安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

J. R. モンテローズ THE MESSAGE

2008-05-11 22:51:54 | テナー・サックス

我が家(長野市)の小さな庭に植えたパンジーが綺麗に咲いています。パンジー、ヴィオラといったスミレ科の花は種類が非常に多いですね。マット・デニス作曲の「Violets for Your Furs」は、「コートにすみれ」をという邦題がつけられていますが、Violetは、「ニオイスミレ」という名前のとおりで香水の原料などに使われます。コートに飾ったすみれ(ヴァイオレット)も匂いたったに違いありません。同曲の入ったアルバムです。

J. R. MONTEROSE (ジェイ・アール・モンテローズ)
THE MESSAGE (JARO 1959年録音)

 Themessage    Straight_ahead

「Violets for Your Furs」は、名曲だけに多くの人が録音しています。フランク・シナトラ、べヴァリー・ケニーらのヴォーカルだけでなく、コルトレーンをはじめとするインストも多数ありますが、今夜はモンテローズ(テナー・サックス)のアルバムを取り出しました。そのわけは、3分にも及ばない短いヴァージョンながらヴァースも演奏しているからです。

メンバーは、モンテローズ(ts)、トミー・フラナガン(p)、ジミー・ギャリソン(b)、ピート・ラロッカ(ds)です。曲目は「Streight Ahead」、「Green Street Scene」、「Chafic」、「You Know That」、「「Short Bridge」というモンテローズのオリジナル4曲に「Violets for Your Furs」、「I Remember Clifford」という現在では大スタンダードとなっている2曲です。

彼のテナー・プレイは豪放なイメージがあるのですが、この作品では繊細な一面もみせています。まず、「I Remember Clifford」における美しい音で、たうとうようなプレイがあげられます。「Violets for Your Furs」も優しい表情でテナーが歌っています。ここではフラナガンのピアノ伴奏(和音など)にもほほがゆるみます。

また、彼の書いたオリジナルもそれぞれ面白いです。中でも「Short Bridge」は、音の高さと表情付けをかえながら同じフレーズを繰り返していきますが、これがなかなかグルービーな演奏です。「Streight Ahead」では、テナーとドラムスとのダイナミックなやりとりやトミー・フラナガンのソロも楽しめます。

Xnanaduレーベル「Streight Ahead」(日本再発盤)できいていましたが、ヴィーナス・レーベルからオリジナル・ジャケットで再発されたので、そのLPで聴いています。


ルイ・スミス JUST FRIENDS

2008-05-08 22:33:10 | トランペット・トロンボーン

本日も飲み友達の一人からお誘いがきて、かなり飲んでしまいました。その彼は、自然派なので、「わらび」、「こしあぶら」、「タラの芽」、「根まがり竹」といった山菜談義に花を咲かせました。山菜とりは、どこに何があるのか知らなければいっても仕方がありません。また、山の奥深く入ることもあり地形を知らないと危険を伴うことや、とめ山もあるので、地元の詳しい友人と行くのが一番です。タイトルに友が入っているアルバムです。

LOUIS SMITH (ルイ・スミス)
JUST FRIENDS (SteepleChase 1978年録音)

 Justfriendslouissmith

ルイ・スミスは1958年に2枚のブルーノート盤を出して、音楽教師の生活に戻ってしまったため幻と言われたトランペッターです。ミシガン大学で教鞭をとっていた1978年にスティープルチェイスから話があり20年ぶりに吹き込まれたのがこのアルバムです。79年にもう一枚録音をして、また教師の生活に戻ってしまい、次のアルバムは1990年まで待たなければなりません。

メンバーは、スミス(tp)のほか、ジョージ・コールマン(ts)、ハロルド・メイバーン(p)、ジャミール・ナッサー(b)、レイ・モスカ(ds)で、コールマンとメイバーンはメンフィス出身の同郷です。コールマンとはその昔「Downhome Reunion」(United Artists)でも共演しています

スミスは吹き込み時46歳ですが、音はストレートできれいで、しかも柔らかく、フレーズもよどみがありません。最初の「Blues for Jimmy」は出だしからモードっぽい70年代のジャズです。当時のジャズ喫茶空間でよく耳にしたムードですね。バラードでは「I Remember Clifford」を演奏してくれています。ここではコールマンもロングソロをとります。「Oleo」はミュートによる急速調のプレイ、「Minor Bit」はミディアム・テンポのリラックス・ナンバーです。

全6曲(CDでは7曲)の収録ですが、スミスの健在ぶりを示したアルバムです。また、好きなピアニストの一人のハロルド・メイバーンのピアノソロも聴けるのが嬉しいアルバムでもあります。 


カレン・エガート LET'S GET LOST

2008-05-05 21:44:04 | ヴォーカル(E~K)

大型CD店のHMVから突然メールがきて、半年以上前に注文したCDが配送されてきました。歌手自身のプロダクションからの発売なので入手をあきらめて注文したことさえ忘れていたくらいなのに、よく入ってきたものです。Karen Egert(カレン・エガート)については、昨年「That Thing Called Love」が国内盤で発売されたのでご存じの方もいると思います。私には珍しく新しめのものですが、さっそく聴いてみます。

KAREN EGERT (カレン・エガート)
LET'S GET LOST (Karen Egert Productions 2003年録音)

 Letsgetlost

女性ヴォーカルのCDは続々と発売されていますが、復刻盤はともかく、新しいものはめったに購入しない状態が続いています。このアルバムは、昨年たまたま出張の際にHMV渋谷の店頭で「That Thing Called Love」を聴いて気にいったので、その延長上で注文を出しておいたものです。田舎では、新作について信頼できる情報が入手できないので、なおさら50~60年代のものに目がいってしまいます。

ライナーを読むと、「カレン・エガートは、1940年代に大人になるべきだったといつも考えていた。といのは、その時代の音楽と作曲家たち(ガーシュイン、カーマイケル、ポーター、エリントン)が彼女をもっとも魅了し、またそこから得るものが多いからだ」と書かれています。選曲もこのことを反映しています。

「You'd be So Nice to Come Home to」、「Let's Get Lost」、「Everytime We Say Goodbye」、「I'm Checking Out Goom-Bye」、「Too Close for Comfort」、「Just One of Those Things」、「If You Could See Me Now」、「DayDream」など12曲のスタンダード曲に、カレン自身の2曲「Wait Until I'm Through With You」と「Please Go Away」が入り全14曲です

彼女の声はくせのない滑らかなもので、フェイクも交えてジャジーに、また優雅に歌っています。バックはピアノ・トリオに、曲によりフルート、サックスが加わります。ゆっくりしたものでは、「Let's Get Lost」、「Everytime We Say Goodbye」が、早いものでは「Too Close For Comfort」が印象に残ります。こじんまりとしたジャズ・クラブで聴いてみたい歌手です。


ウォルター・デイビス・ジュニア DAVIS CUP

2008-05-02 23:56:44 | ピアノ

きのう(5月1日)はメーデーでした。午前中は集会に参加して、午後は仕事に戻り夕方からは反省会(単なる飲み会)にいってきました。集会ではパート社員の正社員化の話が出ていましたが、大学卒業後フリーターとなっている娘さんがいるNさんは、「夢を追っているという本人の考え方を変えてもらわなくてはどうにもならん」とため息まじりに話していました。なかなか親子の考え方は合わないようです。名前にジュニア(Jr.)のついたミュージシャンの作品です。

WALTER DAVIS JR. (ウォルター・デイビス・ジュニア)
DAVIS CUP (BLUE NOTE 1959年録音)

 Davis_cup

日本では、祖父母の名前と同じ名前をつけることはできますが、親の名前を子供につけることはできません。したがって、親子で同一の名前の人はいないはずです。ところが、アメリカではなんとかジュニアという方は多いようです。サミー・デイビス・ジュニアやウォルター・ビショップ・ジュニアなど、親子で著名なミュージシャンだとマルサリス父子、ピザレリ父子などがすぐにあがります。今夜はウォルター・デイビス・ジュニアにしてみました。

ウォルター・デイビスの代表作です。アート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズに参加していたころの作品です。ブルーノートらしく、メンバーが素晴らしくドナルド・バード(トランペット)、ジャッキー・マクリーン(アルト・サックス)、デイビス(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、アート・テイラー(ドラムス)というハードバップど真ん中のメンバーです。

収録された6曲はすべて、ウォルター・デイビスの作曲によるものです。ピアニストとしてはパウエル追求派ですが、饒舌というより曲によりとつとつという感じでも弾いています。「Sweetness」というきれいで甘いバラード・ナンバーが、ピアノ演奏では印象に残ります。その他はすべてストレートなハードバップです。「Rhumba Nhumba」ではラテン・リズムのテーマとそのあとに続くマクリーン、バードのソロが面白く、「Minor Mind」では2管のからみもスリリングで聴きごたえがあります。

デイビスは、この後1977年まで録音がありません。デビュー作にして最高傑作をブルーノートに残しました。聴いてみると、曲づくりにも優れていたので、当時もっと演奏活動をしていたらよい曲も残したに違いありません。ジャズ界から去り洋服店をやっていたというから信じられないです。もしかしたら、家庭の事情で家業をやっていたのでしょうか(憶測です)