安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

デイヴィッド・レイランド指揮 群響定期【ブリテン「ノクターン」、R=コルサコフ「シェエラザード」】

2024-10-21 19:30:00 | クラシック演奏会

デイヴィッド・レイランド指揮群馬交響楽団の第602回定期演奏会が、10月19日(土)に高崎芸術劇場で開催されたので、聴いてきました。

   

チラシ表

(出 演)

指揮:デイヴィッド・レイランド
テノール:マーク・パドモア
管弦楽:群馬交響楽団 (コンサートマスター:伊藤文乃)

デイヴィッド・レイランドさんは、ベルギー出身。ブーレーズ、ヤンソンスらに師事。現在、フランス国立メス管(旧フランスロレーヌ管)、韓国国立響音楽監督。ゲヴァントハウス管や都響に客演、オペラも指揮。マーク・パドモアさんは、ロンドン生まれ。リサイタル、オペラ、現代音楽の各分野で世界的に活躍。ベルリン・フィル、ウィーン・フィルなどと共演。シューベルト三大歌曲集の全曲演奏を各地で行っている。詳しくは、下記プロフィールをご覧ください。 

(曲 目)

モーツァルト/ 歌劇「魔笛」序曲
ブリテン / 深紅の花弁は眠りにつく(日本初演)       
ブリテン / ノクターン 作品60

〈休憩〉

リムスキー=コルサコフ / 交響組曲「シェエラザード」作品35(ヴァイオリン・ソロ:伊藤文乃)

(感 想)

7月と9月の群響定期公演に都合により行けなかったので、6月以来約4か月ぶりの定期でした。定期公演だと、出演者、曲目が多彩で、今回、ブリテンの歌曲も取り上げられました。レイランドさんのプレトークによると、本日の演奏会のテーマは、夜の雰囲気(ムード)だそうです。

前半では、マーク・パドモアさんの独唱による「深紅の花びらは眠りにつく」が、愛らしいメロディとホルンの伴奏が印象的で、楽しめました。パドモアさんの美声は素晴らしかったのですが、ブリテンの「ノクターン」は、平板でとらえどころのない曲で、僕には難し過ぎました。

後半は、お馴染みの「シェエラザード」で、レイランドさんの指揮は、強弱の幅を広くとったダイナミックなもので、伊藤文乃さんの、大きめな音量による、甘美でくっきりとしたヴァイオリン独奏も素晴らしかった。

(演奏写真 群響facebookからお借りしました。)

デイヴィッド・レイランド(指揮)

マーク・パドモア(テノール独唱)

マーク・パドモアさんとデイヴィッド・レイランドさん

立っているのが、シェエラザードのヴァイオリン独奏を務めた、ソロ・コンサートマスターの伊藤文乃さん。

(出演者プロフィール)

(あらかじめ聴いたCD)

   

ブリテン「ノクターン」など。ブリテン指揮ロンドン響など。

   

リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」。キリル・コンドラシン指揮コンセルトヘボウ管弦楽団。このCD(SACD)には、併せてチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が収録されていて、独奏のマルタ・アルゲリッチ(p)の胸のすくような演奏が楽しめます。

【群馬交響楽団ホームページ】

群馬交響楽団


ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団演奏会 高崎公演 (9月23日 高崎芸術劇場)

2024-09-24 19:30:00 | クラシック演奏会

ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団の演奏会が高崎で開催されたので、聴いてきました。ピアノソリストのエレーヌ・グリモーが来日できず変更になりました。

   

チラシ表。エレーヌ・グリモーは、コロナ感染で来日できず、ピアノのソリストが変更になりました。

(出 演)

指揮:ファビオ・ルイージ(NHK交響楽団首席指揮者)
ピアノ:アレッサンドロ・タヴェルナ
管弦楽:NHK交響楽団 (コンサートマスター:篠崎史紀)

ファビオ・ルイージさんは、1959年イタリア・ジェノバ出身。現在、デンマーク国立響首席指揮者、ダラス響音楽監督、2022年9月からN響首席指揮者。2023年8月に任期が3年間延長され、2028年3月までとなった。チューリヒ歌劇場音楽総監督、ウィーン響首席などのポストを歴任、録音多数。アレッサンドロ・タヴェルナさんは、1983年イタリア・ヴェネチア出身。2009年リーズ国際ピアノ・コンクール第3位。ミラノ・スカラ座フィル、ミュンヘン・フィルなどと共演。2021年11月にN響公演に初登場。詳しくは下記をご覧ください。

(曲 目)

シューベルト / イタリア風序曲 第2番 ハ長調 D.591
シューマン / ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
         第1楽章 アレグロ・アフェットゥオーソ
         第2楽章 インテルメッツォ:アンダンティーノ・グラツィオーソ
         第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ

(アンコール アレッサンドロ・タヴェルナ(p))
バッハ(ペトリ編) / 羊は安らかに草をはみ

〈休憩〉

ベートーヴェン / 交響曲 第7番 イ長調 作品92
           第1楽章 ポコ・ソステヌートーヴィヴァーチェ
           第2楽章 アレグレット
             第3楽章 プレスト、アッサイ・メノ・プレスト
           第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ

(感 想)

特に前半が印象に残りました。シューベルトの「イタリア風序曲」は、初めて聴きましたが、歌謡性に富んだ明るい曲で、ロッシーニの影響を受けているとはいえ、ちょっと驚きました。また、シューマンのピアノ協奏曲は大好きな曲ですが、期待に違わない、良い演奏でした。

前半の2曲は、木管楽器が活躍するものですが、N響の木管陣が音色と言い節回しといい、目の覚めるような演奏ぶりでした。演奏者は、多分、吉村結実(オーボエ)、神田寛明(フルート)、伊藤圭(クラリネット)さんだと思います。

ピアノ独奏のアレッサンドロ・タヴェルナさんは、端正でしっとりした弾きぶりで、アンコール曲の美しさも含めて、すごく楽しめました。ファビオ・ルイージさんですが、ベートーヴェンの交響曲第7番を早めのテンポで、エネルギッシュに振っていて、場内はブラボーの嵐で終演に。

(出演者のプロフィール)

【NHK交響楽団ホームページ】

NHK交響楽団/NHK Symphony Orchestra, Tokyo (nhkso.or.jp)

 

(あらかじめ聴いたCD)

   

ロベルト・シューマン「ピアノ協奏曲」。ベアトリーチェ・ラナ(p)、ヤニック・ネゼ=セガン指揮ヨーロッパ室内管弦楽団(2022年録音)。ロベルト・シューマンの奥さんのクララとロベルトの協奏曲を収録したCDで、目下気に入っています。

   

ベートーヴェン「交響曲第7番」。カルロス・クライバー指揮フィーン・フィル(1975年録音)。有名な録音です。 


草津夏期国際音楽フェスティヴァル演奏会【西村朗:「神秘的合一」、モーツァルト:フルート協奏曲(K.H.シュッツ(fl)他】

2024-08-18 19:30:00 | クラシック演奏会

8月17日(土)に、初めて草津夏期国際音楽フェスティヴァルに出かけ、オープニングコンサートを聴きました。

   

チラシ表

(出 演)

オルガン:クラウディオ・プリツィ
ピアノ:高瀬アキ
フルート:カール・ハインツ・シュッツ
指揮:飯森範親
管弦楽:群馬交響楽団 (コンサートマスター:福田俊一郎)

クラウディオ・プリツィさんは、イタリア出身で、オルガン、チェンバロ、指揮者として演奏活動を行い。レパートリーは、後期ルネサンスから前衛音楽までと広い。フランチェスコ・モルラッキ音楽院教授。カール・ハインツ・シュッツさんは、シュツットガルトフィル、ウィーン交響楽団を経て、現在、ウィーンフィルの首席ソロ・フルート奏者。飯森さんは、現在、群響常任指揮者、パシフィックフィルハーモ二ア東京音楽監督、日本センチュリー響首席指揮者、山響桂冠指揮者などを務め、CDも多数。

(曲 目)

西村朗 / オルガンのための幻想曲(2017)
西村朗 / 「ヴィシュヌの化身」第6曲「カルキン」(2002)
西村朗 / ピアノとオーケストラのための「神秘的合一」(2023) 

〈休憩〉

モーツァルト / フルート協奏曲  第2番  ニ長調  K.314  (285d)
ドビュッシー / シランクス (カール=ハインツ・シュッツ(fl)さんのアンコール曲)(曲名が違うかもしれませんが。)

モーツァルト / 交響曲  第40番  ト短調  K.550

(感 想)

演奏会の前半は、昨年お亡くなりになったこの草津国際アカデミーの西村朗音楽監督の追悼演奏でした。『オルガンのための幻想曲』は、プリツィさんのリードオルガンが文字通り幻想的で、『ヴィシュヌの化身』第6番と「神秘的合一」は、高橋アキさんの超絶的な演奏がすごかった。

モーツァルトのフルート協奏曲第2番のソリストは、ウィーンフィルのカール=ハインツ・シュッツ。長身でスマートな身体からの豊かな音量と、金属的でない柔らかめな音色が素晴らしく、飯森さん指揮の群響の伴奏もよくて、ずっと耳を傾けっぱなしでした。

モーツァルトの交響曲第40番は、名曲中の名曲なので、それだけで良かったのですが、弦の響きがもう一つという感じでした。いつもは、高崎芸術劇場で聴いているので、ホールの響きのせいかもしれません。草津町は、意外と近いので、また出かけたいと思います。

(演奏写真 群響facebookからお借りしました。)

   

草津音楽の森国際コンサートホール外観。

高瀬アキ(p)、飯森範親(指揮)群馬交響楽団

   

高瀬アキさんと飯森範親さん。

カール=ハインツ・シュッツ(fl)と群響。

   

飯森範親さんとカール=ハインツ・シュッツ(fl)さん。

(カール=ハインツ・シュッツさんのプロフィール)

【草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル ホームページ】

草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル (kusa2.jp)

【群馬交響楽団】

住所:群馬県高崎市栄町9-1 高崎芸術劇場3階
電話:027-322-4316
ホームページ:群馬交響楽団 (gunkyo.com)


群響室内楽演奏会「管楽器で味わうセレナード~ドイツから2人の名手を迎えて」(8月1日 高崎芸術劇場)

2024-08-02 19:30:00 | クラシック演奏会

群響首席ホルン奏者の濱地要さんがプロデュースする、群響室内楽演奏会『管楽器で味わうセレセード~ドイツから2人の名手を迎えて」があったので、高崎芸術劇場音楽ホールで聴いてきました。

   

(出 演)

ホルン:濱地宗
ホルン:ジェイヒョン・キム(マインツ国立フィル副首席)
ホルン:ゾルタン・マクサイ(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団首席)
ホルン:向井正明
フルート:中條秀記、白水裕憲
オーボエ:高崎智久、工藤亜紀子(客演)
クラリネット:西川智也、伊藤圭(客演)
ファゴット:奈波和美、石井野々香(客演)、栗林愛理(客演)
チェロ:長瀬夏嵐
コントラバス:市川哲郎

名前のあとに括弧書がある方以外は、群馬交響楽団員です。濱地さん、キムさん、マクサイさんについては、下記に掲載したプロフィールをご覧ください。

(曲 目)

ニコライ・チェレプニン:6つの小品 
            1 夜想曲 2 ドイツの民謡 3 狩 4 踊る合唱  5 ロシアの民謡 6 コラール
モーツァルト:セレナード第12番 ハ短調 K.388

〈休憩〉

ドヴォルザーク:セレナード ニ短調 作品44
リヒャルト・シュトラウス:13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7 Trv.106

(感 想)

ホルン主体の演奏会は珍しく、興味を惹かれたので、平日ですが高崎へ出かけてきました。群響首席奏者の濱地さんのプロデュースですが、ドレスデン国立歌劇場管首席のゾルタン・マクサイさんと、マインツフィル副主席のキムさんを迎えて国際色も豊かでした。

最初のチェレプニン作曲「6つの小品」は、ホルン4本だけの楽器編成の曲で、リズムやハーモニーに変化があって、面白い曲でした。ホルンがかなり高い音を出していて、こういう音でハーモニーを作るのかと、フルオーケストラを聴いていただけではよくわからない、ホルンの役割、機能がわかって、感激しました。

あとの3曲は、群響や客員の演奏者が加わった管楽器のセレナードで、ドヴォルザークのものはよく知られています。リヒャルト・シュトラウスが17歳で作曲した「13管楽器のためのセレナード」は珍しいですが、フルートが入るなど色彩感が豊かで、時代の新しさを感じさせました。

(プロフィール)

濱地 宗

   

ジェイヒョン・キム

   

ゾルタン・マクサイ

   

(演奏写真 群響fecebookからお借りしました。)

ニコライ・チェレプニン:6つの小品の演奏光景

ドヴォルザーク:セレナードの演奏光景

リヒャルト・シュトラウス:13管楽器のためのセレナードの演奏光景

【群馬交響楽団】

群馬交響楽団ホームページ:群馬交響楽団 (gunkyo.com)


辻 彩奈(ヴァイオリン)と阪田知樹(ピアノ)の新譜「ブラームス・ヴァイオリン・ソナタ全集」などクラシックのCD。

2024-07-20 19:30:00 | クラシック演奏会

辻彩奈さん(vn)と、阪田知樹さん(p)のデュオ・リサイタルが、7月14日に群馬県前橋市で開催されました。チケットも入手してあったのですが、所用で行けず、その代わりにに、新発売のCDを聴いてみました。

辻 彩奈 (AYANA TSUJI)
阪田知樹 (TOMOKI SAKATA)
Johannes Brahms:Complete Sonatas for Violin and piano (Sony 2023年録音)

   

(メンバー)

辻彩奈(ヴァイオリン)、阪田知樹(ピアノ)

(曲 目)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78「雨の歌」
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.10
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 Op.108
パラディス:シチリアーノ 変ホ長調

(感想など)

辻彩奈さんの「ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集」の新譜CDは、発売を楽しみにしていました。本来なら7月14日の前橋公演の際に会場で購入して、サインもいただきたいと考えていたのですが、行けなかったので、仕方なく、タワーレコードで購入しました。

今回、辻彩奈さんの演奏には、表現に繊細な部分が加わり、陰影が感じられるようになった気がします。辻さんのイメージは、豪放で思い切りが良く、情熱的によく歌うヴァイオリンというものだったのですが、それに深みが加わったかのようです。

特に、ソナタ第2番の第1楽章の出だしや、第2楽章のフレージングが繊細でよく、第1番「雨の歌」に加え、このアルバムにより、第2番もファイヴァリットになりました。共演の阪田知樹さんも出過ぎず、好感が持てます。この二人は、これからも注目したいと思います。

   

別の写真。

 

【7月14日開催の前橋公演の様子など】

行けなかったのですが、チラシは手元に入手してありました。

   

チラシ

(出演者のプロフィール)

ヴァイオリン:辻 彩奈
ピアノ:阪田知樹

辻さんは、1997年岐阜県生まれ、東京音大卒業。2016年モントリオール国際コンクール第1位。N響、都響など国内のオーケストラやスイス・ロマンド管、トゥールーズ・キャピトル管などと共演。コロナ禍にあって国内での代役で幅広く活躍したことは、レパートリーの拡充や経験を深く積むことにつながった。阪田さんは、東京芸大を経て、ハノーファー音楽演劇大学大学院に在籍。2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール優勝、2021年エリザベート王妃コンクール第4位、内外のオーケストラと共演するとともに国際音楽祭へ出演、2015年CDデビュー。

(当日の模様など、辻さんのfacebookからお借りしました)

(本人のメモ)

2022年デュオ、2023年レコーディングから3度目の舞台。レコーディングで真剣に向き合った場所に戻って来れて、同じブラームス3曲をお客様の前で演奏できて、感謝の気持ちでいっぱいです。私たちの音楽も深まっているかなと思いながら演奏していました😌#桃娘 おいしい🍑🍰

(演奏写真など)

   


辻彩奈ホームページ:ヴァイオリニスト | 辻彩奈オフィシャルサイト | Ayana Tsuji

阪田知樹ホームページ: Tomoki Sakata 阪田 知樹 | Facebook  

 

【その他、聴いたクラシックのCD】

   

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調。マルタ・アルゲリッチ(p)、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル(1967年録音)。

辻彩奈(vn)さんは、2022年にアルゲリッチ(p)と共演していて、僕も高崎でその演奏を聴きました。それを思い出しながらこのCDを聴きました。2011年にDSDマスターされたSACD専用盤(2018年発売)で、聴いています。