プレミアム8 未来への提言 ジャーナリズムは世界を変えられるか で報道写真家 ジェームス ナクトウェイ。かなり突っ込んだ質問にも淡々と答えるナクトウェイに好感が持てた。彼の写真、アフリカでシーツの下からじっと覗いている目の子どもの写真は記憶に残っている。
写真は真実をとらえる。その真実を世界に知らせるのが、報道写真のつとめである。たしかに衝撃的な一枚の写真が、世論をよび、改善されたことも多々ある。しかし、一方、報道されても、報道されても、一向に終わらない憎しみの戦いは未だに続いている。20世紀は戦争の世紀であった。私たちは、平和を願って21世紀を迎えたのだったが、悲しいことに争いの火種は消えることがない。
ナクトウェイは写真を撮り続けるうちに、過酷な現実を生きている人々に「希望」を見出した。生き抜こうという人間のすばらしさ。そしてその人間の心の中にある「希望」を撮ろうとしているそうだ。彼だけでなく、報道写真を撮り続けている写真家にはがっちりした思想がある。その思想が真実を写しながらも写真を通して見るものに訴えてくる。
写真と動画の違いを聞かれ、写真は「瞬間を凍結する」と答えていた。そうだ。凍結された瞬間、その瞬間には、撮った人の思想も、撮られた人の人生も背景も凝結されている。動画では流れていってしまう時間が、心にしみる瞬間として永遠に残る。
インタビューの内容は↓にある。
http://www.officeboe.co.jp/index.html
James Nachtwey
マグナム正会員。ロバート・キャパ賞を3回受賞。 戦場などで活躍するフォトジャーナリスト。
略歴
1948年ニューヨーク州生まれ。大学で美術史と政治学を学ぶ。 1972年ころより独学で写真を学ぶ。
1981年ころより世界各地の紛争問題の写真を撮り始める。
中南米、アフリカ、中近東、アジアなどを撮影し、多くの雑誌のトップページを飾る。
1989年 写真集「戦争の証言」を出版。
1983年 「マガジン・フォトグラファー・オブ・ジ・イヤー」、「ロバート・キャパ賞」を受賞して脚光を浴びる。 他にも、
・ ワールド・プレス・クラブ賞
・ ICPジャーナリズム賞
・ 世界報道写真賞最優秀賞(1993年)(1995年)
など数多く受賞しその活動が評価されている。
1997年 東京にて写真展「愚かさと希望」