今まで無表情な人物ばかり作って来たが、今回のシリーズは人物に表情があるので、様々な角度から撮影してみたい。『虎渓三笑図』などは登場人物は三人である。三人も作っておいてたった一カットで済ますわけには行かない。三人のバストアップ、また山で修行中の僧が帰りに友人を送って行って、そこを越えまい、と決めていた石橋を渡ってしまって三人で笑う、ということなので、夕日が当たっていても良いだろう。つまりすべてが陰影のない石塚式ピクトリアリズムである必要はない、と考えている。 等々いちいち備忘録として書き残しておくのも、後に決して行き当たりばったりではなく、最初の計画通り事を進めて来たのだ、という顔をするためである。これはおそらく、妙な快感物質に幼い頃から取り憑かれた私を母を含め大人に、繰り返し気付けのアンモニアを嗅がされるような目に合ったせいだろう。しかしおかげで以降、私の目を覚まさせようという、一切の要素を拒絶、排除した結果、のうのうと、かつ嬉々として仙人を作っているという訳である。 ホームセンターでティッシュとマスクを貰ったら、ウォーターサーバーのパンフを手に売り込みである。「こういうのは何でもカミさんに聞かないとさあ。」仙人を作っている男がいう。