家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

切った日に切った

2011-07-06 07:01:15 | Weblog
ヘッジトリマーを使って生垣を揃えていた。

母屋からコードリールで電源を引っ張り、さらに延長コードで長くした。

電動工具は静かに作業が出来る。

「シャラシャラ」という刃と刃がこすれあう音。

「バラバラ」と小枝が切れて落ちる音。

一旦止めてきれいにしてから出っ張った部分を確認して再び作業を開始する。

生垣の反対側も腕を伸ばして刈り込む。

生垣自体の幅が狭くなったので手が届くのだ。

「バスッ」

コードを切ってしまった。

ヘッジトリマー自体の刃で、その駆動用の電源を断った。

切り口に火花が見えてオジャン。

まだ途中なのに。

遠くから見ると明らかに虎刈り状態だ。

コードは、つなぎ合わせたが雨が降り出したので今日は中止だ。

「雨ならば」

と思いついたのが刃物研ぎだ。

物置の中に妻の実家で使っていた鎌が6本あった。

いずれも錆だらけだ。

それを研いで使えるようにしようと思った。

荒砥と中砥と仕上げ砥を用意した。

赤錆が落ちてきれいな鉄が姿を見せ始めた。

刃物の先端に白く光る部分が出来てきた。

中砥で刃先を丁寧に磨く。

仕上げ砥で刃先を整える。

指先で刃先の様子を探ってみる。

吸い込まれそうな感覚と少しゴツゴツとした刃こぼれしている箇所の感覚が伝わってきた。

なおも研ぎ続けた。

水に浸けては研ぎを繰り返していた瞬間、手元が狂い鎌の刃先が私の中指を切った。

茶色く錆で濁った水の中に私の赤い液体が混じった。

たいしたことはない。

濁った水を捨て指先を水道で洗い家の中に入った。

ティッシュを3枚とり指に被せた。

そのままの姿勢で本を読んでいたら止血できた。

バンドエイドを巻きながら

「今日はよく切る日だ」と独り言を言った。



ムカマムカメ

2011-07-05 06:42:57 | Weblog
物置の中に置いてあった妻の地下足袋を外に出した。

山に植樹しに行くために必要だったのだ。

スコップを用意していると「キャー」という妻の声。

履こうとして持ち上げた地下足袋の中からムカデが出てきた。

毒々しい色をした、お世辞にも可愛いとは言えない動物。

あと数秒で妻の足とムカデは地下足袋の中で遭遇。

「ヒャー」

考えると恐ろしい。

草刈り機の入らない狭い所は、どうしても手で草取りをする。

どうせ取るなら根っこから抜くように引っ張る強さを調節する。

ズルズルとうまいこと根が抜けてくると気持ちよい。

今抜き終えた部分に立って今度は目の高さの草を取り始めた。

斜面土留め用の丸太の間の狭い部分からも芽が出ている。

指先を使って掴んで抜く。

次々と進めた。

すると草の奥に何か動くのが見えた。

「マムシだ」

手の先ほんの15センチのところだ。

保護色で発見されにくいが動けば、その柄が目立つ。

妻がいち早く棒を持ってきて一件落着。

妻のムカちゃんも大きかったが、こちらのマム君も太っちょだ。

「危険と隣り合わせ」

私たちだけでなくムカちゃんもマム君もそう言っているに違いない。

足の数が多すぎてもいけないし0でもいけない。

でも本当は姿が嫌なわけじゃなくて毒が怖い。

自宅近くを散歩していたらカメがいた。

陸に出て歩いていて川に戻れなくなったようだ。

大きな甲羅が邪魔でフェンスをくぐり抜けられない。

川はすぐそこなのに。

私が足で押してみると甲羅の中に首を縮めて入れた。

あるときは便利で、あるときは邪魔。

どうして甲羅があるのだろうと思うことがあるのだろうか?

どうして毒を持っているのだろう?

どうして足がたくさんあるのだろう?

そんなつまらないことは考えないのだろうか?



オークションで購入したトンカチ

2011-07-04 07:34:06 | Weblog
ヤフーオークションを利用してトンカチを購入した。

木槌とカナヅチ。

木槌はカケヤの小さい物とゴム製の物を含めて10本。

形の違う物や大きさの違う物がほとんどだが自宅と春野に置きたいのでダブっても困らない。

また妻も最近ではミシンを掛けるときや皮革製品を使うときに必要になったというので丁度良い。

カナヅチは10本3000円で落札したのだが出品者から連絡があり

「失くしてしまった」と言う。

当初「当てが外れる」訳だから少し憤慨したが「まあ誰でも物を失くすことはありうる」と思いなおし返金を確認して次の好機を待った。

好機はすぐに訪れた。

今回は、プラスチック製の物もあり木製の物も入っているが大小あわせて17本。

最初の落札物が「失くされて良かった」という結果になった。

木槌は10本で2200円送料や振込み手数料を含めても3500円にならない。

これだと1本当たり350円未満だ。

カナヅチの方は合計額1938円で17本。

これだと1本当たり114円。

柄の良くないものも含まれているし長年使用したことが分かる物もある。

だが私が使うのに支障はない。

既に柄の悪いものはサクラの枝で簡単に作りなおした。

叩くときの力加減だけでは調整しきれない微妙な細工も、これで可能になった。

屋根に板を貼るとき何度自分の左手を叩いたことか。

道具で自分のドジは治らないが、ある程度カバーできるものと考えている。

物を作ることは楽しい。

その前に道具を揃えることも楽しい。



独りで春野に宿泊

2011-07-01 06:58:53 | Weblog
独りで春野に宿泊した。

初めての経験だ。

当日の昼食夕食そして翌日の朝食と昼食を準備した。

泊まるとなると夕方の涼しくなった時間を利用して作業が出来る。

そして翌朝も涼しいうちに作業が出来る。

それは大助かりだ。

効率は良いし作業時間は制限されないし。

ただ妻と一緒だと、もっと効率がよい。

私が食事や寝床の支度や後片付けをしなくて済むから。

予定の作業を終了して雨戸を閉めシャワーを浴びた。

パンツ一丁でビールを飲んでいたら外で「パッ」というクラクションの音が。

急いで半ズボンを穿き外に出てみるとY爺さんだ。

「この時間になっても車があったもんで」と言って様子を見に来た。

彼も上半身裸であった。

2本目のビールを持って庭に造った屋根の下で銅針金細工をやってみた。

「カンカンカン」

けっこう大きな音がとどろく。

私が何かやっていることは近所の人にバレバレだが構わず続けた。

夕闇に照明灯がきれいに浮かび上がる。

蚊取り線香の煙が立ち上がる。

ビールを飲んでカンカンカン。

出来栄えは期待しない。

いい風が吹いて気持ちよい。

「ここで木工作業も良いな」

翌朝は出勤時刻前から作業開始。

近所の皆さんも驚いたに違いない。

作業は進むが、その分休み時間が少ない気がする。

妻がいれば時間を見て「お茶にしようか」と言ってくれるのだが。

独り宿泊を増やそうと思っている。

作業効率を上げるため。

ガソリン代金を節約するため。

「居ないときにかぎってゴキブリが出たのよね」と言われても。

蚊に刺された場所が痒くても。

自分で淹れたコーヒーが美味しくなくても。