妻の教え子が我々の娘でもあるかのような存在であることは「娘の結婚相手」で触れた。
その彼女に妻は結婚祝として自分で作った行灯をあげると約束した。
佐賀の陶房まで行って作ってきた物だ。それを使用できる物にするのが私の役割。
ベースは御影石にした。
その上に電燈が点くように配線して固定する。
コードの長さとスウィッチ位置は彼女たちに聞いて決めた。中に入れる電球をいろいろ試した。
明る過ぎないことに注意した。
5.5ワットは暗すぎて行灯に空けてある藤の花やトンボの穴を光が透過して来ない。
赤色電球は「血塗られた館」になっちゃう。
結局25ワットのシャンデリヤ球にした。
出来上がってみるとなかなか良い。
行灯を見ると空けられた形が白く浮き上がり、また中から輝き出た光は当たった所にその物の形を優しい色で描く。
部屋を暗くすれば相手の顔にトンボが浮き出る。
それを捕まえたくなること必至である。
これこそ新婚さんへのプレゼントに最適だと確信したのである。