘している。
この共同作業はイスラエル、パレスチナの信頼醸成の一環として、日本の支援で05年に始まった。
オリーブはこの地域の主要産物で、その良質さには定評がある。双方のオリーブ農家40人が合宿して相互理解を深めながら、品質向上や輸出のノウハウを学び、イスラエル産とパレスチナ産のオリーブをブレンドして商品化した。
初の海外受注は日本企業から舞い込み、3月に200本(500ミリリットル瓶)を輸出した。現在、欧州へも販路を拡大しようと関係機関との調整を続けているという。
混迷する和平交渉に先行して実現した草の根の「和平」。双方の調整役を務める在イスラエル日本大使館の笠井香代・専門調査員は「『平和のオリーブ』が世界に流通し、この地で起きていることへの関心を高めるきっかけになればいい」と話していた。【6月2日 毎日】
*************************

オリーブの枝と言えば平和の象徴。
「これは『旧約聖書』に基づく。神が起こした大洪水のあと、陸地を探すためにノアの放ったハトがオリーブの枝をくわえて帰ってきたのである。これにより洪水が引き始め、オリーブの枝が水の上に現れたことが知れたのである。」【ウィキペディア】
ラベルの図柄はオリーブの枝をくわえた白ハトで決まりではないでしょうか。
(実際どんなラベルか知りませんが・・・)

ささやかな“草の根”の取り組みですが、イスラエルとパレスチナの融和という壮大な目標につながる夢を感じさせる企画に思えます。
こんな取り組みを日本が支援して実施しているというのも嬉しい話です。

政府やメディアがパブリシティで支援すれば、多くの人の関心を引くのではないでしょうか。
個人的にも入手できるなら1本ほしいと思います。
販売が軌道に乗れば、さらに参加農家をイスラエル・パレスチナ双方で増やし、オイルのブレンドだけではなく、同じ農園で両者が共同で作業して作ったオリーブも将来は・・・なんて。

【約束の地】
パレスチナの問題を硬直させているひとつの要因は、イスラエルにとってはこの地が“約束の地”、旧約聖書に記されている“神がアブラハムの子孫に与えると約束した土地”である・・・という考えです。
ユダヤ教ではアブラハムは全てのユダヤ人の祖とされているそうです。
ただ、イズラム教ではユダヤ人に加え、全てのアラブ人の祖でもあるそうで、そうなると“約束の地”の話も全く違ってきます。
聖書のことは全く知りませんので、この話はここまで。

この話を取り上げたのは、最近イスラエルである本がベストセラーになっているという記事を目にしたからです。
長いですが全文を引用します。

****イスラエルで「建国根拠なし」本、ベストセラーに****
建国から今月60年を迎えたイスラエルで、建国の原動力である「シオニズム運動」の根拠を否定する著書がベストセラーとなっている。題名は「ユダヤ人はいつ、どうやって発明されたか」。
シオニズム運動は、古代に世界各地へ離散したユダヤ人の子孫が「祖先の地」に帰還するというもの。
著者はユダヤ人でテルアビブ大学のシュロモ・サンド教授(61)=歴史学。3月にヘブライ語で出版され、アラビア語やロシア語、英語に訳される予定だ。
著書では、今のユダヤ人の祖先は別の地域でユダヤ教に改宗した人々であり、古代ユダヤ人の子孫は実はパレスチナ人だ――との説が記されている。
サンド教授は「ユダヤ人は民族や人種ではなく、宗教だけが共通点」と指摘。第2次世界大戦中に約600万のユダヤ人を虐殺したナチス・ドイツが、ユダヤ人は民族や人種との誤解を広めたとする。
そのため、イスラエル政府が標榜(ひょうぼう)する「ユダヤ人国家」には根拠がないと批判。「パレスチナ人を含むすべての市民に平等な権利を与える民主国家を目指すべきだ」というのが著者の最大の主張だ。
シオニズム運動は欧州で迫害されたユダヤ人たちが19世紀末に起こし、「ユダヤ人国家の再建」を目指した。運動の根拠になったのは、ユダヤ人が紀元後2世紀までにローマ帝国に征服され、追放されたという「通説」だった。
これに対し、教授は「追放を記録した信頼できる文献はない。19世紀にユダヤ人の歴史家たちが作った神話だった」との見解だ。パレスチナ人から土地を奪うことを正当化するために、「2千年の離散の苦しみ」という理由が必要だったという。
教授によると、古代ユダヤ人は大部分が追放されずに農民として残り、キリスト教やイスラム教に改宗して今のパレスチナ人へと連なる。イスラエルの初代首相ベングリオンらが建国前に著した本の中で、パレスチナ人たちをユダヤ人の子孫と指摘していた。ユダヤ人の入植で対立が深まる中で、パレスチナ人を子孫とは言わなくなったという。
教授は「新説ではなく、建国指導者らが知りながら黙ってきたことをはっきりさせたにすぎない」と語る。【5月31日 朝日】

“今のユダヤ人の祖先は別の地域でユダヤ教に改宗した人々であり”と言うのは、アーサー・ケストラーが以前から主張しているものでしょうか。
この考えによると、通常“ユダヤ人”という言葉から私達が連想する白人系の人々(ロシア・ポーランド・ドイツなど東欧に分布し、アシュケナージと呼ばれている)は、7世紀~10世紀頃カスピ海北部にあったハザール(カザールとも)王国の人々(当時の国際情勢を理由に集団でユダヤ教に改宗した)の末裔であって、モーゼに率いられて出エジプトしたユダヤ人とは別ものである・・・ということになります。(極めてラフな整理の仕方で、不正確な点が多いことはご了承ください。)

この考え方自体は広く知られているもので、“ユダヤ人”に関心のある方が必ずと言っていいほど取り上げる問題です。ネットで“アシュケナージ ハザール”といったキーワードで検索すると千件以上のサイトがヒットしますので、詳しくはそちらでご覧ください。
この考えの真偽のほどは知りません。
また、イスラエル国内でどのように扱われているのかも知りません。

“古代ユダヤ人は大部分が追放されずに農民として残り、キリスト教やイスラム教に改宗して今のパレスチナ人へと連なる”という点に関しては十分に考えられるところです。
政治的弾圧があったとき、民族残らず移動した・・・というより、ボート・ピープルのように一部の人々が移動し多数は残った・・・というほうが可能性としては高いようににも思えます。あくまでも一般論ですが。

【柔軟かつ現実的な発想で】
サンド教授の説によれば、“約束の地”が神から約束されているのは現在のイスラエルの主流を占める人々ではなく、むしろ追い立てられたパレスチナ人であるということになります。
真偽のほどはわかりませんが、サンド教授の本が“約束の地”にこだわる人々の頭をほぐしてくれれば結構なことですが、恐らく批判する立場の人々はますます自己主張にかたくなになる・・・というのが現実かも。

ただ、いずれにしても2千年ほど昔の“神様の約束”を云々しても仕方がないと思います。
(部外者だからそう言えるので、信仰篤い当事者には“仕方がない”ではすまされないのでしょうが。)
多くの人も言われるように、“神様の約束”も時効です。
昔のことを蒸し返して、多くの善意の者の現在の生活基盤をひっくり返すことは適切ではない・・・という“時効”の概念そのものです。

固定観念に固まっているのはアラブ側も同様です。
エジプトはイスラエルと和平条約を79年に締結、シナイ半島の返還も実現、それから30年、両国は正式な外交関係を維持しています。
そんなエジプトのムバラク大統領が、5月11日にイスラエルのペレス首相あて、建国60周年記念に祝意を示す電報を送ったそうですが、同日にカイロのエジプト・ジャーナリスト・シンジケートで開かれた会議では、大統領の祝意に対する批判とともに、イスラエル建国は「近代史における人類に対する最大の犯罪」と評し、ユダヤ人国家建設の柱であるシオニズム非難が行われたとか。
また、エジプト政府は、メディアによる批判を懸念して、テルアビブに本拠を置くエジプト・イスラエル友好協会の代表団のエジプト訪問を土壇場でキャンセルしたそうです。【6月2日 IPS】

昨日のことはさておき(ましてや2千年前の話は問題外です。)、今日そして明日の生活のためにはどのような方法がいいのか・・・柔軟で現実的な発想による交渉・関係構築を期待したいものです。

ところで、洞爺湖サミットの料理の油として「オリーブス・オブ・ピース」を使用するというのはいかがでしょうか。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

四川大地震  国民一体感、情報公開、日本への評価

2008-06-02 15:09:40 | 世相

(四川大地震での被災者救援活動 “”より By wang qian 02/13/86
http://www.flickr.com/photos/wang_qian_021386/2492872844/)

中国政府発表によると、四川大地震の被害者は1日正午時点で、死者6万9016人、行方不明者はなお1万8830人に上っています。負傷者は36万8545人、避難住民は約1515万人。
被害者のなかでは、学校における子供の被害が顕著で、手抜き工事ではないかとする親の批判も高まっています。
また、せき止め湖やダムの破損などによる危険・避難が大きな問題として継続しています。

****9割が「生活態度変わった」=四川大地震で市民調査-中国****
中国紙・中国青年報などが行ったアンケート調査によると、四川大地震の発生後、88%の市民が「生活態度の変化を感じた」と回答、78%が「知人や友人を大事にするようになった」という。30日付の同紙が伝えた。
インターネットを通じ実施した調査には4309人が参加。大地震で多くの犠牲者が出た中、「勉強や仕事に励み、大切な命を生かそう」と考えた人は82%に上り、「どうせ短い人生ならば、もっと楽に生きよう」と思った人は29%にとどまった。 【5月30日 時事】
*********************

未曾有の被害をもたらしている今回地震は、中国の人々に大きな衝撃を与えたようにも見えます。
アメリカで言えば“9.11”でしょうか。
社会全般、例えば、国民の一体感、情報の公開、海外援助国との関係などにも影響を与えていると思われます。

【ボランティア】
“一体感”に関しては、若者を中心に、従来の「政府の動員によって集まる人々」ではない、自分の意思による多数のボランティアが現地に集まったそうです。
この背景には、被災地の状態がメディアによって詳細に報じられたこと、インターネットの発達が若者の連携を深めたことが指摘されています。【5月17日 産経】

また、四川大地震の犠牲者を悼む「全国追悼日」最終日の5月21日には、北京の天安門広場に集まった学生・市民約2000人が、黙祷後「頑張れ中国」「頑張れ四川」と叫びながら、規制の厳しい広場周辺では異例のデモ行ったそうです。
群衆は約1時間後、警察の説得に応じて解散し、大きな騒ぎはなかったとか。 【5月21日 時事】

【情報公開】
情報公開については、もとより統制の厳しい社会ですから日本的な基準で見ることは困難ですが、従来のイメージからすると、比較的詳細・迅速に現地の様子を伝えていたようです。
「災害報道では、何よりも速報が求められる。通常、官製メディアには、内部検閲があるが、今回、中央テレビの生中継には、映像も記者のルポも検閲なしだった。新華社も13日からは地震報道の検閲はなくし、速報戦で実力を見せた。 党機関紙の人民日報など主要各紙も地震報道で競い、報道系、商業系のサイトも同様だった。その多くに信頼される情報を最も提供したのが新華社であり、それは国民の震災への関心を高め、空前の救援運動を導いた。 」【5月17日 産経】

これには、今回の報道対象が災害という政治的要素が少ないものであったこともありますし、政府の情報コントロールがなされなかった訳でもありません。
英紙フィナンシャル・タイムズ・アジア版は、“震災報道の協議が13日に党内で持たれ、「世論の正しい誘導」の重要性が強調されたという。実際、その後、「相互援助精神という共産主義精神を反映する勤勉な地方公務員」といった報道が増えた”と指摘しています。 【同上 産経】
また、“行き過ぎた報道をしていた”ある地方メディアに、党の宣伝部系統から、「勝手に記者を被災区に派遣するな」とのお達しがあったとも。【5月22日 高田勝巳 DIAMOND online】

しかし、一般に欧米の報道は中国に好意的なものが多いようです。
特に、10万人を超える犠牲者にも関わらず、国際支援の受け入れを渋り続け、甚大な被災のさなかに憲法改正の是非をめぐる国民投票を強行するミャンマー軍政との対比で、チベット問題でズタズタになった中国の印象が改善したようです。

中国の情報公開に関する姿勢変化について、上記高田氏は、「中国の情報公開のきっかけとなったのは、胡錦涛氏が党主席になった02年に発生した「SARS問題」ではないでしょうか。この問題で、おそらく中国建国以来初めて、情報を公開しないことによって大臣が更迭されたのです。胡錦涛主席は、政権を担当するようになってすぐに、情報の隠蔽で国際的に非難されるという洗礼を受けたのです。」と指摘しています。

ただ、情報が公開され、自分の意思で判断・行動する国民が今後増えると、今の中国の政治体制は難しい局面を迎えるようにも思えます。

【日本の援助に対する好意的評価】
中国は今回、海外からの援助も広く受け入れましたが、その過程で、人的援助受け入れの最初の国に日本を選んだり、温家宝首相が日本医療チームを激励するなどの日本への配慮をみせ、直前の胡錦涛主席訪日以来の日中関係改善の動きを印象づけました。
日本では一部に悪評の高い「南京大虐殺記念館」で、四川大地震の特設写真展が21日から開かれ、中国国内でも好評だった日本の国際緊急援助隊が紹介されているそうです。

それでも緊急援助チーム派遣決定まで数日が経過しており、実効ある活動が十分にできなかったとか、その後の医療チームについても、現場での活動を希望する日本側と大病院での支援を求める中国側の意向に食い違いがあったなどの問題はありましたが、その活動については中国国内においても好意的にとらえるものが多いようです。
(もちろん、日本でもそうですが、とにかく“何が何でもダメだ”と決め付け、罵声をあびせるような人達がいない訳ではありませんが。)
それだけに、先日の自衛隊機による輸送見送りの件は、両国政府が功をあせったというか、軽々しく進めすぎたというか、残念に思えます。

****「英雄です」「ありがとう」=被災者、日本隊を激励-四川大地震****
【5月17日 時事】日本の国際緊急援助隊が救助活動を行った中国四川省の被災地、青川県では、子どもたちが「ありがとう」「あなたたちは英雄です」などと書いた段ボールを沿道で掲げ、同援助隊や人民解放軍、ボランティアの車両が通る際に激励した。日本の援助隊が夜通しの作業を経て、母子の遺体を発見した同県喬荘地区の現場近くに住む女性、劉梅さん(45)は「地震が多い日本の人が来てくれると聞いて一筋の光が見えた。身近な人がたくさん生き埋めになり、慰めようがなかった。高い技術を持つ日本の援助隊の到着を皆で待っていた」と語った。
*******************************

段ボール云々は“上からの指導”の感じもありますが、ネット上での評価も悪くなかったようです。

****日本救助隊の活躍に中国サイトで感謝の大反響*****
【5月22日 IPS】中国のウェブサイト「環球時報・環球網」は5月21日、「日本緊急援助隊員の1人は、生存者を救出することができず気が滅入って、離職しようとまで考えている」という趣旨の記事を掲載した。
5月20日に掲載されたこの記事に、21日現在すでに16,662回のアクセスがあり、236人が書き込みを残した。そのいくつかを訳し、次に紹介する。

「援助隊の皆様、あなた方は非常に勇敢です。余震の危険だけでなく、中国人に理解されない危険も冒していながら、救出活動を進めました。あなた方を通して、私は日本人の善意が感じられました。中国人は永遠にそれを忘れませんよ」
「被災地に関心を寄せるすべての日本人に感謝したい」
「日本人民はいい人で、感謝すべきだ」
「どうもお疲れ様でした。生きている人の救出ができなかったにしても、皆様は全力を尽くしました。日本の友人の皆さんに、本当に感謝しています」 
「私はもともと日本人が嫌いだが、今回のことを通して、見直しすべきだと思うようになった」
******************

【自衛隊機輸送の評価】
上記記事を送っている記者が自衛隊機による輸送についての中国ネットの反響についても書いていますが、そちらは“中国ネットは「救援隊歓迎・自衛隊機拒否」”【6月1日 IPS】と、自衛隊機に対する中国の拒否感を伝えています。
「たとえ死んでも、日本軍隊による救援は要らない」といった類の過激な発言も多いようですが、「日本に大地震が起きたらいいのに」という発言に対し、「中国を救援する外国に地震が起きてほしいと望むあなたは、本当に下品な人ね」との書き込みもあったそうです。

ついでに言うと、日本の援助には好意的な中国ネットも、聖火リレーで激しく揉めた韓国に関しては、お互い激しい敵意を見せているとか。
************
韓国では、ソウルの五輪聖火リレーで起きた中国人留学生の暴動で嫌中感情が高潮。韓国のネットでは「地震発生は天罰」「復旧に専念し、五輪を中止せよ」などの揶揄があふれた。
韓国は援助物資輸送での軍用機派遣や李明博大統領の被災地慰問など、むしろ日本より目立つ活動をしているが、中国ネット世論の多くは、両国での地震の受け止め方について、「日本は泣き、韓国は笑った」と論評。ネットやメディアが日本の支援を絶賛するのと比べ、冷遇ぶりが目立っている。【5月31日 読売】
*************

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイでは改憲阻止、韓国では牛肉輸入再開反対・・・国民の直接抗議活動激化

2008-06-01 14:06:30 | 世相

(韓国 アメリカ産牛肉輸入再開に抗議する“ろうそく集会” 写真は5月2日のものですが、31日にはソウル市庁前広場を数万人が埋め尽くしました。ろうそくの火で怪我人がでないだろうか・・・なんて余計なことを思ってしまいます。“flickr”より By Kim Pierro http://www.flickr.com/photos/kimpierro/2475167579/)

【タイ 改憲の動き】
タイの反政府活動が激しくなっています。
タイでは一昨年の06年9月に“恒例の”軍事クーデターによってタクシン政権が倒れましたが、07年8月に行われた軍事政権による新憲法に関する国民投票で反対票が4割を越え、このことで5月解党されていた旧与党・タクシン支持勢力が勢力を回復。
既存の小政党「国民の力党」(PPP)を乗っ取るかたちで、前バンコク知事サマック氏を担ぎ、昨年12月の総選挙に勝利。
軍事政権からサマック政権への民政復帰を果たし、国外生活を強いられていたタクシン元首相も帰国を果たしました。

流れ的には、タクシン前首相とその支持勢力が権力を奪還したように見えます。
ただ、首相に担がれたサマック現首相は子飼いのタクシン派ではないため、独自色を出したいサマック新首相とタクシン復活をアピールしたいタクシン支持議員の間では、政権スタート時から実権をめぐる綱引きも報じられていました。

今年3月、下院議長だったヨンユットPPP元副党首の選挙違反の疑いを最高裁が審理すると決めたことで、改憲論議が表面化しました。
現行憲法では党幹部の選挙違反が認められた場合、憲法裁が与党PPPの解党命令や党幹部の公民権停止を判断できると定められており、PPP解党の可能性が出てきたためです。
PPPなど与党勢力はこの条文の改正を国会で求めましたが、 野党は「党利と特定人物のための利己的な動き」と批判。

【高まる反対運動】
サマック首相は、国会での政治混乱を避けるため、憲法改正案の是非を問う国民投票を7月初旬に実施する考えを明らかにしました。
この改正案は、現行憲法の大半を見直し、最も民主的と言われた「97年憲法」に戻す内容になっています。
これによれば、先のPPP解党問題だけでなく、タクシン元首相を起訴した機関の正当性も失われ、タクシン元首相の完全復帰にも道が開けます。
これに元首相の復権阻止を掲げる市民団体が抗議集会を開くなどして、緊張が高まっているのが現状です。

この緊張が高まるなかで、チャクラポップ首相府相が30日、サマック首相に辞表を提出しました。
タクシン元首相の忠実な側近として知られ、元首相復権の道を開くため、現行憲法の改正を推進する動きを見せていた人物です。
昨年9月の講演で、国王の顧問機関である枢密院を「旧態依然たる体質」などと批判する発言をしたことが、「不敬発言」として注目され、警察が不敬罪容疑で立件する方針を発表したため、辞任に至りました。
この背景には、チャクラポップ氏のあからさまな元首相支持姿勢が危険視されたことがあり、チャクラポップ氏は「私は政治ゲームの犠牲になった」と話し、水面下で続くタクシン派と反タクシン派の暗闘を示唆したそうです。【5月30日 毎日】

なお、枢密院のプレム議長は長く首相や陸軍司令官を務め、プミポン国王の側近とされていますが、もともとタクシン氏と折り合いが悪く、元首相派からクーデターの黒幕と批判されていました。
ここで言う“反タクシン派”は、PPP外部の野党勢力なのか、サマック首相等のタクシン元首相とは一線を画したい勢力のことなのか、その両方なのかはよくわかりませんが、反タクシン派もまだ相当に力を保っているように思えます。

開発を求める東北部・北部では圧倒的な支持があるタクシン派ですが、首都バンコクではタクシン元首相の強権的かつ金権的政治体質に反対する空気が強く存在します。
06年の軍事クーデターもそのような反タクシンの動きを背景にしたものでした。

改憲に反対する市民団体・反政府勢力は、首相退陣などを求めてバンコク中心部の首相府近くの道路を約1週間占拠・封鎖してきましたが、チャクラポップ首相府相の「不敬発言」問題でその勢いを増していました。
同氏の辞任(事実上の解任)は、この動きを沈静化しようというサマック首相の判断とも言われています。

【衝突は回避】
しかし、その抗議行動はなお続いているようです。
約5000人の反政府勢力は当局の指示する退去を拒否しており、31日には、警察機動隊などを動員し、強制排除の態勢に入ったこと、また、クーデターのうわさも飛び交っているとも報じられています。【5月31日 読売】

「タイのサマック首相は31日、首都バンコクで連日行われている市民民主連合による反政府デモに対し、強制排除すると警告したが、後ほど撤回した。旧市街の国連建物付近の主要道路ではデモ隊6500人に対し機動隊約1200人が出動した。」【6月1日 AFP】ということで、一応、衝突は避けられたようです。

“クーデターのうわさ”というのは、どうでしょうか・・・。
先の選挙で敗退した軍部勢力は、当然タクシン元首相の復活を苦々しく思っているでしょうから、情勢如何によっては、再度・・・ということもありあえない話ではないとは思われます。

しかし、選挙での完敗で軍部側は相当に意気消沈しています。
クーデター後の権力中枢であった国家安全保障評議会議長代行のチャリット空軍司令官は、選挙敗戦後、「期待通りとは行かなかったが、全力を尽くした。もうクーデターは望まない。国の信用が大きく傷つくからだ」「仮に新政権の運営に誤りがあっても二度とクーデターは起きないだろう」と語っています。
また、06年9月のクーデターを率いたソンティ前陸軍司令官は、当時英国に滞在していたタクシン元首相と電話で協議したことを明らかにして、「兄弟のように率直に語り合った」と、“和解”を強調していました。
(新政権の軍部への報復を避けるための和解と見られています。)
まだ、選挙敗戦から半年、敢えて政治の前面に再び出る気力が軍部に残っているでしょうか?

【韓国 アメリカ産牛肉問題】
タイと同じように反政府抗議活動が激化しているのが韓国。
こちらは、アメリカからの牛肉輸入問題です。

*************
韓国政府が米国産牛肉の輸入制限の撤廃を発表したことを受けた大規模な抗議集会が5月31日、ソウル市庁前で開かれた。主催者は、参加者が10万人を超えたとしている。警察発表では3万8千人。牛肉問題に端を発した一連の集会としては最大規模となった。
87年の民主化宣言を引き出すきっかけとなった「6・10抗争」の記念日が近いことから、市内各地で関連の集会が行われており、これらの集会参加者たちも市庁前に合流した。抗議集会は釜山や大邱など他の都市でも開かれた。
2月に就任した李明博大統領はまもなく政権発足から100日を迎えるが、野党側は内閣総辞職を求めており、与党ハンナラ党の有力者らも、局面打開には閣僚を含めた人事刷新が避けられないと主張し始めている。【5月31日 朝日】
************

韓国の警察当局は1日早朝、ソウルの大統領府付近に集結していた市民ら数千人に対し解散を命令、放水車で強制排除に踏み切ったそうです。
5月に始まった一連の抗議行動に対し放水による鎮圧が行われたのは初めてで、韓国メディアは放水や衝突で市民や警官ら数十人が負傷、100人以上が拘束されたと報じています。【6月1日 共同】

【激しい抗議活動】
米国産牛肉の輸入量が世界3位だった韓国は、2003年、BSE問題を理由に米国産牛肉の輸入を停止していましたが、日本同様に輸入再開、問題発覚、再停止を繰り返しています。
昨年7月の抗議活動に関する記事「韓国小売販売最大手のロッテマートは、国内53店舗で牛肉の販売を開始したが、そのうち4店舗で「牛海綿状脳症(BSE)感染リスクがある」と主張する市民団体のデモにより販売中止を余儀なくされた。目撃情報によると、南部の光州市では、数十人のデモ参加者が牛のふんを投げつけた。またソウルでは約100人のデモ隊が警官と衝突したという。」【07年7月14日 AFP】を見て、“日本に比べて随分過激だね・・・、国民性の違いかね・・・”と大変興味深く思った記憶があります。
そんな“国民性”と最近の李明博大統領の不人気も加わって、今回の騒動になっているようです。

【日本の政治意識】
ただ、考えてみると、国民のこうした直接的な抗議活動というようなものを最近の日本では殆ど目にしません。
アジアではフィリピンのピープル・パワーなども有名ですが、アジアに限らず、ヨーロッパ諸国でも同様の市民活動は時折見聞きします。

日本での“政治的穏健さ”は、日本の政治が問題なく行われている証なのでしょうか?
あるいは、日本国民及び日本の政治システムの政治的成熟度合いを示すものなのでしょうか?
あるいは・・・。
日本人の穏健さは“美徳”だと思いますが。


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする