かぽのヒナが巣立ちをしたらしい。この間から、あ~あ~という声が聞こえていたから、ヒナたち、大きくなっているのだろうとは思っていた。なんせ木の中なので、下から巣は見上げられても、ヒナがいるかどうかは見つけられない。親もシフォンを貰っても直に巣に持っていくようなことはしない。回り道をして、人間の目をごまかしているつもりらしい。下から見上げているとき、偶然巣にいるカポと目があう。「かぽ」と呼ぶと、「しまった、見られちゃった」、と具合悪そうにそっぽを向く。
よくしたもので、ヒナが小さいときは木の上から餌をねだる声は聞こえない。先日、体は親よりひとまわり小さいくらいのカラスが羽をばたつかせて、あ~あ~と鳴いているのを見た。このしぐさはスズメもヒヨもヒナが餌をねだるときのしぐさだ。もう巣立ったんだ。それにしても早い巣立ちだ。
ヒナの成長期だからか、何回も餌をねだりに来る。ということはこのかぽのヒナたちはまだ巣立ち前なのかな。もちろん毎回手から貰っていく。
ここのところお出かけが多かったので、シフォンを作ってやれなかった。そこでゴーダチーズを切ってやった。子育てにはいいだろう、と。そうしたら、かぽ、シフォンをよろこばなくなった。一回は貰うが、二回目からは嘴の先でちょんとつまんで、ぽとんと落としてしまうのだ。なんとも生意気!もうやらないぞ!と怒ってシフォンはウサギにやる。ウサギだって、大好物なのだから。でもまた、すぐやってきてはかぽかぽ、かーかーとねだる。仕方がないので、またまた出て行くことになる。シフォンは相変わらず、水でしとらせて持っていく。
シフォンを水にしとらせることを覚えたかぽはチーズも水の中に入れた。チーズは重いから、と見ていると案の定、チーズは底に沈んでしまった。なんとか取ろうとしているが水浴び場はかぽが嘴を入れるには深さがある。そのうちあきらめて行ってしまった。仕方がないので手をいれ、チーズを水から出して枝においてやった。しばらくするとチーズはなくなっていた。
またまたカポが来た。チーズをやる。また水に入れようとしている。学習しなかったのかな。水に浸した。当然チーズは沈む。かぽはあわてて沈む前にチーズを引き上げた。そして足元において足で掴み、チーズをちぎり、水を飲み、を繰り返した。やっぱりカラスは賢い。学習しているようだ。
「かぽがシフォンをよろこばなくなった」と家人にいうと、息子が「チーズなんかやるからだ。自業自得だ」と言う。チーズなんかよりシフォンの方が手がかかっているんだぞ。栄養価だってあるんだぞ!
チーズをくわえて、樹上に飛んでいくと、待っていたとばかりにヒナたちの声が大きくなる。ということはこのカポたちのヒナはまだ巣の中にいるのかも。じっと見ているのだが、カラスの顔は真っ黒だし、目はまん丸だから、識別が出来ない。だけど手から餌を貰うカラスがそうたくさんいるとは思えない。慣れてきたから、からすの尻尾にペンキでもつけちゃうかとも思っているが、なかなか。
カラスは頭がいい。その記憶力のよさはものをしまう習性からきているのだと読んだことがある。食べものを木のウロなどにしまいこむのである。実際かぽがシフォンを白連の木の穴に詰め込むのを見たことがある。しまいこんだ食物を覚えておくために、知能が発達したのだ、と。
確認した。やはりヒナたちは巣立っていた。4羽数えられた。