職場の同僚が自宅で獲れたと言って、「カリン」を持ってきて籠に飾ってくれました。長野県内だと、諏訪市にあるカリン(実際にはマルメロらしいですが)並木が有名ですが、飯田下伊那地方にも木があるようです。子供の頃、カリンの砂糖漬けを食べるのが楽しみでしたが、のど飴の成分に使われるなど、カリンは喉を潤してくれます。気持ちを潤してくれるピアニスト。
BUD POWELL (バド・パウエル)
IN SCANDINAVIA (Marshmallow 1962年録音)
バド・パウエルのような巨人の演奏でも、晩年には好不調の波があって、生気のない演奏があったことも確かです。今回、日本のマシュマロレーベルが北欧における1962年の録音から製作した、このアルバムでは、なかなか好調で、聴いていると自然に笑みがこぼれます。リリースは、2012年11月25日。
タイトル通り、デンマークのコペンハーゲンとノルウェーのオスロでの録音。コペンハーゲンのものは、パウエル(p)、ニールス・へニング・オルステッド=ペデルセン(b)、ヨーン・エルニフ(ds)のトリオによる5曲、そのトリオにブリュー・ムーア(ts)とドン・バイアス(ts)が加わったものが3曲。オスロのものはパウエル(p)、エリック・アミュンゼン(b)、オーレ・ヤコブ・ハンセン(ds)のトリオで4曲。
曲は、コペンハーゲンのトリオで「Anthropology」、「Like Someone In Love」、「Straight No Chaser」、「Round About Midnight」、「52nd Street Theme」、トリオに2人のテナーが加わった、「Rifftide」、「I Remember Clifford」、「Anthropology」、オスロのトリオで「Dance Of The Infidels」、「I Remember Clifford」、「Hot House」、「52nd Street Theme」。
オスロ録音も悪くないですが、聴き逃せないのは、コペンハーゲンにおける録音です。僕は、アルペジオの美しさや和音が自然で暖かいといったところから、パウエルの弾くスタンダードやバラードがことに好きですが、ここでも「Like Someone In Love」や「Round About Midnight」といった曲が素晴らしく、特に後者は緊張感を伴っていて、晩年のものとは思えません。早いテンポのものもよどみなくフレーズが出てきていて、中では、二人のテナーが入った「Anthropology」が面白い。コペンハーゲンの録音では、ニールス=ペデルセンのベースが貢献しています。
【カリン】
このアルバムは、お客さまから「久喜市のJAZZ喫茶・パウエルのマスターがライナーノーツを書いていられますよ!」とのお話を聞きさっそく求めました。
録音は、けっして良くないのですが、パウエルの演奏は好調に聴こえます。
最近、バド・パウエルを聴く機会が少なかったのですが、また時々聴いてみたくなりました。
大江健三郎が「老いたセイウチ」になぞらえた通りのバド・パウエルの偉容が映える素敵なジャケ写真・・、コペンハーゲンとオスロ録音ですか。同時期のストックホルム録音(スティープルチェースの「ゴールデンサークル1~5集」および「BUDISM」3枚組)は、ジャズを聴き始めた頃によく聴いた思い出深い作品です。『In Paris』を聴いてあまりのメロディアスさに衝撃を受けて集めたんですね、こりゃスゴイと。僕の好きなシアリングの「コンセプション」は収録されていないようですが、ご紹介のマシュマロ盤も同様の私家録音盤でしょうか。興味深いので買ってみようと思います。
パウエルのマスターのお書きになった文章は、バド・パウエルに敬慕の念が感じられました。お近くにいろいろなお店があってよろしいですね。
Coffee windsさんのお客様にもパウエルファンがいて、パウエルもまだまだ聴かれているのかと、嬉しくなりました。最近出される新譜は、エヴァンス、キース系が多く(レヴューで知る範囲ですが)、パウエル系のミュージシャンが出てくれば面白いのにと思ったりします。
「ゴールデン・サークル」は懐かしいですね。それまで、ルースト盤やヴァーヴ盤を聴いていたので、ライブであったことと、後期のパウエルもいいのだと実感したアルバムです。
マシュマロ盤は、私家録音で、コンサートホールとテレビ局での録音です。音質も普通に聴いている分には差し支えないと思います。
azuminoさん、Merry Christmas!
リリースが公表される前からパウエルのマスターにきいておりましたが、この時期のバドとしては好調ですね。一音一音に活力がありますし、写真の服装はくたびれておりますが、目には力があります。裏ジャケットのネクタイを締めたスタイルよりも表のラフな姿に人間味を感じますね。私も話題にしようと思っていたのですが先を越されました。(笑)
パノニカ の書いた "3つの願い" で、Bud Powell の望みが
「医者に診てもらったり、病院に行ったりしなくていい状態」
だったというのが、悲しいですね.
「メリー・クリスマス」ありがとうございます。コメントが遅れてすみません。風邪がひどくなってしまい、クリスマスも安静にしていました。ケーキだけは食べましたが(笑)。クリスマスも健康からですね。
shoppgirlさんのブログのクリスマス特集、いいですね。コメントできませんでしたが、楽しませてもらいました。
風邪をこじらせてしまい、遅いレスですみません。このアルバムですが、パウエルは好調ですね。僕は、まず「Like Someone In Love」の和音とミディアムテンポでスイングをし始めるところが気に入って、この感激は書かずにいられないということで、取り上げたものです。こういう寛いだパウエルも悪くありません。ペデルセンのベースも含めて、入手してよかったと思いました。
当時の、ミュージシャンの晩年の生活状態は、アルコールと薬物でそういう人も目に付きますね。幸い、パウエルの場合は、晩年でも、中には鑑賞に耐えうる演奏を残していて、嬉しいことです。この録音は、そういうものの一つに数えていいのではないでしょうか。