相変わらず、毎朝、ねずさんに目から鱗を落とさせてもらっています。今日の話も、以前にもあった日本の素晴らしい未来に元気づけられました。
全文は、是非、何時ものようにリンク元で読んでください。と言うのも、今日の話で、私は、別の言葉に反応してしまったのです。
と言うのも、我が坂出は塩田で有名なだけに、どうしても、塩の話題に反応してしまうのです。
小名木善行 ねずさんの ひとりごとより 2016年02月03日
世界が納得する日
来ぬ人を 松帆の浦の 夕なぎに
焼くや藻塩の 身もこがれつつ
権中納言定家
百人一首97番にある藤原定家です。
歌を簡単に現代語に訳すと、
「来ぬ人を松帆の浦の夕凪時に焼かれる藻塩のように身も焦がれつつ」となります。
この歌は『新勅撰集』(八四九番)に撰入され、詞書には「建保六年内裏歌合恋歌」とありますから、歌の優劣を競う歌会の場で、藤原定家が「恋」をテーマに詠んだ歌とわかります。
ですからこの歌は、恋の歌であり、来るあてのない恋人を、夕暮れの海岸で忘れられずに待っている、そんなシチューションを詠んだ歌であると、多くの解説書が解説しています。
恋しい思いを断ち切ることは、千年前も今も簡単にはいかないことですから、定家が女性の立場になって詠んだこの歌を、純粋に恋歌として鑑賞しても、もちろん構わないと思います。
ただし、この歌を「百人一首」の第97番歌として干渉するときは、いささかその意味合いが異なると思います。
以前にも申し上げましたが、「百人一首」は、百首の歌を、ぜんぶ合わせて一首の歌にして、飛鳥、奈良、平安と500年続いた朝廷と貴族による平和で安定した世の中の有様を後世に伝えようとした一大叙情詩だからです。…中略
この歌にある「藻塩」とは、海藻から採る塩のことです。
古代から中世にかけては、海藻に海水をかけて天日干しし、これを焼いて乾燥させたものを水に溶かし、それを煮詰めて塩を精製していました。
ですから藻塩は長時間、火にかけて作るものですし、それに塩は人が生きていくために絶対に必要なものです。
そして同様に、人々が暮らす社会においては、人の身体に塩が必要であるのと同様に、世の平穏と安定、そしてなにより平和こそが大事です。
そういう平和な日々を、なんとしても取り戻したい。
けれど、そう思うそばから、世の中がどんどん崩れいていく。乱れていく。
だからこそ、世の中の平安を取り戻したいという定家の願いは、まるで来ない人を夕方の海辺で待っているような情況です。
そして、人々に必要な藻塩を焼いて取り出すように、乱世の中から平和と平穏を取り戻したい。
その思いは、まるで「身をこがす」かのような思いです。
定家は、そのことをこの歌に託しています。
日本人が理想として目指してきた国のカタチは、平和で平穏で、誰もが安心して安全に暮らせる世です。
これは太古の昔も、いまの日本も、まったく変わらない日本人の思いです。
そしてその思いは、一部の大金持ちだけの繁栄と贅沢を実現するために他の大多数の国民が犠牲になる社会とは、真っ向から対極をなす思いです。…以下略
ここで、まずは藻塩に反応。そう言えば、藻塩ってよく見るけど、どんなものか知らないし、調べたことも無いことに気が付き、急いでサーチしてみました。
何と、製造販売しているところがありました。それも、我が香川に。まさか、作っているところがあるとは思いませんでした。
そこで、早速、藻塩がどんなものか見て見ると、そこでも、思わぬ言葉に出会ってしまいました。
それは、「玉藻」という香川県の枕詞ように使われている言葉で、香川県人なら誰もが聞いたことのある言葉です。
ところが、この玉藻の意味がホンダワラという海藻のことなのだそうです。お恥ずかしいことに、今まで、玉藻って、何だろうとは思ってましたが、何時ものように調べることも無く、そんなものだとして認識していたのです。
まさか、玉藻がホンダワラとは思いもしませんでした。ということで、ねずさんの話から、全く関係の無い話になってしまいました。
讃岐の藻塩/塩麹/藻塩工房/瀬戸内海/香川県/より
藻塩とは
我が国の藻塩作りは1000年以上も前から瀬戸内海地方で始まりました。香川県沿岸も良質の玉藻が採れていたため、現在でも高松市には玉藻浦、玉藻城、玉藻中学校など玉藻の名前が多く残っています。
平成20年、定年をむかえ趣味で何かをしようと思い色々と思案していた頃、スーパーマーケットで藻塩を見かけ、海岸の近くに住んでいる事もあり、これなら出来るのではと思い作り始めたのがきっかけでした。
しかし最初はなかなかうまくいかず失敗の連続でした。
先ず原料の玉藻(ホンダワラ)が簡単に集められません。
そんなある日、海岸でホンダワラを拾っていると、近所の漁師のおかみさんから
「なんがでっきょんな?そんなガラモ集めて」
と声をかけられました。
「これで藻塩作ろうと思っとんやけど」
「そんなん、うちのお父ちゃんの船が帰ってきたらなんぼでもあるけん。いるんやったら電話してあげるけん、取りにきまい。」
おかみさんの話しによると、風が吹いて海が荒れた翌日は、ガラモが切れて海苔網に引っ掛かり、海苔を採るのに邪魔になるので朝一番に網を掃除して持って帰ってくるそうです。岸壁に捨てられたガラモは異臭を放ち腐っていくだけです。
「持って帰ってくれたら私らも助かるんよ」
試行錯誤しながら何とか完成しました!
ご近所さんや友人に差し上げると
「これは美味い!えぇ塩じゃ」
と評判になりました。
平成21年4月中旬、以前勤めていた会社に持っていくと、社長が
「これは売れるで!5月にあるイベントでうちが出店するけん一緒に横で売ってみたら?」
と勧めてくれました。…以下略
ということで、ホンダワラを調べて見ました。あの玉をつけている姿から玉藻と呼ぶんですね。全く、思わぬところから又しても、無知を晒してしまいました。
ホンダワラ
ホンダワラ
高松城【玉藻公園】公式ウェブサイト
と驚いていたら、香川以外でも製造販売されているところがありました。こちらは、広島の島です。こちらの藻塩は少し製法が違うようです。
それにしても、藻塩が現在も作られていることに驚きました。
海人の藻塩 -海から生まれたおいしい塩- 藻塩物語
…略
藻塩とは、かつて玉藻と呼ばれていたホンダワラなどの海藻を使用してつくった塩のことで、辛さに尖ったところがなく、口あたりはたいへんまろやか。
色は淡いベージュで海水と海藻だけの旨味が凝縮した「藻塩」の味わい。
私たちの祖先は、こんなにも繊細で心にしみ入るような味覚を楽しんでいたのかと、千年の時を超えて何かしら誇れるような嬉しささえ、感じさせてくれます。…以下略
ということで、ねずさんに日本の素晴らしさを教えてもらった上に、藻塩と玉藻という二つも勉強になりました。
ところで、この塩は、かなり美味しいようです。一度食べて見たいものです。