そうだ、私はカメラウーマンだった。コンデジをぶら下げて、道路まで歩いて行った。側溝の壊れたふたや現場をとるなどお手のもの、なんで気が付かなかったんだろう。ついでに下の横断歩道まで撮りに行ってしまった。かなりの枚数を撮った。挙句に、通る人に声をかけて、この道について聞いてみた。
前々から町道丸山線の側溝のふたを、何とかしてほしとは言っていた。しかし何にもしてくれなかった。ここのところ、歩くので、つくづくと、ろぶたを歩いてみた。凸凹していて怖い。ふたの上のモルタル部分がそがれ、コンクリの砂利部分が露出しているのだ。ここは大カーブなので車がはみ出してくる。それでなお、蓋を削ってしまったのだろう。
他の道を歩いても側溝を、ふたを、ついでに段差をチェックしている。足の弱った、年寄りだからできることだろう。前回の「役場の職員、ばあさんを見習え」はこれを指している。
出かけようとすると、近くに真鶴町と側面に書かれた車が止まった。職員らしき男女(私から見れば孫みたいだから、子かな)が二人乗っている。で、下りてきて、と手招きした。男の子の腕をつかんで、説明しながら、側溝のふたの壊れたところに連れて行って見せた。「この道、町道なんだけど、今や幹線道路並みの車道りなんだよ。しかもここは大曲がりでしょ。車がはみ出してくるんだ。この道を上り下りする人たちも多い。特に高齢者がリュックを背負って、この坂を上り下りしているんだ。歩道はない。白線の横はすぐ側溝。歩道と呼べるのはこの側溝の上だけ。しかも道路両側に側溝がある。上りも下りも側溝をあるくか、車道を歩くしかない。と言いながら職員に説明していると、車がはみ出してきた。怖いでしょ、これが日常。道路の拡幅は無理だから、せめてこの側溝の上を歩きやすくしてやりたいんだよ。道路課の二人の職員には電話で説明したけど、現状を報告してやって。ついでにこの道は、子供たちの通学路であそこに横断歩道がある。でも白線が消えてしまっている。あれも何とかしてやって、と伝えておいて、と頼んだ。
そうなんだ、横断歩道の白線、ほとんど消えている。ちょうど学校から降りてきた教育長代理にであった。「ここ通学路なんだよ、スクールゾーンね。この剥げ剥げが横断歩道。どう思う?」「ひどいですね」「そうでしょ、あんたからも道路課に言ってやって。毎朝、民生委員やボランティアの人たちが、登校の見守りをしてくれているんだ。彼女たちも、白線直してくれとは言っているらしい」「スクールゾーンのしるしが見えれば、運転手は見えるから気を付けるはず。必要ですね」
そこで家に帰ってまた道路課に電話した。「課長はいる?」「会議中です」電話に出たのは先回あんまり通じなかった職員。「ねぇ、現場、見に行ってきた?」「行ってきました」「現状、見てどう思った」「現場は確認に行きましたけど、現状はみませんでした」思わず「あんたバカか」と怒鳴ってしまった。現場に行くというのは現状も見ることではないのか。公務員失格。「課長にかならず電話くれと伝えてね」
課長から電話が来た。「これから伺おうかと」「疲れているから来なくてもいいけど、予算編成の時から言い出しているんだよ。距離はさほどないし、大した金額にはならないと思うから、6月補正で直してやって。職員は、私が電話したから、私の家周りの補修をしてほしいと思ったみたいね。私は自分のことじゃ頼まないよ。この道を使っている高齢者や子供たちのために言っているんだよ。この道を高齢者が上り下りするのは、悪いことじゃないとは思っている。歩くのはむしろおすすめだからね。だからせめて歩きやすい道にしてやってと頼んでいるんだよ」
「横断歩道の白線もほとんど消えているんだよ。あれっぽっち、さっさとやってよ。どっちも予定の段階で、ちゃんと報告して」と言って電話を切った。とはいえ白線を引くこと自体は簡単だが、その間通行止めにするのか片側通行にするのか、お知らせをしなけらばならないだろうから、そんな簡単なことではないとは気が付いたけど、課長には知らん顔しておいた。
カメラは正直。これ横断歩道には見えないよなぁ。
すっかり消えてるけど、この菱形マーク、なんだっけ。