写真発明以前の人物制作は参考写真を集めて始めれば良いが、それ以前の人物を手掛ける場合、元にする肖像画の、描写が肝心なのは当然だが、生前に製作された寿像、没後に製作された遺像があるとしたら、迷わず寿像を選択する。そして何より、これが実像に近い、と信じたなら、他の作品が、どんな巨匠の作だろうと、文化財だろうと一瞥もせず、師の姿を後世に残そうとした人達の想いをひたすら尊重する。 各地方、各時代に制作された別人が如き像が存在する場合も多く、それぞれが拝されている。『ミステリと言う勿れ』の第一回で久能整が、かつて誤認逮捕をした刑事にいう〝真実は人の数だけあるが事実は一つ“まさにである。私なりにではあるが誤認制作?は避けたい。そしてその像に陰影(立体感)を与え、それを被写体に現世の光を与え撮影となる。昨年末より様々あり、ようやく大覚禅師立像、着彩に入る。