江田五月参議院議長(会派離脱中)・川端達夫文科相・直嶋正行経済産業相・松本剛明衆院議院運営委員長・松野頼久官房副長官の民主党5議員関連の政治団体が政治活動費としてキャバクラやクラブへの支出を計上していたと昨30日(09年9月)、各記事が伝えている。
9月30日付「毎日jp」記事――《民主党:5議員の団体、政治活動費で飲食 03~07年、計500万円》からその詳細を見てみる。
江田五月会――東京・西浅草のキャバクラなど計11店27件、計237万円余の支出。
代表川端達夫「民主党滋賀県第1区総支部」、川端達夫資金管理団体「川友政治研究会」、政治団体「達友会」――東京・赤坂のクラブや新宿のニューハーフショーパブなど6店14件、計114万円余の支出。
直嶋正行経済産業相(参院比例)の秘書が会計担当者を務める政治団体「直嶋正行後援会」――3店8件、計146万円余の支出。
松野頼久官房副長官(衆院熊本1区)資金管理団体「政治システム研究会」――2店3件、計51万円余の支出
松本剛明衆院議院運営委員長(同兵庫11区)資金管理団体「松本たけあき後援会」――2店2件、計34万円余。
政権担当時代の自民党が長年の与党の権威で政治献金を掻き集めて手に入れた資金力と威勢をバックに赤坂や新宿の高級料亭で女を侍らせて飲み食いに使うカネから比べたら、たいした金額ではないかもしれないし、資金力に応じた自民党の高級料亭に対するクラブ・キャバクラといった店の規模かもしれないが、しかしこのことは単に野党という立場上、自分の懐を痛めないで済む、自由に使える政治資金等のカネが少なかったことの反映でしかないだろう。与党となって政治献金などのカネの集まりがよくなれば、女を侍らせて飲み食いする場所がいつ自民党化しない保証はない。
自民党にしても野党という冷や飯食いの冷遇が祟ってカネの集まりが悪くなれば、森喜朗や古賀誠といったボスの場合はカネを出す側との長年の腐れ縁からカネの集まりに異変は来たさないかもしれないが、多くは飲み食いの機会が野党時代の民主党化へと進まない保証はない。
上記「毎日jp」記事は次のように伝えている。
〈民主党は03~07年に計約548億円の政党交付金を受け、これは党本部の全収入の約8割。同党が所属議員に配る「政党交付金ハンドブック」は、交付金から酒を伴う飲食費の支出を禁止している。〉――
「支出の禁止」を忠実に守っていたかどうかは不明だが、政党交付金以外見るべき献金がない状況からも窺うことができる飲み食いする店の規模、飲み食いに使う金額の規模であったということではないだろうか。
記事は最後の方で各議員の事務所の話を載せている。
〈◇江田事務所の話
議員は(接客飲食店での会合に)参加しておらず、会員や支持者、秘書らが参加した。(不適切との)指摘にかんがみ、支出のあり方を(五月会の)役員会で検討してみたい。
◇川端事務所の話
法に基づいて正確、適切に記載している。それ以上は答えられない。
◇直嶋事務所の話
収支報告書の記載通りで間違いない。それ以外は答えられない。
◇松野氏の代理人弁護士の話
いかがわしい風俗店とは違い、打ち合わせの場所として活用している。不適切とは思わない。
◇松本事務所の話
このような費用は個人負担せよとのご指摘はごもっとも。議員から相当額の寄付を(返還分として)受けることを検討したい。〉――
日付は同じだが、別の「毎日jp」記事――《民主党:5議員団体、歓楽街で「政治活動費」「行きたいという後援者がいて…」》が江田議員の秘書と川端氏の会計責任者の説明を載せている。
〈キャバクラやクラブへの支出が最も多かった江田五月参院議長の資金管理団体「全国江田五月会」は、07年8月に江田氏が議長に選出された後も、東京・西浅草のキャバクラに2回、計13万円余の支払いがあった。この店によると、日によって「ワイシャツのみでお出迎え」「ナースのお仕事」「浅草中華街」などと称し、女性従業員が下着の上にワイシャツだけ着た姿で接客したり、看護師姿やチャイナドレス姿で接客することもあるという。〉――
江田氏の秘書「行きたいという後援者がおり、情報交換という形(で行った)。議長は一切参加していない」
「中には新聞や雑誌を含めたマスコミ懇談会もあった」――
但し、具体的にいつの会合だったかについては「分からない」と言葉を濁したとのこと。
また、選挙区岡山県の後援者が上京した際などにも使ったという。
「新聞や雑誌を含めたマスコミ懇談会もあった」があまり突つくと困るのはマスコミの方だぞというそれとない威しなのか。具体的には詳細を明らかにできないことを口にすること自体が怪しい。それを口にできたのは事実ではないと疑われても仕方があるまい。
川端氏の事務所の場合。
〈川端達夫文部科学相の政治団体「達友会」では東京・新宿のニューハーフショーパブへの支払いがあったほか、同氏が代表を務める「民主党滋賀県第1区総支部」では、京都・祇園で舞妓(まいこ)姿の女性が接客する店もあった。〉――
川端氏政党支部の会計責任者「法に基づいて正確、適切に記載している。・・・・(川端氏本人の参加については)答えられない」――
例え「情報交換」や「打ち合わせ」が主たる目的であったとしても、自分の懐から出たカネではない政治活動を目的とした政治資金を、面白おかしくだろう、女を侍らせて飲み食いする愉しみを付け足して費やす。女や酒が情報交換に必ずしも必要な舞台装置ではないし、本来ならそれぞれが自分の懐を痛めるカネを使うべき愉しみでなけれならないはずだが、そうはなっていない。
情報交換、あるいは打ち合わせと言いつつ、政治資金を使って女を侍らせて飲み食いさせる機会を提供した側にも、政治資金で女を侍らせた飲み食いの機会を受ける側にも、そこに自分の懐を痛めるわけではないという卑しさがなかったろうか。
この卑しさは民主党議員だけではない。1988年、旧大蔵省金融検査部幹部が抜き打ち検査がタテマエの検査日を金融機関に漏らして有名無実化し、その利益交換にゴルフの接待や高級料亭での飲み食い、女性が下着を着けないで身体の前を前掛けだけで隠して接客するノーパンしゃぶしゃぶ等で飲み食いの接待を受けていたことが発覚している。
これも卑しくなければできない自分の懐を痛めなずに他人のカネで面白おかしく愉しに耽る機会の取得であろう。
現在も国の役人が国家予算を使った事業で随意契約や一社応札の高値で発注してその見返りに何らかの形でキックバックを受けて、それを原資に飲み食いに使うといったことをしている。2007年に発覚した守屋武昌前防衛次官の航空・防衛専門商社「山田洋行」の元専務からの夫婦で200回以上に亘るゴルフや食事の接待は典型的な例である。
地方役人も国からの補助金を巧みに操作してカラ発注等で裏ガネを捻出、それを元手に飲み食いに回している。2008年10月に会計検査院が任意に選んだ12道府県の国庫補助事業を調査した結果、全道府県で裏金づくりなどの不正経理が見つかった問題。そして平成19年度までの5年間で千葉県が約30億円もの不正経理を行ったことが発覚した問題。浮かしたカネを裏ガネにまわして一部を飲み食いに使っていたことはやはり自分の懐を痛めないで飲み食いの機会を得ようとする卑しさがなければできないカネ遣いであろう。
民間企業でも、不景気だから減ってきてはいるだろうが、接待と称して自分が飲み食いする目的で無理に取引会社との接待の機会をつくってクラブなどに出かける。あるいは平日であるにも関わらず、接待を口実に自分がしたいゴルフに出かける。これらも自分の懐を痛めめずに飲み食いやゴルフの愉しみを得ようとする卑しさが衝き動かした会社のカネからたかる一種の“タカリ”に他ならない。
なぜかくも卑しい日本人ばかりなのか。
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