十数年ぶり、いや、数十年になるかな、とにかく箪笥の肥やし状態の和服の虫干しをした。結婚当時はお茶をやっていたので、着物が長く入れられるように、大きな和ダンスを買ってもらった。子育てでお茶はやめてしまったが、それでも和服との付き合いは続いていた。式典とか祝いの席には和服の方が持っている物を使うという意味でも、便利だったからだ。ただし、これはあるときからある理由をもって、和服で出席するのはやめてしまった。
娘も着物が好きで、正月には必ず着ていたので、母に選んでもらって、さらに仕立ててもらっていた。娘が出てしまってからは、それこそ和服を着るのは結婚式に呼ばれたときぐらいしかない。
箪笥は邪魔もの扱いで、だんだん隅に追いやられてしまった。だから、日のささない、湿気の多い場所になってしまった。しかも箪笥の前にはテレビが置かれ、箪笥は壁同然の扱いだった。それでも気にして、ときどき乾燥剤は入れ足りはしたが。
春、妹に虫干しをしたほうがいいと言われて、暑いさなか意を決して、テレビをどかして箪笥を開けて見た。お~、びっくり。一番下の引き出しは白カビがびっしり。こりゃ、いかん。
引き出しの一番下は足袋とか肌襦袢とか、腰紐とか、そういった小物が詰まっている。入れてあるものはともかく、引き出しの乾燥が先だ。汗をたらたら流しながら、屋根の上に引き出しをはこび、中の物を屋根の上に広げた。引き出しは長いのが4段、4ケ、そして小引き出しが3ケ。下から2番目に入っていた浴衣類も白くカビがついている。こりゃ~、クリーニングに出さなくてはだめだ。雨コートも白くついている。夏物のウールの着物も何枚か入っている。大丈夫みたいだ。ここはたとう(畳紙)が入っていたのが役に立ったみたいだ。
次の段はウール類、ちぢみもここに入っていた。ウール類は大丈夫そうだ。ウール類のその上が名古屋帯など、簡単な帯類。さすがここまではカビは来ていない。
箪笥の引き出しのカビを拭いて、乾かすのに2日かけた。その間、箪笥の方には扇風機で風を送っていた。さて、3日目、上段の観音開きになっている引き出しを出した。ここには絹物が入っている。物干し竿にかけたり、ハンガーにつるしたり、窓辺につるして横から扇風機で風を当ててみたりした。扇風機で風を送るのが効果的なようだ。そこで2台の扇風機で風を当てた。
無精者の割りに、着物はちゃんとタトウに入れて、さらにシーツで包んであった。たたみ皴がつかないようにちゃんとタオルが入れてある。なかなかやるじゃ~。タトウもシーツも屋根にもって行って日光浴させた。
ほっとしたのは、着物にシミやカビは出ていなかった。よく着たものは汚れはついているけれど。
さぁ、しまおう。ベッドの上に大きなシーツを広げ、一枚ずつたたんで、タトウにいれ、しまい始めた。そんなに衣装持ちではないのに、それでもうんざりした。冷房もついているし、扇風機も2台も回っている。それだけでもおかしくなりそうなのに、大嫌いな片づけだ。着物のたたみ方は覚えていたが、あれ、長じゅばんのたたみ方はこうじゃなかったな、道行のたたみ方も違ったな、なんて、それこそ折り目を見ながらたたんでいる。足と腰が痛くなってしまった。あ~、衣装もちでなくてよかった。
まだまだ片付けは明日も続く。屋根に干したものは一応2階のベッドの上においてある。引き出しもそのままだ。あれを下にもってくるだけでも憂鬱。とはいえおきっぱなしにしておいてネコにオシッコでもかけられたら大変。もうひと頑張り、いやもうふた頑張りだ。
クリーニングに出せるものは出してしまおう。