昨日のニュースで花王の「エコナ」が安全性の不安に対応して出荷停止したというのを見た。そこで、今日の朝刊を探したが該当記事は見当たらなかった。紙面は、各新大臣たちの省庁への登庁、指示振りが載っていて、とてもおもしろい。首のすげ替えだけだったら、政権交代の意味はないし、官僚支配から脱却は出来ない、しっかりやってほしいと思う、と思いながらついそっちばかり読んでしまう。でも、エコナの記事もあってもよいと、昨日の紙面もさがすと、やっとこ載っているのを見つけた。
エコナといえば、テレビのCMでよく見る。からっと揚がるとか、健康にいいとかを、うたい文句にしていたと思う。新聞によると、食用油だけでなく、ドレッシング、マヨネーズなど計12種類59品目に使われていると言う。98年5月、厚生省の特定保健用食品(トクホ)に認められている。
私個人としてはエコナ(たぶんエコナ関連製品も)は使っていないし、発売当時から疑いを持っていた。いくら健康ブームで、脂肪をつきにくくするといっても、油を加工するのは、どこかの段階で何か問題が生じやしないかと、疑っていたのである。容器のプラスチックも気に入らなかった。
そう、エコナや中鎖脂肪酸というサラダ油を売り出し当時、もらったことがある。エコナはプラスチック容器に入っていた。で、くださった方にプラスチック容器のものは使わないから、次からはやめてくださいと断った。中鎖脂肪酸の油は缶入りだったか、プラスチック容器だったか、覚えていない。せっかくだから、これらのサラダ油でシフォンを焼いてみた。焼きあがったシフォンはふくらみがわるかった。え~??シフォンはそれこそ毎日のように焼いている。無意識に手が動いて作ってしまうくらいだ、なのに何がいけなかったんだろう。もう一度作り直してみた。今度は注意して材料を加えた。卵白を泡立て、砂糖を加えてしっかりしたメレンゲをつくり、生地に加えると、その段階で、泡が消えていく。あ~、これは油のせいだ、と気がついた。そこで消費者相談室に電話を掛けた。すると、消泡作用があるからケーキにはむいていないと言う返事をもらった。そういう作用があったんだ。で、これも下さらないようにと断った。以来、それらを使うことはない。
でも、シフォンが作れないくらいは大したことではない。問題は人体にどう悪影響するかである。発がん性を引き起こす可能性があると、やんわり逃げているが、だからこそ出荷停止にしたのだろう。そこで、調べてみた。
エコナの主成分はオイレン酸とグリセンリンを化学的に合成したジアシルグリセロールという化合物である。エコナのデザインに菜種と大豆の絵があるが、ジアシルグリセロールは菜種や大豆でなくても合成できるようだ。このジアシルグリセロールは乳化剤、可塑剤、増粘安定剤などに使われる食品添加物。エコナは、このジアシルグリセロールが80%を占めている。
新聞では問題の物質はグリシドール脂肪酸エステルで、これが体内で分解されるとグリシドールになり、これに発がん性があると書いてある。
しかし調べると、2年前、ジアシルグリセロールについては、オスのラットを使った実験で、舌に扁平上皮ガンを促進させる作用がある、ということが指摘されている。この件は厚労省から追試が指示され、試験が行われたが、花王は結果を非公開にしているというのだ。たぶん、こういうことを踏まえての決定なのだろう。消費者庁も出来たこと、きちんと解明して対応してもらいたいものだ。
またエコナにはトランス脂肪酸も大量に含まれている。以前、マーガリンのところで書いたが、外国ではトランス脂肪酸は健康に悪影響があるからと含有量が規制されている。しかし日本人はトランス脂肪酸の摂取は欧米人に比べて少ないからと規制はしていない。日本で発売されている油脂でトランス脂肪酸を含むものは0.4~2.3だが、エコナは5.2と群を抜いて、多量に入っている。こういうものがなぜトクホ食品に選ばれたのか、不思議ではある。