「おおぞら」とは大阪で野宿生活者、すなわちホームレスと自立を支援していたNPO団体である。いつも年に数回、活動報告「おおぞら通信」が送られてきていた。通信には必ず代表者の大川記代子さんのコメントが入っていた。小さな紙に、千代紙を切って張りつけた、それがとってもセンスのいい造りで、そこに自筆のコメント、楽しみだった。で、まずはコメントを出すと、「ご支援いただきありがとうございました」という言葉。「ありがとうございました」という過去形に引っかかった。気になったので、急いで通信を見ると、9月をもって「おおぞら」を解散したとあった。
大川さんは私より若いとはいえ、活動報告を読んでいると、ほんとに頭が下がるような活動をしていたから、よる年波には勝てなくなったのかも、としみじみ思った。中村哲さんと比べても遜色のない活動をしていた。ご支援というほどの支援はしたつもりがないけれど、ささやかなカンパはしていた。ホームレスとして生涯を終えた人の故郷を訪ね、故人の幼馴染などにも会って、「やはり故郷に帰るべきだった」というレポートは胸を打った。「おおぞら」は、ホームレスは乞食ではない、都会の建設を出稼ぎという形で、下で支え、故郷を離れ、働き続け、ついには帰る場所を失った人たちだという認識を教えてくれた人でもある。定住していないということは、住民票がもらえない。住民票がないと、職にも、年金も受けられない。もちろん部屋も貸してもらえない。
ところがこれが私のはやとちり。解散はNPO法人を解散したというもので、「おおぞら」の活動をやめたわけではなかった。ということはまだまだお元気。よかった、よかった、ほっとした。