大輪ではないが今年も花をたくさんつけてくれた。おかげで庭中、甘い香りが漂っている。ふた枝切り取って玄関に飾った。このクチナシは一本松のGさんが持ってきてくれたものだ。花をつけるとお礼の電話をかけてたのだが。
中学生のころ「ソレイユ」という雑誌を買っていた。少女向けの雑誌だけど文学的に優れたものが載っていた。白秋だったかな、「君を見て、花くちなしを嗅ぐごとき 胸騒ぎを覚えそめにき」という一首があった。長じて白秋全集を買って、この一首を探したら「君を見てビヨウヤナギを薫ごとき胸騒ぎを覚えそめにき」となっていた。ビヨウヤナギってどんな花だろうと探したことがある。身近にある花ではあったが、ことさら華やかでも、香りも強いわけでもなかった。胸騒ぎをするような香りではなくほのかな香りだった。昔の人はこのほのかな香りでも感じ取っていたんだな。現在人は殺伐としていると思ったものだった。当時でも、ビヨウヤナギより、クチナシの方が少女向けにはわかりやすいと書き換えたのだろう。ただビヨウヤナギは6文字なので、クチナシを花クチナシと書き換えたのだろう。でも、クチナシを見るとこの和歌を必ず口ずさむ。クチナシという名詞が出てこないときも、この歌を口ずさんで、あ~、クチナシだったといって、ずいぶん難し思い出し方するのね、と言われたこともある。
昨日ふいにPCの画面に「総務経済委員会開催のお知らせ」が出た。13時15分だったかな、そこで傍聴していた。議案は医療費無料化の拡大、簡単に言えば、医療費が県の支出で18歳まで無料になるというもの。問題にすることではないので、委員会はスムーズに終わった。その他もないので、事務局から「美の条例」の視察に来るという報告があった。対応は担当者と議長に出て貰うようなことを言っていた。それで思い出した。美の条例、条例そのものは文言だけだが、その精神は高邁なもの。これを作った三木元町長が健在しているのだから、議員たちも三木さんを招いて研修したらどうかとつねづね思っているんだが。三木さんは弁が立つから、そう、国会でも解説した、当時の背景、学者さんたちとの研鑽等々、成立までの道のり、そういうことを話してもらったらいい。あのときかかわった職員たちもみな退職してしまって、精神まで解説できる人すくないんじゃないかなぁ。