最近頂相を眺めていると、これもまた小学生時代を思い出す。昭和40年代、百科事典ブームがあり、我が家にも届いたが、私はそれを独占。小学〜中学にかけ往復読んだ。中井英夫が監修したものだと後年知る。ボディビルの項には三島由紀夫の貧弱な上半身。これを中井に依頼された時は、こんな嬉しいことはなかった、と三島はいっている。シャンソンの項が妙に詳細だった。燕の巣が食材になるのもこれで知り、母に寒天を買ってきてもらい、和菓子を作った。私にはワンダランズの入り口であった。別巻には東洋、西洋美術、などがあり、小学生に郷愁のような物さえ感じさせたシュルレアリズム絵画と日本の頂相彫刻が最も印象的であった。頂相彫刻のリアリズム表現は、ミケランジェロなどの西洋彫刻とは観点が違うのは子供にも明らかで、私の好みは間違いなくこちらで、飽きずに眺めた鍵っ子の私であった。 作家シリーズから寒山拾得に転向して以来、ブログでも度々書いているが、私の設計図は幼い頃すでに描かれていたのは明らかであり、頂相相手に日々過ごしながら、それを改めて感じている。