ゲホウグモ
木の実みたい。でもお尻に糸が見える。
5月も終わりに近い夜、玄関の戸を閉めようとしたとき、なにか茶色の実のようなものがついているのに気がついた。手に取ると桐の乾いた実のようだ。大きさもほぼ同じ。そのままたたきに捨てた。乾いた音がした。うん?何かが引っかかった。もしかして?そこでメガネを持ってきて、つくづく眺めると、丸く丸まっている上の方になにやら足のようなすじが見える。そこで菜ばしを持ってきてつまみ上げ、白い紙の上にのせた。お尻の部分から少しだか糸が垂れているように見える。これはクモだ。
桐の実の殻に足がでた。背中の模様は錨のよう。
丸い尻の部分を計ると、1.5cm。ひっくり返して、お腹の方を見ると、しっかりと足がたたまれている。足は8本。そのたたんだ足を無理やり開かせると、長い足が出てきて、その奥に頭があった。でも頑として、頭を隠している。固いお尻の部分ははっきりはしないけど模様があって、ちょっと仮面のよう。箸でつまむと足を出すけど、下に置くとすぐ丸まってしまう。
写真を何枚も撮った。連れ合いを呼んで、見せながら、「ね、箸を持っていてくれない。足を出した姿を撮りたいのよ」というと、「クモは苦手なんだよ。やっと見ることが出来るようになったんだから、勘弁」と言って逃げてしまった。仕方がないので外に出してやった。
翌日、玄関先の軒を探すと、昨日のクモが実のように丸くなってぶら下がっているのに気がついた。そこで捕まえて広口のハチミツのビンのなかに入れた。クモは警戒して固まったまんま。背中というかお尻というか、丸い背面には錨のような模様が見える。なんだろう。クモ先生にも聞いてみたが、私の説明のしかたが悪いらしくわからない。クモは強情で、頑として全容を現さない。垣間見た頭は小さくて、まるでカマドウマみたいだ。カマドウマクモ、そんなのいないなぁ。
ビンの中の
私には奥の手がある。自然に関することなら、箱根の「森のふれあい館」の石原館長にきくのである。電話をかけると、たぶんオニグモの仲間だろうと思うけど、クモは詳しくないのでと言って、西湘高校の池田先生を紹介してくれた。
「池田なんておっしゃるんですか?」
「クモ先生といえばわかりますよ」
そこでさっそく西湘高校に電話をかけた。西湘高校はウチの子どもたちの母校である。はるか昔だが、PTA役員をおおせつかって、私も何回も行ったことがある。
「どの池田でしょうか。当校には池田が3人おります」
「クモ先生の池田先生です」
「わかりました」とすぐつないでくれた。思わずクスリ。
説明をし、ビンに入れてあるので実物をお届けするから見てくれないか、というと、午前中は授業なので午後にという返事。午後は私が予定があるので、今届けておくから、時間が空いたときに見てほしい。分かったら、そのクモにいい環境に放してやってほしい、と頼んだ。さっそく西湘高校にクモを届けた。
夜、先生からメールが届いた。「クモはゲホウグモ雌です。(オニグモの仲間です)木の瘤に擬態しているといわれているクモです。海岸地域の樹木間に夜間大きなやや斜めの円網を張ります。クモ自体はあまりたくさん生息しているクモではありません。南方系の種類です。特に大きな親は数が少ないと思います。」とあった。
池田先生は池田博明さんといい、クモの研究家としては有名な先生だった。へぇ~、こんな身近にこんな先生がいたんだ、ラッキー、と気楽な私はよろこんだ。
ゲホウグモ?さっそく図鑑を探すと、あった、あった。オニグモの仲間。クモ図鑑に「枯れ枝先端や樹木の枝に脚を縮めてとまっていると木のこぶに似てみつけにくい。夜間活動し、樹間に横糸の間隔が狭く、目の細かい垂直円網を張る。腹部の形状には変化が多く、種々の形のこぶをもった個体がいる。出現期:6~8月。分布:本州、四国、九州、南西諸島。体長:♀12~18mm ♂4~6mm」と先生の説明と同じことが載っていた。
ゲホウなんて変な名前、何のことだろうと辞書を引いてみた。
ゲホウは外法 仏教用語では①に仏法以外の教え、外道。②に人のどくろを用いて行う一種の妖術、外法頭。③福禄寿の異名。④外法下駄の略。とあった。すぐ横道にそれるが、ふ~ん、天狗のことは外法さまというのだそうだ。
どくろに似ているのかな。丸いと言う意味なのかな、なんでこんな名前がついたのか、よくわからない。いずれ分かるだろうけど。
図鑑よりネットで調べた方が分かりやすい写真があった。
その写真のURL.参考に
http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/okinawa/Gehougumo.htm
木の実みたい。でもお尻に糸が見える。
5月も終わりに近い夜、玄関の戸を閉めようとしたとき、なにか茶色の実のようなものがついているのに気がついた。手に取ると桐の乾いた実のようだ。大きさもほぼ同じ。そのままたたきに捨てた。乾いた音がした。うん?何かが引っかかった。もしかして?そこでメガネを持ってきて、つくづく眺めると、丸く丸まっている上の方になにやら足のようなすじが見える。そこで菜ばしを持ってきてつまみ上げ、白い紙の上にのせた。お尻の部分から少しだか糸が垂れているように見える。これはクモだ。
桐の実の殻に足がでた。背中の模様は錨のよう。
丸い尻の部分を計ると、1.5cm。ひっくり返して、お腹の方を見ると、しっかりと足がたたまれている。足は8本。そのたたんだ足を無理やり開かせると、長い足が出てきて、その奥に頭があった。でも頑として、頭を隠している。固いお尻の部分ははっきりはしないけど模様があって、ちょっと仮面のよう。箸でつまむと足を出すけど、下に置くとすぐ丸まってしまう。
写真を何枚も撮った。連れ合いを呼んで、見せながら、「ね、箸を持っていてくれない。足を出した姿を撮りたいのよ」というと、「クモは苦手なんだよ。やっと見ることが出来るようになったんだから、勘弁」と言って逃げてしまった。仕方がないので外に出してやった。
翌日、玄関先の軒を探すと、昨日のクモが実のように丸くなってぶら下がっているのに気がついた。そこで捕まえて広口のハチミツのビンのなかに入れた。クモは警戒して固まったまんま。背中というかお尻というか、丸い背面には錨のような模様が見える。なんだろう。クモ先生にも聞いてみたが、私の説明のしかたが悪いらしくわからない。クモは強情で、頑として全容を現さない。垣間見た頭は小さくて、まるでカマドウマみたいだ。カマドウマクモ、そんなのいないなぁ。
ビンの中の
私には奥の手がある。自然に関することなら、箱根の「森のふれあい館」の石原館長にきくのである。電話をかけると、たぶんオニグモの仲間だろうと思うけど、クモは詳しくないのでと言って、西湘高校の池田先生を紹介してくれた。
「池田なんておっしゃるんですか?」
「クモ先生といえばわかりますよ」
そこでさっそく西湘高校に電話をかけた。西湘高校はウチの子どもたちの母校である。はるか昔だが、PTA役員をおおせつかって、私も何回も行ったことがある。
「どの池田でしょうか。当校には池田が3人おります」
「クモ先生の池田先生です」
「わかりました」とすぐつないでくれた。思わずクスリ。
説明をし、ビンに入れてあるので実物をお届けするから見てくれないか、というと、午前中は授業なので午後にという返事。午後は私が予定があるので、今届けておくから、時間が空いたときに見てほしい。分かったら、そのクモにいい環境に放してやってほしい、と頼んだ。さっそく西湘高校にクモを届けた。
夜、先生からメールが届いた。「クモはゲホウグモ雌です。(オニグモの仲間です)木の瘤に擬態しているといわれているクモです。海岸地域の樹木間に夜間大きなやや斜めの円網を張ります。クモ自体はあまりたくさん生息しているクモではありません。南方系の種類です。特に大きな親は数が少ないと思います。」とあった。
池田先生は池田博明さんといい、クモの研究家としては有名な先生だった。へぇ~、こんな身近にこんな先生がいたんだ、ラッキー、と気楽な私はよろこんだ。
ゲホウグモ?さっそく図鑑を探すと、あった、あった。オニグモの仲間。クモ図鑑に「枯れ枝先端や樹木の枝に脚を縮めてとまっていると木のこぶに似てみつけにくい。夜間活動し、樹間に横糸の間隔が狭く、目の細かい垂直円網を張る。腹部の形状には変化が多く、種々の形のこぶをもった個体がいる。出現期:6~8月。分布:本州、四国、九州、南西諸島。体長:♀12~18mm ♂4~6mm」と先生の説明と同じことが載っていた。
ゲホウなんて変な名前、何のことだろうと辞書を引いてみた。
ゲホウは外法 仏教用語では①に仏法以外の教え、外道。②に人のどくろを用いて行う一種の妖術、外法頭。③福禄寿の異名。④外法下駄の略。とあった。すぐ横道にそれるが、ふ~ん、天狗のことは外法さまというのだそうだ。
どくろに似ているのかな。丸いと言う意味なのかな、なんでこんな名前がついたのか、よくわからない。いずれ分かるだろうけど。
図鑑よりネットで調べた方が分かりやすい写真があった。
その写真のURL.参考に
http://www.asahi-net.or.jp/~dp7a-tnkw/okinawa/Gehougumo.htm