家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

花火と老人

2013-08-11 09:06:20 | Weblog
毎年8月の第二土曜日の夜は花火を見る。

我が町内に花火大会はないが近くの町内で盛大に上げるのを見させてもらう。

盛大といっても、このご時勢だから、まとめて上げるとき以外は2分間隔だったりする。

「忘れそうになると出る」という感じ。

近所の独居老人に、その花火を見せたいと妻が言う。

その老人は、まだ一人で歩ける頃よく道路に出て見ていた。

ついでに老人宅に我が家の夕食を持って行って一緒に食べた。

久しぶりに賑やかな夕食となったはずだ。

さて外に大きな音がし始めた。

車椅子に乗せてクーラーの効いた部屋から「モワー」と暑さのまとわりつく戸外に。

時折吹く風が涼しいと感じさせてくれる。

道路は車の通りもなく我々花火鑑賞の一行だけが暗い中に浮かび上がる。

「腹に響く」と老人は言う。

たいして感激している風でもない。

近所の家の屋根の上に光る花火。

近くで見るような迫力はない。

凝った造りの花火も上がらない。

2分以上待っても上がらなくなった。

「もう終わりかな?部屋にもどろうか」と歩き始めた時最後の追い打ちが始まった。

続けざまに上がる花火の光と音が刺激的だ。

花火が終わると、ごく普通の蒸し暑い夏の夜になった。

ただ私たちの心には満足感があった。