家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

講師は八木洋行氏

2013-08-30 08:48:30 | Weblog
題は「遠州灘の民俗学」講師は八木洋行氏だ。

遠州の空っ風から入っていった。

風が強いから屋敷を槙の木(通称細葉)で囲う。

その木に赤い実がなるが、それを我々はヤンゾウコンゾウと呼んでいる。

その言われを説明してくれる。

琵琶湖を吹く風が湿気を伴い、それが伊吹山にあたって雪を降らせる。

湿気を落とした乾いた風が濃尾平野から遠州を抜け伊豆西海岸で終息する。

「なるほどね」と納得できる。

次にウミガメの話。

三重県ではウミガメを食うということだ。

まずは驚いた。

その驚きは私の生まれと大いに関係している。

砂浜を持つ海岸線の近くに住む人たちはウミガメを食わない。

その昔、子供は産小屋(ウブゴヤ)というところに入って産んだ。

その産小屋は砂浜にあり下は砂地で波が汚れたものをきれいにしてくれる。

ウミガメも浜に産卵をして、その浜から新たな生命が誕生して海に還っていく。

そのウミガメの姿を我々人間と重ね合わせて考えたからウミガメを食わない。

ところがリアス式海岸のような地域で暮らす人たちはウミガメは食物であるだけでなく、その甲羅の裏にある脂分を田んぼに浮かべる。

その脂分に落ちた害虫が二度と飛べなくなるということを利用するのだ。

こちらも生活の知恵としてウミガメを尊く利用していた。

地域が違えば、こんなにも考え方が違い行動が違う。

土着の信仰が生活に密着して暮らしが成り立っていた時代だ。

そんな地に足のついた話を伺うと、まさに目からウロコ的な感激を何度も味わうのである。

ところが今回は昼教室で講義を聴いた。

90%以上がおばちゃんたちだ。

彼女たちは人の話を聞かずに無駄口が多い。

そして身振り手振りで教えてくれる先生の姿を見て大笑いするのだ。

漫談を聞いているのではない。

笑うところではないところで笑う姿は幼稚園のようだった。

新たな知識を受けた喜びに憤慨を混ぜた複雑な気持ちのまま乾いた喉を潤す。

初めて入るギネスビールの店でのギネス生は少し薄めに感じた。

これもあの幼稚園のせいか。

アーシェンとタイムで飲みなれたビール(琥珀の時間)で飲み直しだ。

やっと正常に戻った時には暗くなっていた。