昨夜、先週からの続きで「相棒」の「還流」をみた。前回は2時間番組で、薫と同級生のNGOのスタッフの兼高が殺され、そこから事件が始まった。架空の国名を使っていたが、軍事政権が権力を握り、飢えた国民には食料も回らないと言った話から、私はビルマを想像した。ただし、撮影場所はビルマではなさそうだったが。
あらすじをまとめると、高級ホテルで、NGOスタッフとして外地で井戸掘りや地雷撤去に携わっていた兼高という人物が殺される。前回ではこの犯人が挙げられるが、なんで殺されたのかはわからない。犯人は日本では有数な総合商社の部長で、原因はNGOの兼高が殺人者の部長を脅迫したので、殺さざるを得なかったのだと。裏をたぐっていくと、日本政府の援助の問題にぶち当たる。食糧援助を受けている国は、軍事政権で、一握りの金持ち階層が贅沢に暮らし、一般国民は飢えにあえいでいる。その国にはウランをはじめレアメタルなど資源は豊富にある。それを目当てに日本政府は食料支援をしているのだが、食糧援助が困窮している国民に届いていない、そこで支援物資の横流しが計画される。それは元外務大臣が首謀者。彼はNGOの応援もしている。理不尽に失われていく命のあることをしきりに口にする。彼の言う、その言は間違いない。
からくりはこうだ。日本から送られた物資はシンガポールで抜き取り、コンテナを空にし、支援国に送る。もちろん政権側と打ち合わせ済みだ。物資は総合商社を通して、売りさばかれ、その売り上げの中から大臣に入った金を、大臣はNGOに渡して、飢えた人々を救っていた。しかし、この事実を知らない兼高は、横流しの事実を知り、公表して糾弾するより、実質的に横流しをしている犯人から金をせしめ、困窮している人々を救おうとして、殺されてしまったのだ。殺人者以外はなんとか支援しようという意図で犯罪に加担してしまうのだ。なんとも後味の悪いドラマだった。政府の行っている支援策が有効でないことは分かっている、が、しかし、支援のためとはいえ、政治家はもちろんNGOといえどもが許されることではない。
後味が悪いまま、チャンネルを回していると、病院の風景が出た。途中からだから、よくわからなかったが、ミャンマーから逃げてきたというから、多分ここはタイなんだろう。私が覚えている限りではビルマとタイの国境は山岳地帯で、あそこにはビルマからの独立を求めるカレン族がいたし、難民キャンプもあったように思う。
後で知ったにのだが、病院はメータオ・クリニックで、医療費が払えない、しかし 医療が必要な人たちには無料で医療を施しているクリニックだった。女性の医師の信念でやっているクリニックだった。説明だと、ビルマ、ヤンゴン市民の平均所得は5千円ぐらい。医療施設は極端に少ない。国立の安い病院でも出産にかかる費用は千円、民間の施設だと、5千円から3万円もかかる。医療が受けられるのは金持ちだけ、一般市民はとても受けられない。今年襲ったサイクロンで国民の多くは被害を受けている。これすらなんの手も政府は差し出していない。外国からの救援物資も拒否したくらいだから。日本からも支援のためにNGOが参加していることも知っている。
国民が生きられないようなビルマのような国、何とかならないものだろうか。
メータオ・クリニックを支援する会: