――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――
《民主党に夏の参院選挙で勝利させて、衆・参両院とも過半数のチャンスを与え、民主党政治を存分に発揮できる活躍の場を提供してみてはどうだろうか――
民主党は民主党政治を存分に発揮できる衆・参両院の過半数を求めて、国民に夏の参院選での勝利を訴えるべきではないだろうか――》
自民党は1989年の参院選で社会党に大敗、プラス連合の会を向こうにまわして参議員過半数割れ、それ以後、自民党分裂を受けた1993年の第40回総選挙でも過半数割れ、9カ月足らず野党に転落の歴史を抱えているが、2007年7月の参院選で民主党に敗れるまで戦後ほぼ一貫して、衆・参とも過半数を維持、自民党政治を恣(ほしいまま)とするチャンスを独占してきた。
次は民主党にも衆・参過半数のチャンスを与えて、衆・参過半数下の民主党政治がどう展開されるか、じっくりと眺めてみるのもアリではないだろうか。
昨日の当ブログで書いたが、1月24日の名護市長選の基地受入れ反対の稲嶺氏の当選について平野官房長官が翌25日午前の記者会見で、「民意の1つであることは事実であり、それを否定はしないが、今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う。名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」(NHK)と述べたことが批判され、26日の記者会見で改めて自身の発言を正当化している。
《移設先 政府責任で決定の趣旨》(NHK/10年1月26日 13時18分)
市長選挙の結果を巡る自らの発言について――
平野官房長官「選挙結果は一つの大きな民意であり、民意を軽視しているわけではない」
市長選の結果を斟酌する理由はないと述べたことについて――
平野官房長官「選挙結果がすべて、国の安全保障の一環である基地問題についての民意として受け取るのか、そうではない。選挙は、基地問題一本で行われたわけではないと思う。検討委員会としては、この結果をもって即、辺野古への移設を外すとか外さないということにはならないという意味で言った」
移設先を決めるに当たっての受入れ先との調整について――
平野官房長官「5月までに地元と合意できるかどうかは別問題だ。理解を求めていかないといけないテーマだが、日本の安全保障にかかわる問題であり、合意がとれないと物事が進められないものなのか」
選挙結果としての民意を国の安全保障の一環である基地問題と結びつけた発言箇所は「asahi.com」記事――《名護新市長 官房長官「発言は大きな民意ではあるが…」》2010年1月26日12時37分)では次のようになっている。
「新しい市長が生まれ、その発言はひとつの大きな民意ではあるが、国の安全保障の一環である基地問題を含めて民意として受けとるのかというと、そうではない」
ここには狡猾な論理のすり替えがある。名護市長選挙の結果は沖縄県民の民意をも反映した名護市民の民意であろう。そしてそれは民主党が火をつけた民意でもあると昨日のブログで書いた。
いわば市長選挙で表した県外・国外移設の民意、沖縄の米軍基地負担軽減を求める民意はあくまでも名護市民及び沖縄県民の民意であって、それを平野官房長官はここで基地問題を含めた日本全体の安全保障の問題に置き換えるすり替えを行って、そのことまで意思表示した民意ではないとすることで、名護市民及び沖縄県民の民意の否定を企む詭弁を弄している。
そしてその理由として「選挙は、基地問題一本で行われたわけではない」ことを挙げている。あるいは暗に日本全体の安全保障まで考えた民意ではないとしている。
当たり前のことを逆手に取って、当たり前のことを以って民意を否定しようとする論理のすり替えを平野長官はここでもやらかしている。
だが、名護市長選挙は基地移設問題が大きな争点として争われ、名護市辺野古沖移設受入れ派と県外・国外移設派との対決の構図での戦いであったことは否定できない事実だったはずである。それを「選挙は、基地問題一本で行われたわけではない」と何が争点となったのかまでを誤魔化す詭弁を働かせている。
「日本の安全保障にかかわる問題」だからと、それを絶対前提に据えつけて、少なくとも水戸黄門の葵の印籠のように振りかざして、「合意がとれないと物事が進められないものなのか」と強権意識を覗かせているが、「合意」が取れないからと合意を経ないまま、いわば民意を無視して事を進めると言うなら、本土の沖縄基地受入れ反対の民意に対しても受入れ賛成へと転じせしめる「合意」が取れなかった場合は同じく無視して、受入れ賛成の「合意がとれないと物事が進められないものなのか」と本土の岩国基地へでも何でもいいから、普天間基地の移転を強引に推し進めるべきがバランスある政策というものであろう。
もしも名護市に関してのみ、あるいは沖縄に関してのみ「合意がとれないと物事が進められないものなのか」と合意を経ない移転を可とするのは不公平そのものとなる。
当然、本土を含めた移転先の様々な可能性に立った検討を情報公開を同時進行させながら経た上で辺野古以外にないということならまだしも、そういった経過を経ないうちから、選挙「結果をもって即、辺野古への移設を外すとか外さないということにはならない」と、単に名護市長選挙の結果だけを把えて、辺野古のみを対象とした選択肢の範囲内で発言するのは時期尚早、バランスを欠いた不公平な性格のものとなる。
民意を「斟酌」しないからこそできるできる辺野古限定発言ということではないのか。
政府の役目は、沖縄県民の県外・国外移設の民意を可能な限り検討課題に加えて、日本にある米軍基地を含めたすべての基地に亘って抑止力の点でもバランスの取れた基地及び兵力の配置を米政府と共に検討・デザインしながら、新しい日米安保体制、日本全体の安全保障を構築することであろう。
日本の安全保障の全体像を描く上でどうしても辺野古を抜かせないということなら、あるいは沖縄を抜かすことができないということなら、あくまでも「合意」を前提として辺野古、あるいは沖縄を抜かすことができないことの説明を尽くすことが政府の次の役目としてあるはずである。
平野長官は「(地元との)合意がなかったら、物事が進まないということですか? そこは十分検証したいと思います。そうでなくても、法律的にやれる場合もあるでしょうし、いろんなケースがあると思います」(《官房長官、法的措置での決着に言及》 TBS/10年1月26日20:44)と法的措置にまで言及しているそうだが、あらゆる可能性を検討しないうちから「法律的にやれる場合もあるでしょう」と法的措置を持ち出すのは何様だか知らないが、一種の威嚇に当たる。
そういった手続きが控えていることを考えもせずに名護市長選の結果のみで即反応するから、「斟酌して行わなければいけない理由はないと思う」とか、「選挙結果がすべて、国の安全保障の一環である基地問題についての民意として受け取るのか、そうではない」と愚かしくも狭い考えに立つことになる。
この男の顔をテレビで見るたびにうんざりして、民主党支持の意志が萎える。
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