Cogito

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

新日曜美術館

2005-07-31 21:49:05 | アート・文化
日曜美術館で「無言館」が取り上げられていた。初めは美術学生の志半ばで命を絶たれてしまった遺作を展示していたのだが、現在ではそれに加えて、同世代の、戦争で命をつきさせられてしまった画家たちの作品も飾ってある。

無言館は上田市の小高い丘に十字架の形に作られた美術館である。ここを訪ねたのは大分前になる。このごろは無言館を訪れる若い人が増えたと言うことだ。言ってみれば、若者とは、時間を越えて、同じ世代の人たちになる。

山田洋次監督がこことは関係あるらしく、ゲストとして参加していた。山田監督曰く「無言とは言いたい多くのことを持っている」と。監督はかかっている絵の作者の死亡時を確認すると昭和19年、20年に集中している。戦争が2年早く終わったら、彼らは死ななくてすんだのではないか、と。

亡くなった若い人たちの絵はお世辞にも上手いとはいえない。どれも平和な情景を写している。しかしその平和な情景の裏には何があったのか。これを描き残していかなければならない、思いついた瞬間があったはずだ。「あと5分描かせてくれ」といった言葉が今日伝えられた。それを思うと、彼らの絵には何かがにじんでいる。

私が行ったとき、展示物保護のため、美術館の内部は薄暗かった。作品だけが淡い光に照らし出されていた。観客もほとんどいなかった。その薄暗闇の中に一人で絵に見入っていると、背後に人の気配がして振返った。一度ならず、何度も。しかし何度振返ってもそこには静かな闇があるだけだった。きっと彼らは私に何か訴えたかったんだろう、と思った。
何を訴えたかったのか、もちろん生を生きて絵を描きたかったと言いたかったのだろう。

アートシーンでは都写真美術館の「アンコールワット展」が紹介されていた。8月14日までだ。アンコールワットもバイヨン遺跡も行ったことはある。その時木が遺跡にヘビのように絡みついている様を目のあたりにしてきた。遺跡保護のためには木を切るのもやむなしだと思っていたが、その木が実は遺跡を守ってきたのだという話。ほっとした。これはうれしいニュースだった。
「アンコールと生きる」
■会 期 : 2005年7月16日(土)~8月14日(日)
■休館日 : 毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
但し、7/25、8/1は開館
■会 場 : 地下1階映像展示室


写真美術館では特別企画展「写真はものの見かたをどのように変えてきたか」の三部「再生」も始まっている。12人の写真家による戦争の記録だ。ぜひ見に行こう。両方あわせて14日までには行かなければ。

12人の写真家たちと戦争
■第3部 [再生] 7月23日(土)~9月11日(日)
■3階展示室




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ガビチョウ

2005-07-25 14:11:38 | 動物記
この間から、この鳥の声は気になっていた。聞き覚えのあるような、だけどなんだかわからない。専門家に言うと「ガビチョウでしょう」という返事が返ってきた。でも忘れていた。今朝、出かけようとして外に出るとにぎやかな鳥の声。サクラの木から聞こえる。探してみたが、時間がないのでみつけられないまま、出かけてしまった。

戻ってからガビチョウを探してみた。ガビチョウとは画眉鳥と書く。台湾、中国南部、東南アジアに分布。日本には江戸時代から輸入・飼育されていたものが1980年代から東京・埼玉・山梨・大分・福岡などで野生化し、繁殖している、ものだそうだ。

ここに声も入っていた。なるほど、この鳴き声だ。帰化鳥。しかも分布を伸ばしているとか。ふ~ん、う~ん??
http://park21.wakwak.com/~samaraw/fieldscope/daigamen/gabichou.htm

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我が家の動物日記

2005-07-22 11:54:52 | 動物記
ネコだ犬だと区分けしていては面倒だ。ひっくるめて動物日記にしてしまおう。

まず、赤トラネコのバーリが行方不明になってしまった。もう一月近く帰って来ない。カラスのカーコが姿を消したあとすぐ、があちゃんの片割れが見えなくなった。なにかにやられたなら、羽が散らばるとかの痕跡があるはずだが、なんにもない。そこらに死んでいれば、悪臭を放つだろうと思うのだが、匂いもない。なにがあったのだろう。片割れをなくしたがあちゃんはよほどさびしいらしく、犬にまとわりついている。夜は家の中に入ってきて、私たちの寝室でいっしょに寝る。犬たちやネコがいっしょにいるからだろう。ただし、人間がトイレにでも起きようものなら、があがあとうるさい。

3匹の仔猫たちも来月3日がくれば、もう5ケ月になる。もう仔猫ではなく、若者ネコである。同じように育てられても、性格もそれぞれになってきた。こんなに十分の遊び場があるにもかかわらず、冒険心か、新しい場所を開拓するためか、とにかく外に出かけることが多くなった。そんなことで、高さのある物置に落ちたネコを救い出すためにはしごをかけたり、と飼い主はネコ騒動にまきこまれて、おたおたさせられている。それにまして母ちゃんが世話をやかせる。片目が見えないから、距離感がないのだろうが、高い木や、屋根に上ると下りられなくて大騒ぎをするのである。そのたびに救出させられる。下りられないなら上らなければいいのだが、これは懲りないというか、学習しないというか、なんかいも失敗を繰り返す。
リビア、チャド、トンガのうち、チャドだけがウチのネコになって、こっちの家にいるようになった。夜もベッドでいっしょに寝る。
あとの2匹は母ちゃんと教室ネコのままだ。 ご飯は食べに来る。

ウサギはミニウサギのピーターにお嫁さんのフロプシーを買ってやった。冬の寒い頃子どもを産んだが、寒さのため、気がついて保護はしたのだが、みんな死んでしまった。この間のことだ。縁の下の入口から、3匹の子ウサギが顔を出しているのに気がついた。親が人間になれているし、手からケーキを貰っているからそのうち子ウサギもなれるだろうとのんきに構えていた。ところが人間の姿を見るとすぐ逃げてしまう。どうもなつきそうもない。どうしたら捕まえられるか、と思いながらも放っておいた。ある朝、子ウサギの首だけが落ちていた。ネコに取られてしまったのか。そしてもう一件、近所のうちの庭に子ウサギがいるという連絡を受けた。これはまずい。なんとかしなければ。とりあえず、オスのピーターの断種手術をした。ウサギはイヌネコと違い、避妊より断種の方が有効だと獣医さんがいったので。

子サギはネズミ捕りで捕まった。ケージに入れ、コトンと名前をつけた。それはもうすっかり大きくなり、人間によくなついている。

昨日のことだ。カポにエサをやろうといくと、前の教室でなにやら音がしている。ネコが遊んでいるなと分かったので、のぞくと、猫たちが灰色と白のパンダみたいな子ウサギを捕まえてきて、遊んでいるのである。いそいで取り上げ、コトンのケージに入れてやると、コトンがちょっかいをだす。そこでケージを別々にした。しかしよほどショックだったのか、子ウサギは元気がない。静かにしておこうと布をかけておいた。ところが今朝、また子ウサギを捕まえた。ねずみ一色と、半分白い2匹。昨日のウサギと同胎のようだ。あとの2匹を入れると前の一匹が死に掛けているのに気がついた。Papasanが一生懸命蘇生させようと試みている。と、呼吸を始め、元気になった。でも数時間後、努力もむなしく、結局は死んでしまった。

大分前のことになるが前の教室の主が大小さまざまなウサギがぞろぞろ出てきた夢を見たといった。昨日それを思い出し「正夢だったみたい」と冗談を言ったばかりだった。それがまさに正夢・・・ところが正夢はそれで終わりはしなかった。縁の下の入口から、同じ位の大きさの子ウサギがちょろちょろとのぞいているではないか。今朝エサ入れが空だったから、おなかがすいたのだろう、エサを食べに来たのだ。といったことでなんとかあと2匹捕まえた。まだ一匹残っているのは確認している。ひゃ~、ウサギ屋敷になっちゃったよ。近所迷惑になるから、親に2匹以外は放し飼いはできない。どうしよう。

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試してみたら

2005-07-19 23:24:02 | 

以前から山形の生産者からサクランボを産直している。知人が生産者と結婚したので、支援もかねてとっている。

テレビでサクランボ生産者のところを訪問していた。そのとき、生のサクランボの保存法として、紙袋にいれ、更にポリ袋にいれ、冷蔵保存すれば半月はもつ、と言っていた。いいことをきいた、とばかり、さっそくやってみた。

生のサクランボ500gをポリケースから出し、そのまま紙袋にいれ、それをポリ袋にいれ、さらにもう一枚ポリ袋でおおい、冷蔵保存した。半月あまり保存した。18日、パーティだったので開けてみた。大丈夫、熟れすぎもせず、果実はかたく、みずみずしい。しかも、むしろ甘くなって、美味しくいただけた。これはいい。これは覚えておこう。で、ここに書きとめておく次第。

毎年、我が家のサクランボも5月の連休の時に熟す。これは収穫してワインで煮て保存しているが、あれも生のまま保存してみよう。来年こっちもやってみよう。

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ポストコロニアリズム

2005-07-16 23:53:39 | アート・文化

という新書を買った。
本橋哲也著 
「ポストコロニアリズム」岩波新書 928
[植民地主義のすさまじい暴力にさらされてきた人びとの視点から西欧近代の歴史をとらえかえし、現在に及ぶその影響について考察する思想、ポストコロニアリズム。]と表紙の裏に説明がしてある。

                                                                                                               

1492年の続きだ。
実におもしろい。ぜひ一読をお勧めする。

                                                                                                             

歴史的な例としてカニバルの説明がある。カニバルとはスペイン語で人が人を食らう、すなわち食人を意味する。人を食べると言う行為そのものは古代から行われてきた。その意味もある。しかしここでのカニバルは植民地支配の大義名分となる。さらに他者に対しての差別として一人歩き始める。

                                                                                                             

おかしいのはスペイン、イギリスと植民地獲得にしのぎを削る中で、スペインはイギリス人をカニバルだと宣伝し、原住民に恐怖を植え付ける。だからイギリス人に協力してはいけないと。ところがイギリス人はこれを上手に使い、どんでん返しをはかる。物質的欲望、性的欲望、暴力のスペイン人と違って、イギリス人は紳士である、よってカニバルはスペイン人だと言うわけである。そのイギリス人はアイルランド人をカニバルだと言った。要するに植民地の住民をカニバルにしてしまえばすべての大義名分がつくわけだ。カニバルとは、もはや一つの恐怖の幻想であり、それが有効な幻想に作り上げられてしまったものだ。
現在から見れば、どちらもカニバルである。ここに南北問題が台頭してくる。南の民から資源を、さらに人的資源も搾り取り、自らたらふく食べている北の人間はカニバルに他ならない。もちろん日本人もカニバルである。世界でもまれな貪欲なカニバルである。

                                                                                                               

この本の中で示唆を受けたのは、歴史的事実もおもしろかったが、スピヴァクの理論を通して私たちの中にある差別を抉り出してくれたところである。ヨーロッパ的な人道主義やフェミニズムに対してもだ。私たちはともするとこれは植民地獲得競争のスペインやヨーロッパ人の非道な行為だと客観的に受け止めているが、実はこういう思想が本質において日本においても今も変わりなく脈々と受け継がれていることは見落としている。私たちは知らずのうちに教育や教養を通してヨーロッパ人の目になっている。これを脱して再構築する必要性を説いているのだ。これを脱構築という言葉を使っている。
この理論がおもしろいのだが、縦文字を取り込むことができないので、ここに引用できなくて残念だ。

                                                                                                          

日本だって、韓国、朝鮮、中国、東南アジア、国内ではアイヌ、沖縄、という歴史を抱えている。神話として、日本人の優越性を叩き込まれて考えはいまだに多くを占めている。

                                                                                                          

そんな折、新聞で戦後60周年記念に50年にあった「植民地」「侵略」と言った表現を使わないということが国会で自民、民主、公明3党の多数で決まったという記事を読んだ。この国の政治家たちには、他者との関係を深く考え、思いやり、共に生きる姿勢はない。言ってみればカニバルそのものであり、考え方もその域を脱していない。

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