「闇彦」 阿刀田高著 新潮社
先日、テレビで、国際ペンクラブの東京大会で日本ペンクラブ会長の阿刀田高が、琵琶と尺八(だと思ったが)を伴奏に、自作の朗読をしているのを見た。もっとも朗読の内容は聞き取れなかったが、パフォーマンスはおどろおどろしくておもしろそうに思えた。で、作品名を聞いていると、ヤミヒコと聞こえた。さっそくamazonで探すと、「闇彦」という単行本を見つけた。「単行本かぁ、単行本じゃ~ちょっと買いたくないな」と戸惑った。この手の本は読み捨てなので、心情的には単行本は買いたくないのだ。
阿刀田作品の並んでいる中に、「コーランを知っていますか」があった。こっちの方がおもしろそうだ。こちらは文庫本。阿刀田作品の「知ってますか」シリーズは「ギリシャ神話を知っていますか」「旧約聖書を~」「新約聖書を~」を読んだことがある。旅行中の待ち時間に読んでいたのだが、すこぶるおもしろくて、声を上げて笑って、思わず周りを見回したことがあった。「ホメロスを楽しむために」などの「楽しむため」シリーズも読んでいる。じゃ~、これを頼むついで「闇彦」も頼もう。読んだら図書館にあげちゃえばいいや、7月に出版されたばかりの新刊だから読む人もいるだろう、と注文したのである。
「闇彦」だけが先に届いた。で、読み始めると、彼の語り口はうまい。ギリシャ神話や伝説がふんだんに織り込まれている。そういう伝説的なものは世界の各地を含めて、私もよく読んでいる。知的興味を刺激されて、 つい読まされて、数時間で読み上げてしまった。読み終わってみると、どこか車で通り過ぎたときみたいに、そのときは窓から景色を見て楽しんだり、いろいろ考えたりしていた筈だが、過ぎてしまえば、忘れてしまっているように、なんにも心に残っていない。
一日遅れて「コーランを知っていますか」が届いた。もちろん翻訳だけど「コーラン」そのものは読んだことがある。イスラムの国も数カ国訪ねたことがある。