安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ハンク・モブレイ THE FLIP

2014-02-09 23:00:58 | テナー・サックス

一昨日の2月7日(金)、東京に所要があり新橋に泊まりました。翌8日(土)は、大雪が見込まれ、日程もキャンセルになったので早めに帰ることにし、高速バスが動かないので、新宿から中央線の特急あずさ、岡谷から飯田線の電車で飯田に帰ることにしました。朝8時半のあずさに乗れたのは良かったのですが、飯田線が不通で、岡谷駅で午後7時過ぎまで電車内に缶詰になりました。結局、バス代行などで帰りましたが、疲れて本日もぐったりです。元気出そうと威勢のいいものを聴きます。

HANK MOBLEY (ハンク・モブレイ)
THE FLIP (BLUE NOTE 1969年録音)

   The_flip

今年(2014年)の1月、2月と、ユニバーサルミュージックから、ブルーノートの4000番台後期のアルバムが50枚発売されます。そのうちの40枚が国内初CD化だそうです。当然既にCD化されていると思っていたものが、何枚もあったので、とりあえず気になったものを注文しました。そのうちの一枚がモブレイの「The Flip」です。もっとも、LPは持っているので、CDプレイヤー用としての購入です。

メンバーは、ハンク・モブレイ(ts)、ディジー・リース(tp)、スライド・ハンプトン(tb)、ヴィンス・ベネディッティ(p)、アルビー・カラス(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。モブレイがパリ滞在中に録音したもので、ヨーロッパ滞在の米国ミュージシャンの名前が目立ちます。ハンク、D・リース、S・ハンプトンとお気に入りのミュージシャンが3管を形成するので、聴く前からわくわくします。

曲は、全てモブレイのオリジナルで、「The Flip」、「Feelin' Folksy」、「Snappin' Out」、「18th Hole」、「Early morning Stroll」の全5曲。さすがに、ブルーノートの4000番台後半だと、曲調が悦楽的で、リズムも多彩で、従来のハードバップとも言い切れないものが多くなりますが、モブレイは琴線に触れるような曲を書いてアルバムを作っています。

これは、あまり注目されませんが、モブレイ後期の佳作といってよく、昔からの愛聴盤です。3管のアンサンブルが少しうるさいのが気にかかりますが、それを補って余りある快調なソロが続きます。「Feelin' Folksy」は、親しみやすいテーマに、モブレイ(ts)、リース(tp)などと各人のソロも充実しています。「Snappin' Out」がハイライトで、V・べネディッティ(p)、P・J・ジョーンズ(ds)らが繰り出すめくるめくリズムに乗り、モブレイらが哀愁フレーズを奏でていて、幸せな気分になりました。ジャケットのデザインに工夫があればなおよかった。

【2月8日の岡谷駅】  

        Okayaekidensh320140208

入線してきたのはよかったのですが、その日に出発することはできませんでした。この車両の中で待機していました。辰野駅や伊那新町駅での線路切り替え装置の大雪による不具合で不通となってしまいました。

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3台用意された代行バスと乗り込む電車の乗客たちです。


ハービー・ハンコック HERBIE HANCOCK TRIO

2014-02-05 21:31:57 | ピアノ

飯田市立図書館から、小説家の石田衣良さんが書いた「I Love モーツァルト」(CD付き、幻冬舎刊)という本を借りてきました。立ち読みしたところ、「ぼくにとってモーツァルトの魅力は、何といっても快活で明快なテンポ感である。」という記述があって、それに共感したので、全部読みたくなったからです。モーツァルトへの想いや、曲目の紹介などが、平易に簡潔に書かれていました。「明快なテンポ感」から「疾走感」で想い出したのがこのトリオです。

HERBIE HANCOCK (ハービー・ハンコック)
HERBIE HANCOCK TRIO (CBS 1981年録音)

   Herbie_hancock_trio

ハービー・ハンコックのピアノ・トリオ編成のアルバムは少なく、思い浮かぶのは、1977年録音の「The Herbie Hancock Trio」(CBS)と、この81年録音の2作品だけです。彼の場合は、ブルーノート・レーベルの作品をはじめコンボで録音したものが多く、作編曲家、サウンドクリエーターというのが本来目指すところかもしれません。

メンバーは、マイルス・デイビス・バンドの1960年代のリズム・セクションで、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。「マイルス・イン・ベルリン」などで、すさまじいスピードの緊張感漂う、刺激的なバッキングをしていた3人ですが、このアルバムでは、ハンコックに焦点を当てたプレイになっています。

曲目は、ベニー・ゴルソン作「Stablemates」、ハンコック作「Dolphin Dance」、ロン・カーター作「A Slight Smile」、ハロルド・アーレン作のスタンダード「That Old Black Magic」、トニー・ウィリムス作「La Maison Goree」の全5曲。大好きな名曲「Stablemates」や「Maidon Voyage」(Blue Note)収録のハンコックの代表作の一つ 「Dolphin Dance」にことに興味が湧きます。

発売当時聴いたときには、それほどでもなかったのですが、改めて聴き返してみると素晴らしいアルバムです。ことに、「Stablemates」がよく、テーマ部のリズム(ルンバ)もかっこいいし、ハンコック(p)のソロは、アクセントをつけアグレッシブな一面もみせながら颯爽としています。「A Slight Smile」は、豊かな抒情性が感じられ、ハンコックのクリアーな音の積み重ねがきれい。「That Old Black Magic」における3人一体の疾走感やリズミックなピアノのアプローチも特筆ものです。

【石田衣良著「I LOVE モーツァルト」(幻冬舎)】

        Ishidairailovemozartbook

付属のCDには、石田衣良さんの選択で次の曲が収録されています。演奏はすべてナクソス・レーベルのものです。僕の好きな曲もいくつもあって、あちこち聴いてしまいました。

1、ピアノ協奏曲第20番第2楽章 2、ディベルティメント第1楽章 3、クラリネット協奏曲第3楽章 4、交響曲第40番第1楽章 5、交響曲第25番第1楽章 6、弦楽五重奏曲第3番第1楽章 7、ピアノソナタ第10番第1楽章 8、弦楽四重奏曲第18番「不協和音」第1楽章 9、ヴァイオリン・ソナタ第28番第1楽章 10、歌劇「魔笛」より “夜の女王のアリア”


キャロル・ウェルスマン MEMORIES OF YOU

2014-02-02 09:10:34 | ヴォーカル(A~D)

先週、名古屋のジャズ・クラブ「jazz inn LOVELY」に行き、スタンダードヴォーカルを中心としたステージを楽しみました。出演は、森谷ワカ(vo, p)で、伴奏メンバーは増田涼一郎(g)、日蔭修(b)、浅井翔太(ds)。曲は、「Lover Come Back To Me」(恋人よ我に帰れ)、「There Will Never Be Another You」(あなたなしでは)、「Nardis」、「Sway」(キエン・セラ)などなどで、アンコールに「Sing Sing Sing」を歌ってくれ、賑やかに閉じました。「Sing Sing Sing」が収録されたアルバム。

CAROL WELSMAN (キャロル・ウェルスマン)
MEMORIES OF YOU (ALL ART 2008年録音)

   Memoriesofyoucarolwelsman

副題に、「Sings Benny Goodman and Peggy Lee」とあり、グッドマンやペギー・リーが歌ったり、演奏した曲を収録しています。キャロル・ウェルスマン(vo)は、1960年カナダ生まれの歌手ですが、ピアノ(バークリー音楽院で専攻)、作詞作曲、編曲も行うなど才能豊かです。彼女は傾向の異なるアルバムも作っていますが、これはスタンダードを歌い、サウンドもアコースティックなので、ジャズ・ファンに幅広くアピールするのではないでしょうか。

メンバーは、キャロル・ウェルスマン(vo, p, 編曲)、ケン・ペプロウスキー(cl)、ピエール・コーデ(g)、レネ・カマチョ(b)、ジミー・ブランリー(ds)、カッシオ・デュアルテ(per)。2曲で、フランク・キャップ(ds)が演奏しています。ウェルスマンの編曲には、パーカッションを入れ、ラテン系のリズムも用いた新しめのものもあります。ケン・ペプロウスキーのクラリネットの音は、懐かしさも感じさせます。

曲は、「Don't Be That Way」(その手はないよ)、「Why Don't You Do Right」、「Moonglow」、「Stompin' At The Savoy」(サヴォイでストンプ)、「As Time Goes By」(時の経つまま)、「When You're Smiling」(君微笑めば)、「Johnny Guitar」(ジョニー・ギター)、「Fever」(フィーヴァー)、「Goody Goody」、「The Very Thought Of You」、「On A Slow Boat To China」(中国行きのスロー・ボート)、「Memories Of You」、「Sing Sing Sing」、「Where Or When」(いつかどこかで)、「More Than You Know」、「The Glory Of Love」の全16曲。

キャロル・ウェルスマンがスモーキーな声で、名旋律を歌っていきますが、彼女の趣向を凝らした編曲やピアノ、ペプロウスキーのクラリネットなど多彩で充実しています。テンポの早いものでは、「Don't Be That Way」が賑やかでクラリネットソロもよく、「Stompin' At The Savoy」は、サンバ風で新味があります。テンポの遅いものでは、「As Time Goes By」が、ヴァースから丁寧に歌っていて好印象で、「Johnny Guitar」は、哀愁味のある歌唱に加えピアノソロも美しい。ピアノだけによる弾き語りの「More Than You Know」もよかった。

【jazz Inn LOVELY】

所在地:名古屋市東区東桜1-10-15  TEL:052-951-6085
お店のホームページ:jazz inn LOVELY ホームページ

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                     お店の入り口

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森谷ワカバンド。月曜日にも係わらず観客は20人くらいいて、結構賑やかでした。ぶれていて相変わらずうまく撮れていません。

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「キエン・セラ」と「シング シング シング」では立ち上がって歌ってくれました。ギターもいい感じ。