こんな記事を見つけた。フィルムは画像がきれいなだけでなく保存にも重要なのだ。私のような素人が趣味でやっているのはそんなに保存がきかなくても納得できるが、貴重な文化的資料の保存が利かなくては大変だ。なんとかならないものかねぇ。たしかに営業的に見れば少生産ではコストがかかる。とはいえ、文化財保存には不可欠、となれば、こういうものは、国家がバックアップしてもいいのではないだろうか。 便利さと簡便さだけで世の中はすすんでいく。消費者は毎度のことながらのせられていくだけ。やだねぇ。
そうなんだ、便利さは意外と落とし穴がある。長期保存がきくだろうと、ワープロ時代、原稿はすべてフローッピーに保存した。ところが再生するとほとんどに欠落が出て、使い物にならなくなってしまった。ワープロ用のカードは機種がなくなり使えなくなり、フランス旅行の記録は失われてしまった。一台ワープロは残してはあるがもう役には立たないだろう。
7月26日1時34分配信 産経新聞
デジタルカメラ全盛時代にもかかわらず、古代遺跡の発掘現場ではいまだに、フィルムカメラが活躍している。デジタルカメラで撮影した画像データを保存するCDなどは湿気や熱でデータが消える危険性があるためだ。しかし、昨年のフィルム出荷量は、10年前の1割近くに激減し、遺跡写真に最適なフィルムの入手にひと苦労の状態で、半永久的な保存が不可欠な文化財写真が危機にさらされている。
■危機感
デジタルカメラは今ではフィルムカメラを圧倒。写真感光材料工業会や写真出版社「フォトマーケット」の統計によると、35ミリなどのロール式フィルムの出荷量(推計)は、平成9年の約4億8283万本をピークに、10年は約4億5788万本、20年は約5583万本にまで落ち込んだ。
「フィルムはあと数十枚分しかない。一(ひと)現場撮れればいいほうだ」。奈良文化財研究所(奈良市)で遺跡撮影を30年以上続ける井上直夫さん(59)はため息をついた。
撮影現場では、遺跡や遺物を実物と同じような質感で写すために、専用の大型フィルムを何種類も使い分けているが、生産縮小によって代替用フィルムも容易に見つからないという。
■保存性
坂本龍馬や近藤勇といった幕末の英雄たちを撮影した写真は、色あせながらも現在に伝わっている。「(電子データではなく)写真なら150年以上保存できることは歴史が証明している」と井上さんは強調する。
一方、デジタルカメラの画質はフィルムとほとんど変わらないものの、画像データを保存するCDやDVDは割れるなどすると再生は不可能になる。さらに、デジタル技術の進歩がかえって保存の壁になっている。
5~10年前まで使われていたフロッピーディスクやMOディスクはすでに「時代遅れ」となり、最新のデジタル機器に付属しておらず画像の読み込みは困難。井上さんは「デジタルは万能に見えても、数十年後に画像を再現できる保証はない」と話す。
■包囲網
全国各地から出土した木簡などの赤外線撮影を行う奈良文化財研究所では、赤外線専用フィルムの生産が打ち切られたため、数年前からデジタルカメラに切り替えた。
飛鳥美人など国宝壁画の描かれた高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室解体や壁画調査にも、デジタルカメラを使用。フィルム交換時にカメラが接触して壁画損傷を招く危険があり、画像のコンピューター処理が必要なためだ。画像はCDなどではなく、データの破損を防ぐため2台のハードディスクで保存している。
文化財写真の保存問題に詳しい岩崎仁・京都工芸繊維大環境科学センター准教授(画像情報)は「発掘された遺跡は2度と元には戻らない。現状を正確に記録した写真は後世に伝える手だてとして不可欠。写真データの保存は緊急的課題」と話している。