我が家の甘夏を使って、連日、マーマレード作りに励んでいる。
以前は、といっても数十年前になるが、ジャム類をやたらと作っていた。二人の家族になり、ブルーベリージャムは毎年作ってはいるが、他のものは作らなくなっていた。
陶芸に行った時、一人がオレンジでマーマレードを作るのだと言った。なんのオレンジかは聞かなかったが、スーパーで買ったオレンジだと言ったので、オレンジの産地にいて、まわりものを使うことはない、地場産を使いなさいと、言った。すると、甘夏をもらったから、それと一緒に作る、私の作り方は、皮と実を砂糖で煮て、寒天をくわえて作るのだ、と言った。寒天なんか加えなくたって、ちゃんと固まるよ、そうか、言葉で言うより、実際に見本を作ってやろう、と庭の甘夏を取ってもらい、マーマレードを作り始めたのだ。言ってみれば、お節介のなせる技。
ためしにwebの中にある、マーマレードの作り方を2,3、読んでみた。どれもペクチンをくわえている。いまどきの人は、こういうものを参考にするから、市販のペクチンや寒天をくわえなければならないと思い込んでしまうようだ。
ペクチンはご存じ、果実に含まれていて、ゼリー化を促す物質。私はそれを使ったことがないが、白い粉のペクチンが市販されているのは見たことがある。
甘夏の皮の綿や種にはペクチンと苦味が含まれている。どちらも水溶性だ。皮をよく洗うことによって苦味を抜くことは出来るが、苦味と一緒にペクチンも流してしまうことになる。だから市販のジャムやマーマレードにはペクチンが補われているものが多い。言いかえれば、煮詰め液が薄くても、ペクチンなどのゲル化剤を加えれば、固める事はできる。手作りの良さは、そんなことをしなくても、材料本来のままで、時間をかけて、じっくりと煮詰めればいい。いまどきの人はそういう基本的なことを知らないようだ。
さらにその人が、セミノールで作ったら、皮が固かったと言った。おそらくやりかたがまずいのだろう。セミノールがあったら、つくってやってもいい。
甘夏を丁寧に洗い、皮と実を分けて、重量を量った。まずは糖分60%で作ってみよう。皮を薄く刻み、よく洗い、水に浸し冷蔵庫に入れた。実は袋の背中に包丁を入れ、実だけを取りだした。種も分けて水に浸した。両方とも冷蔵庫に入れた。皮の浸し水を口に含んで、苦味を感じると水を替え、これを4回ほど繰り返した。この苦味が好きな人もいるが、私は後味に残るくらいの苦味の方がいい。綿の部分がやや透明になってきたころ、ホウロウの鍋に入れて、ストーブの上にのせた。ストーブの上は火が強くないので、沸騰しない、皮が柔らかくなるまで、放っておいた。皮が柔らかくなったところで、実と量っておいた砂糖を加えて、またストーブにかけた。
冬に逆戻りしたような寒さだったから、ストーブをつけっぱなしが、幸いした。さて、問題はここから。煮詰め加減を忘れてしまっている。水の中に煮詰め液をたらし、固まり具合を見るのだが、マーマレードは房が黄色いので見分けずらい。1回目は煮詰めすぎた。湯を加えてゆるくした。2度目は、今度はゆるすぎた。で、また火にかけた。3度目はさすがに経験。もう大丈夫。勘が戻った。
焼きたてのバターロールにつけてみた。美味しい!焼きたてのパンはそれだけでも美味しいが、マーマレードを塗ると、あとをひく。ぺろりと2個、まだ食べたいところだが、止めた。シフォンを薄く切ってのせてみた。これもいける。あはは、お節介のご褒美だ。
たくさんできた。冷蔵庫の中は瓶がならんでいる。陶芸にも味見に持っていったし、人にも上げている。甘夏2個で、中ぐらいなジャムの瓶、2本分。家の甘夏は小さいけど。
で、今度は糖度を50%にしてみた。私にはちょっと酸っぱい。55%は未だ試していないが、55%か60%でいいにしよう。