麻生太郎はぶれません、海外でもぶれません

2009-05-07 07:10:39 | Weblog

 アメリカ大統領オバマに肩を並べる我が日本の偉大なる麻生総理大臣が3月30日(09年)に英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューを受けて、ロンドンで4月1日(日本時間2日未明)から開催の金融サミット(G20)で、途上国向けに2年間で総額220億ドル(約2.2兆円)以上の貿易金融支援を行う考えをぶち上げた。

 「日本は欧米諸国に比べてそれほど傷が深くない。G20の中で積極政策をリードしていかなければならない」(「asahi.com」

 さすがオバマと肩を並べるだけあって、世界に向けたリーダーシップ意識だけは過剰なまでに濃厚・濃密・国産100%のところを見せている。「欧米諸国に比べてそれほど傷が深くな」ければ、回復も早いわけで、「100年に一度と言われるこの金融危機から日本が世界で最初に脱出する」とした宣言をわざわざ披露するのは一貫性を欠き、矛盾することになるが、麻生は常に「自分の言っていることはいつも同じ」とか、「いつも同じことしかお答えしていない」をキャッチフレーズとして、ぶれないことを誇っているから、麻生という人間から見たら、どう逆立ちさせても「言っていることは同じ」、ぶれてはいない、矛盾もなく、一貫性ある主張に違いない。

 テレビで経済人が中国の今後の動向が日本の景気回復の一つの重要な鍵だと言っていたが、麻生の「世界で日本が最初に脱出」の宣言がぶれることになる中国云々の景気回復プロセスはあるはずはなく、「言っていることは同じ」にマッチした景気回復を常に絶対的な世界の動向としなければならないはずである。

 でなければ、麻生が言っている「自分の言っていることはいつも同じ」は真っ向から否定されることになる。否定は麻生にとどまらず、日本まで否定されかねない。

 何しろ日本の新聞・テレビではない、イギリスの新聞のインタビューである。世界ブランドという暗示を受けて世界のリーダーたろうとする意識がついつい過剰な上にも過剰に働いたのはいいが、日本のように財政の均衡も考えず、赤字国債大量発行も厭わず、カネをバラ撒くだけバラ撒く財政出動に右へ倣えしない国があるのは世界のリーダーとしてのリーダーシップが届かないことになって認め難く、面白くもない。誰をも従わせたい過剰なリーダー意識と、それを煽り立ててくれる世界的新聞のインタビューというお膳立てに虚栄心が痛く刺激を受けて舌が滑らかな上にも滑らかになりバランスを失って強気一点に向かってしまったのかもしれない。何と言ったってぶれない男なのだから。

 日本は財政出動の「経験を15年間やってきた。初めて同じような状況に直面している欧米諸国の中には、財政出動の重要性を理解していない国がある。それがドイツだ」(同「asahi.com」))

 世界のリーダーたる日本の政策に右へ倣えしない国・ドイツを名指しで批判、日本の財政出動積極策を以ってドイツの財政出動消極策に挑戦状を叩き付けた一瞬であった。日本の新聞ではない、全世界に情報が発信される世界的な新聞英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューに便乗して、世界に向けて日本が世界のリーダーたることの自負を誇示した瞬間でもあった。

 まさかドイツの首相が女だからと、世界に向けてリーダーシップを発信しようとする余り勢い余って世界に冠たる日本の男尊女卑の歴史・文化・伝統・精神まで発動させてしまい、一段も二段も低く見たわけではあるまい。あくまでも世界のリーダーたる“矜持”から、カネをバラ撒く財政出動に消極的な姿を「さもしい」と見たからだろう。

 高額所得者でありながら、1、2万の定額給付金を戴くのも「さもしい」、財政出動にケチ臭いのも「さもしい」というわけである。

 そして今回チェコ、ドイツを訪問、5日午後(日本時間5日夜)に世界のリーダーたる我が麻生総理大臣はベルリンの首相府で英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューを通して「欧米諸国の中には、財政出動の重要性を理解していない国がある。それがドイツだ」と名指しで批判した当のドイツ首相メルケル女史と会談、「自分の言っていることはいつも同じ」だとしている“ぶれない男”を終始一貫演じ、世界のリーダーたる“矜持”まで守り通して、今度は新聞を通してではなく、直接面と向かって、日本は財政出動の「経験を15年間やってきた。初めて同じような状況に直面している欧米諸国の中には、財政出動の重要性を理解していない国がある。それがドイツだ」と批判、世界のリーダーとしての面目を施したと英紙フィナンシャル・タイムズのみならず、世界中の新聞・テレビが何の間違いが、どこも報じなかった。

 伝えていたのは会談後の記者会見で述べたドイツ称賛である。ぶれずに貫くべき期待していたドイツ批判ではなかった。

、「ドイツは早い段階から積極的な手を打ってきた。日本よりも早く対応してきた」(≪独の経済対策「日本より早く対応」 麻生首相フォロー≫asahi.com/2009年5月5日23時38分)

 日本政府が09年度補正予算案に盛り込んだエコカー買い替え補助も「ドイツのアイデアをちょうだいした」(同「asahi.com」

 手放しのドイツ称賛ではないか。新聞は「フォロー」と言っているが、では日本は財政出動の「経験を15年間やってきた。初めて同じような状況に直面している欧米諸国の中には、財政出動の重要性を理解していない国がある。それがドイツだ」の名指し批判は何だったのか。どのような目的があって批判したのか。

 批判したなら、批判対象の政策を自らが正しいと打ち出した政策へと変更を求めることが終始一貫した態度、ぶれない姿勢、「自分の言っていることはいつも同じ」ということになるのだが、批判しておいて、批判した景気対策を「フォロー」では格好がつかないと思うのだが、格好がつくところが世界のリーダーたる我が日本の麻生太郎なのかもしれない。

 遠い場所で批判して、面と向かっては「フォロー」――それが麻生流の「自分の言っていることはいつも同じ」ということであり、麻生流の“矜持”の示し方なのだろう。

 さすが世界のリーダー、日本が誇る偉大なる総理大臣である。

 5月4日のチェコのプラハ開催、日・欧州連合(EU)定期首脳協議後の記者会見で、<チェコのクラウス大統領が同国の記者から地球温暖化に関し「日本と連携が取れていないのでは」との質問を受けると、その様子を見ていた首相は「ジャーナリストが変わった質問をするのは『チェコスロバキア』だけでなく、世界中で見られることだ」。チェコスロバキアは、1993年にチェコがスロバキアと分離する以前の名称で、首相の言い間違えは関係者を慌てさせた。>と5月5日付の「時事ドットコム」≪日欧連携をアピール=国名言い間違えも-麻生首相≫が伝えていたが、さすがオバマを差し置いて世界のリーダを自負しているだけあって、チェコ大統領への質問を横から口を挟むリーダーシップを発揮したのはいいが、麻生太郎のことは余りいいことは書かない日本の新聞・テレビに対する恨みつらみが八つ当たりに姿を変えてチェコを越えて「世界中」の新聞・テレビに向かい、「変わった質問」としてしまったのかもしれない。

 それにしても小泉純一郎、橋本龍太郎、麻生太郎、地方票開票後立候補辞退の亀井静香と争った01年4月24日の自民党総裁選のインタビューで「テレビは見ないし、新聞は読まない」と公言した割には「世界中で見られることだ」と世界中の新聞・テレビにさも詳しいようなことを言っているのは、これも「自分の言っていることはいつも同じ」部類に入る“ぶれない発言”ということなのだろう。

 世界のリーダーを自任している日本の誇る総理大臣である。まさか知ったかぶりで言った小賢しいだけの発言だとは思いたくない。

 チェコをチェコスロバキアと国名を言い間違えることも、国名の“ぶれ”を示すものだが、ぶれない男麻生太郎にとってはチェコもチェコスロバキア「言っていることは同じ」であって、“ぶれ”の内に入らないに違いない。


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