明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



上半身をはだけた場合の着物の様子をを撮影させてもらったので、参考にして三島の下半身を付け足した。撮影用のつもりで上半身だけ作ったのに気が変わってしまい、まったくひどい作り方である。しかし独学者には反則もなにもないので、なんら普段と遜色ない状態で、朝方の5時にはいったん乾燥させるところまでもっていった。 日本刀を持ったヤクザが上半身を脱いで見得を切っているのである。まったくいったい何を作っているのだ、と思いながらも夜中に湧きあがる快感を抑えがたい。 ここでまた気が変わり始める。三島の上半身だけを大きく配置するつもりでいたが、作ってみたら下の方まで入れたくなってきた。となるとスペースを空けて、主役を待つばかりで待機する4人の配置も変えなければならない。いずれにしても個展『三島由紀夫へのオマージュ 男の死』で構想はあったが断念した作品がようやく形になる。 作家シリーズを最初に考えたとき真っ先に浮かんだのが、尻っぱしょりの江戸川乱歩が屋根裏でこちらを見ている図であったが、実現したのは7、8年後であった。子供の頃、頭に浮かんだイメージはどこへ行ってしまうんだろう、といつも思っていたが、何年経とうが頭の中から取り出して可視化すれば、“やっぱり在ったな”と納得し、そして終わる。

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