昨4月25日(2011年)、参議院の予算委員会と決算委員会で原子力事故問題で集中討議が行われた。新党改革の荒井広幸議員が、「総理、責任はどこにあるんですか、この人災である原子力事故については」と聞いているが、責任論についての菅仮免の答弁に関して結論を言うと、「原発事故の責任は私にも政府にもありません」となっていた。
最初は原発事故責任に関してではないが、参院決算委員会での岡田広自民党議員の統一選に関する責任についての質問と、以下井上哲士(さとし)共産党議員と新党改革の荒井広幸議員の原発事故の責任に関する質疑のみを取上げて、菅仮免の責任意識の程度を見てみる。
岡田広自民党議員「自民党の岡田広でございます。東日本、大震災の、復旧・復興のための、第一次補正予算が今週28日にも提案されることになっているんです。この28日は、大震災の日から数えて、49(しじゅうく)日目に、なります。1日も早く、補正予算を成立させて、そして原発の、収束、復旧・復興の支援に、全力を尽くしていかなきゃならないと、考えているところであります。
改めて、大震災で、亡くなられた方々、被災をされたみな様に、心からのお悔やみと、お見舞いを申し上げたいと思います。
質問に入る前に、菅総理にお尋ねをいたします。昨日統一地方選挙の後半戦が終わりました。振返って見れば、昨年の6月に菅政権がスタートして以来、7月の参議院選挙、10月には衆議院北海道の補欠選挙、11月には、沖縄県知事選、和歌山県知事選、12月には…、新政権がスタートして以来、初めての、都道府県議会選挙、茨城で行われました。
そして、統一地方選挙の前半戦、後半戦が終了いたしました。衆議院の愛知補選でも、結果が出ました。ま、結果はご承知のとおりであります。特に統一地方選につきましては、震災、対応が、今回の選挙の結果に反映をしたと、私はそういうふうに考えております。
昨年の7月からの一連の選挙の、結果を踏まえた総括、これは民主党の中でも、岡田幹事長を中心に、総括、検証、総括がされるんだろうと思いますけども、党代表としての、菅総理の考え、そして今回の一連の、選挙が政局に与える、影響等につきまして、菅総理の考え方を、先ずお聞かせをいただきたいと思います」
菅仮免「シー、先ず、ウー…、ウー…、3月、11日の、この決算委員会の、おー、ときに、イー、大震災が発生して、えー…、決算委員が、あー、迅速に、休憩を、おー、宣して、シ、その後に対応に、イ、当たる、ことができたことについて、シ、その扱いを含めて、えー、改めてお礼を申し上げたいと思います。
シー、それから、ア、40日、イー、あまり経過、をいたしました。シー、また私は、あー、今回の、大震災、えー…震災、津波、と同時に、エ、発生した、福島原子力発電所事故に関して、シー、えー、えー、全力を挙げて、えー、取り組んでまいりました。シー、えー…、先ずは救命ということで、えー、特に自衛隊には当日に、えー…、しっかりと、おー、対応するようにということを申し上げ、また原子力発電所についても対応をしてまいりました。
シー今、あー…、岡田委員の方から、シー、えー…、この間のいくつかの選挙の結果について、どう考えるかというご質問をいただきました。シー、確かに、イー、それぞれ厳しい結果、あー、に、えー、なっていて、シー、そのことは真摯に受け止めなければならないと、思っております。
ただ、私は、この大震災に対する対応について、シー、えー…、そのことが、あー、今回の、おー、結果に、イー…、直接に、大きく響いたという、いわ、いわゆる、うー、選挙ですから、色んな要素がありますけれども、少なくとも震災対応については、私は、ア、政府を挙げて、やるべきことは、しっかりやってきていると、そのように、イー…、考えておりまして、ま、そういう意味で、えー、今回の結果は、結果として、真摯に受け止めなければなりませんけども、震災の、えー、復旧・復興、そして原子力、発電所事故の、おー…何としても、これを抑えるということに、今後も全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております」
岡田議員「あの質問の、おー、要点だけ、お答えいただけたら、いいと思います。けども、やっぱり、今回、今までの一連の、選挙の結果という、敗因の一つに、私は菅総理を始め、閣僚の言動がが、あったと思います。
これまでは仮免許だったと。国際の格付けは疎いと。そして閣僚でも、自衛隊は暴力装置。今、10万6千人の自衛隊のみな様がご遺体の収容や、被災地の支援に、不眠不休で努力をしている。こんなことを考えたら、こんな発言が出るんだろうか。(柳田)法務大臣の不適切な発言がありました。
震災があってからも、様々な発言がありました。ここでは時間がないから、一つ一つのことを述べる時間はありませんけども、私は総理が発言をしたとか、言ったとか、言わなかったとか、そんな問題ではない。
こういう報道にされることが私は、問題があるんだろうと、そういうふうに思っております。総理が発言をされなくても、総理が任命をされた方々の発言というのは、総理の任命責任はどこにあるんだろうか。
やはり、総理の言動一つとって、言動一つによって国民のみなさんが安心を担保し、総理の言動一つによって国民のみなさんが不安を広げていくんです。
是非トップリーダーとしてしっかりとした言動を、今後していただきたい。そのことは指摘しておきたいと思います」
岡田議員はここで統一選敗北が震災対応が反映した結果ではないかという追及を切り上げる。
菅仮免はもう一つの、統一選家結果が今後の政局に与える影響についての追及は巧妙になのかどうか分からないが、一言も答えずにすり抜けている。
菅仮免は答弁を3月11日の決算委員会が震災発生と同時に休憩を迅速に宣したことがその後の対応に役に立ったと礼を述べることから始めているが、菅仮免自身は初動を含めたすべての対応に間違いはないと信じていたとしても、質問者はそうは思っていなくて、政府の震災対応の遅滞・不備を前提に質問しているのだから、菅仮免の主観的当否は第三者的客観的当否次第でその後の対応への評価は変わってくる不確かな変数でしかない。当然、その指摘の当否を的確且つ論理的に論じて客観的に導き出すことから始めるべき答弁を菅仮免の主観的当否から入っている。
だから、岡田議員から、「あの質問の、おー、要点だけ、お答えいただけたら、いいと思います」と注意を受けることになる。
この見当違いな答弁から入る合理的判断能力の欠如一つを取っても、とても一国のリーダーにふさわしい理知的な思考能力を備えているとは到底思えない。
菅仮免は地震発生後迅速に自衛隊に対して出動命令を下したことに盛んに言及して自らの初動に間違いがないこと、責任がないことの理由としているが、自衛隊の出動が仮設住宅建設から被災者の生活の十分な確立と充足、街や各産業の復旧・復興、雇用等々のすべてを解決するわけではなく、全体の解決は首相自身のリーダーシップにかかっているのだから、自衛隊に対する迅速な出動命令を以って対応に間違いがないとするのは現実には十分な対応となっていないことを言い逃れる単なる口実に過ぎないことが分かる。
菅仮免は統一選挙の結果は真摯に受け止めなければならないが、震災に対してはしっかりと対応してきたから、選挙の結果に大きく響いたとは思わないと答弁した。
なぜ岡田議員は、それでは何が原因した統一選敗北なのかを問い質さなかったのだろうか。多分、敗北の原因については今後の検証に待つと逃げるだろう。だが、今後の検証に待つということなら、震災対応が影響したかどうかも検証を待たなければ分からないことになって、影響しなかったと否定はできないことになるが、否定している以上、検証抜きの否定という矛盾が生じる。
何が原因した敗北なのかを追及することによって矛盾を突くことができるか、あるいは否応もなしに菅仮免自身の口からリーダーシップ欠如が原因した統一選敗北だと炙り出すことができた可能性は否定できないはずだが、岡田議員はその原因を尋ねることをしなかった。
井上哲士共産党議員「日本共産党の井上哲史(さとし)です。福島第一原発は、まさに最悪の、事故になりました。初動に於ける、危機的事態にふさわしい、イ、政府の対応が決定的に遅れました。そして、エ、政府はまともな説明もないままにイー、避難指示、屋外、屋内退避、エ、計画的退避、そしてー、えー、警戒区域など、周辺住民と自治体に、エ、多大な、あー、混乱と苦難を、押し付けてきました。
避難所の住民からはですね、安全と言ってきたんじゃないかと、どうしてくれるんだと、こういう怒りの声も上がっております。なぜこういう事態になったのかということを私は問いたいわけであります。
先ず、ウー、今回、えー、地震と津波によって、すべての電源が失われて、エ、冷却水が確保できず、うー、炉心損傷にいたり、レベル7という事故になりました。シー、シビアアクシデント、過酷事故、と言われる、重大な事故であります。アメリカのスリーマイル島原子炉事件、そして、えー、旧ソ連の、チェルノブイリの事故。ま、これを受けて、えー、国際原子力機関は、こうした重大な事故を想定した、安全指針を全世界に求めております。
安全委員会、来ていただいておりますが、日本はこの全電源喪失などによって炉心損傷に至る、重大事故について、どういう計画を取ってきたんでしょうか」
斑目原子力安全委員会委員長「えー、原子力安全委員会では、エ、平成4年に、えー、シビアアクシデントに、イー、えー、タ、なんと、対応として、えー、アクシデントマネジメント、あー、について、という文書を発出してございます。
その中で、えー、シビリアンアクシデントが生じた場合の管理策を、えー、事業者自身が、えー、整備し、えー、それを確実に実行すること、を、強く推奨してございます。
えー、それから、えー、原子力安全委員会としましては、えー、昨年、えー、これから、えー、取り組むべき重要な課題というのを少し整備してございまして、そん中で、えー、このシビアアクシデント対策というものについての、えー、徹底的に見直す、ということをまさに始めたところでございます。
しかしながら、実際にはこのような大事故を、防げなかったということに関しまして、原子力安全委員会が意図としては、深く反省し、えー、今後の指針類の改訂ですとか、あるいは監督等に努めてまいりたいと思っている所存でございます」
かなり苦し紛れの答弁となっている。原子力安全委員会としての責任を果たしてこなかったことが如実に現れた苦し紛れなのは察しがつく。
井上哲士議員「(書類をちょっと持ち上げて)これがそのアクシデントマネジメントの指針でありますが、シー、これどういうふうに位置づけているのかと、今ありましたように、この原子炉設置者に於いて、効果的なアクシデントマネジメントを、自主的に整備することを、奨励すると、言うことに過ぎないわけですね。
そして(書類を読み上げる)、その具体的な対策の内容如何によって、原子炉の設置、または運転に制約するような、規制措置は要求されるものではないと、ここまで言っているわけですねぇ。
ま、これでは電力会社に丸投げであって、えー、国が、この重大事故に対する対策を放棄したもんじゃないですか。通産大臣如何ですか」
海江田経産相「今、お話がありました、あー…原子力安全委員会からの指摘を受けまして、えー、原子力安全・保安院では、平成4年の7月にですね、えー、事業者に対して、アクシデントマネジメントの対策を取るように、イー、指示をいたしました。
そしてその結果、平成6年の3月に各社が、アクシデントマネジメントの、検討報告書が提出をされました。しかしその、おー、中身は、先程、おー、委員長からお話たありましけれども、主に、電源喪失の対策として、複数号基幹の電源の、ま、実は融通を可能するよう、設備改善を行うと、いうことをこのアクシデントマネジメントの中身として位置づけがあったわけでございます。
シー、ですから、ま、これだけでは、特に津波対策などには不十分でございまして、え、こうした事態を予め想定し、十分な対策をできなかったという限界があったというふう認識しております」
井上哲士議員「あの確認しますが、今、言われた、各電力会社からの報告書の中で、今回福島で起きているでしょ?この冷却水を確保するための電源機能を、長時間に亘って、失うと、こういう事態を想定されたものは、あったんですか、なかったんですか」
海江田経産相「シー、今も、お話をいたしましたけれども、とにかく電源の、この複数化と申しますか、備えを十分に行うということがございます」
井上哲士議員「つまり、隣の原発などからですね、引いたら確保できるということで、長時間失うということは想定していなんですね。そういう報告書を政府は、了承してきたわけなんです。
ま、それもそのはずでありまして、えー、原子力安全委員会は90年に作った、原子炉の安全設計指針というものがあります(右手で書類を示す)。こう書かれておりまして、えー、長時間に亘る、外部電源の喪失は、送電線の復旧または、非常用交流電源設備の修復が期待できるので、考慮する必要がないと、わざわざ考慮する必要がないと、安全指針自身が言ってるんですよ(書類を数回指で叩き示す)。
ま、これはですね、電力会社がそういうことを想定していないのは当たり前なわけでありまして、なぜ、安全委員会は、この長時間の電源喪失は考慮する必要はないと、こういう指針を作ってるんですか」
斑目委員長「ただ今、あの、井上委員がご指摘になった、あー、とおり、あの、えー、指針は、そのように書かれてございます。この指針の改訂は、平成2年に行われています。えー、従って、平成4年に、あの、むしろシビアアクシデント対策をしっかりやるように、という文書を、えー、提出したところでございます」
井上哲士議員「あのー、意味が分かんないですよねぇ。大体ね、指針はですねぇ、津波については、地震以外の想定される現象と、その他大勢にしかなっていないんですね、全く。
この、おー、必要な、この、おー、ものになっておりませんし、そもそもですね、この安全設計をするときに、地震の強さとか、津波の大きさっていうなどは、あまり想定をする、絶対なりません(ママ。限界を設けてはならないと言おうとしたのか。)。同時にですね、どんな想定をしても、想定外っていうことはあり得ると、いう立場で、重大事故に対する、対策を取ることが必要なんですね。
ところがですね、今、この90年代の指針のあとに、92年にアクシデントマネジメント対策を出したと言われましたけど、そのアクシデントマネジメントの、92年の決定自身が、全く逆の考え方なんですねぇ。こう書いてあるんです。
えー、我が国の原子炉施設の安全性は、えー、現行の安全施設、(「施設」を言い直して)姿勢のもとに、えー、設計、建設、運転の各段階に於いて、多重防護の思想に基づき、厳格な安全確保対策を行うことによって、シビアアクシデントは工学的に現実に起こることは考えられないほど、発生の可能性は十分小さいものになっていると。
こういうふうに(書類を持ち上げ)書いてるんですねぇ。ですから、90年の指針で、不十分だっただけじゃなくて、むしろ92年のアクシデントマネジメント対策で、改めてですね、安全神話を宣言しているんですよ。こういうことがですね、事態をつくってきたわけで。ですから世界各国は、チェルノブイリの事件などを受けて、重大事故対策を強めているのに、日本は現実に起こることは考えられないって言って、むしろですね、国の規制対象から外して、電力会社に丸投げしたんですよ。
ですからね、今回の事故が起きても、この間、東電社長、予算委員会に来られましてけれどね、国の範囲内でやってきましたと、こういう発言になるわけですね。
総理ね、やはりそういう安全神話の話のもとで、重大事故に対する、構えも備えもなかったと、いうことが、私は、今回の深刻な事態をつくり出したと、思っておりますけども、総理、如何お考えでしょうか」
要するに井上議員が言っていることは、原子力安全委員会の委員長以下のスタッフは内閣総理大臣が任命、内閣府に置かれた国の機関であることを前提として、原子力安全委員会策定の国の指針・規制の元に東電は原子力発電事業を行っている。当然、その指針・規制に誤り、もしくは不備が関係している重大な事故に関しては国の責任となるということであろう。、
菅仮免「ま、現時点では、エ、まだ、アー…、原発事故が、あー…収束しておりませんので、シ、先ずは何を、於いても、収束の、努力をすることが、ま、当然、必要だと考えております。
シー、その上で、今、あー、ご指摘のありましたように、では、なぜこれだけの重大事故を、の発生を防げなかったのか、シー、これまでの、おー、考え方が十分だったのか、これもまた、あー、徹底的な検証しなければ、ア、ならない段階が、そう遠くない時期に来ると思っています。
エ、私も、おー、当初、おー、事故の、発生、そしてすべての電源が、あー、落ちたと、シ、さらには、あー、電源車を持っていけば、あー、大丈夫だというご指摘もありましたけども、電源車が着いても、なかなか、あー、電源がつながらない等の、経緯を見ていて、シ、やはり、えー、想定外という言い方はやはり、これだけ重大な問題では、あー、あってはならない。今後考えるときには、シ、そういうことをまさに、えー…、想定外と、言うようなことが、ないようにあらゆることを想定して対応していかなければならないと、こう考えております」
原子力安全委員会作成の指針や規制に不備・不足があった可能性に対する重大性の認識を全然感じることができない、他人事のような答弁となっている。その象徴が、「徹底的な検証しなければ、ア、ならない段階が、そう遠くない時期に来ると思っています」の、「徹底的な検証」を前置きしているが、その言葉に込められていいはずの決意は何も窺わせることはない、逆にそういった決意からは程遠い「遠くない時期に来ると思っています」という言葉に現れている。
「時期」は周囲の状況からそうなるものではなく、国の責任者として自分から求める「時期」としなければならないはずだが、そうはなっていない発言となっている。
井上議員「ま、あのー、ま、想定外ということが、この間、何度か言われたわけですが、我が党は、地震や津波が起きて、えー、電源がすべて失われて、エ、炉心の冷却ができなくなると、ま、こういう事態が起こることは、あ、この間国会でも、指摘してまいりましたし、東電にも申し出をしてきました。これにね、耳を貸さなかった東京電力、そして、歴代自民党政府の、この責任は大きいんですよ。
同時にですね、この安全神話を受け継いだ、民主党の責任も政府の責任もこれは、当然、問われなくちゃなりません。
しかしねぇ、この間の対応を見ておりますと、ホントーにこの安全神話に対する、真剣な反省があるんだろうかということを、感じるわけですね。例えば、説明責任一つを取っても、東電はですね、あの、放射能の放出状況などの、キソ、基礎的なデータも、まだすべて出してないんです。
あの、政府が求めてもまだ出してないデータがあるんですね。そして、あの、政府からの色んな説明、原発の現状とか、今後の見通しについても、とっても納得できる説明でないと、関係自治体や住民からも出てるわけですよ。ですから、これまでずっとですね、原発、原発というのは安全だ、安全だと、大丈夫だと、こういう説明・公報しかずっとしてこなかった。
私はね、この枠から、今の対応がまだまだ今の姿勢がまだ変わっていないと思うんです。先程収束が、大事だと言われました。本当にそうです。収束に対してですね、ホントーに、あの全体の英知を結集する、点でも、私はきちっと情報を出していくっていうことが必要だったと思うんですが、それがなされていないわけで、やはり、こういう安全神話への根本的な反省があって、しっかり情報を国民の前に明らかにしていく。
このことが私は、この、今の危機対応ができるかと思いますけども、改めて総理、その情報という点で如何でしょうか」
菅仮免は事故は収束していないから収束の努力をしなければならないを持ち出すことによって、初動に始まった事故対応の不備・遅滞から目を逸らす口実に使っているに過ぎない。
海江田経産相「シー、お答えいたします。あの一つだけご理解をいただきたいのは、あのー、先ず地震が起きて、津波が来て、そして電源喪失しましたから、一時期のこの、パラメーターと申しますか、資料がないことは事実でございます。全部が全部揃っているという状況ではございません。
しかしですね、やはりこの、ある、手元にある資料は全部出すようにということで、先ず私は、あのー、資料の保存ですね、それを先ず命じました。そしてですね、先だって衆議院の経済産業委員会で、御党の吉井委員から、ご指摘がございましたから、私は昨日ですね、文書にしまして、なかなか出てまいりませんので、文書にしまして東京電力にはっきりと、その資料を全部出すようにということを命じましたので、まもなくそれが上がってくると思います。
そうしましたら、委員会を通じて、えー、みな様方にしっかりとお示しを申し上げます」
東電が情報を隠している様子を窺うことができる。
井上議員「えー、きちっと示していただきたいんですが、また、ここここに至るまでまだ東電が、あ、資料を、データを全部出していないってこと自体は極めて重大なんですね」
民主党が昨年打ち出した、2030年までに新しい原子炉を14基つくるという「エネルギー基本計画」に追及を変える。
荒井広幸新党改革議員「新党改革の荒井です。被災者のみなさんには今も悲しみに、そして不安に、政府の対応にも不満を持っています。山のような、そういう気持です。原発について集中的にお尋ねをいたします。
これまでの、おー、政府の取組み、勿論、今までの自民党政権にしても責任があります。同時に今回の対処については、民主党政権が責任があるのは当然だと思いますが、どーもこの1ヵ月半、総理を始め閣僚のご意見を聞いていても、誰ーがどこに、何の責任を取るのか全く分からない。東電にやらせてんのか、東電に責任があるのか。自分たちに責任があるというならば、どういうところに責任があるのか、何をするのか。
総理、それを見せてもらわないと、分からないんです。総理、責任はどこにあるんですか。この人災である原発事故については」
菅仮免「原子力事業、えー、特別措置法という法律があることはご存知だと思います。普通の場合はですね。例えば、何らかの製造、おー、会社が、その工場で、事故が起きたからといって、えー、まあ、消防とか、は、勿論来ますけども、政権が直接、ウー、その、オー…、ことについて資料を出したりすることは、普通の場合はありません。
ただ、原子力が重大な事故を起こす、ウー、起した場合、いわゆるその法律に基づく、10条、15条の、オ、規定によって、原子力事態、イー、緊急宣言を、いたしまして、そして、えー、そうした本部をつくるということが法律で定められて、いるわけであります。
そういった意味で、こういう事故が、起きた場合の対応について、政府が、あー、あるいは私が本部長でありますから、総理にそういう、エ、責任が、あー、ある、という、ことについては、私は否定を、いたしません。
シー、同時に、原子力、発電所そのものは、あー、先ずは、当事者である、事業主である東電が、この、おー……、(右手を回し)操作をして、いるわけですから、オペレーションしているわけであります。
同時に保安院がそれを、えー、常時チェックしているわけであります。さらには原子力安全委員会が、ア、そうした基本を、をー、安全の基準を、出しているわけでございます。
そういった意味では、ア、当事者を含め、そうした関係機関と、おーしっかりとですね、情報を共有しながら、あー、このー、おー、ゲン、原子力のオー、事故の、収束に向けて全力を挙げていく。えー、このことを、我々、事故が起きて以来、全力を挙げて、行っているというのが、現状であります」
菅仮免は原子力発電所に事故が起きた場合は原子力事業特別措置法に従って原子力事態緊急宣言を発令、対策本部を設置することだけを政府と対策本部長を務める自身に責任があるとしている。
何と狭い責任論なのだろう。大体が社会一般の製造工場を持ち出して、その工場が何らかの事故を起こした場合は政府に責任はないの譬えとする判断能力・責任能力は狂っているとしか思えない。
しかも、原子力安全委員会が内閣府に所属し、保安院が経産省に所属していながら、この2者と東電を併せた3者の外に菅政府を置いて、それでも3者の責任に言及するならまだしも、責任論を収束の話に矮小化する誤魔化しを働かせている責任意識の欠如は鉄面皮そのものとしか言いようがない。
荒井議員「委員長、さっぱり分かんないです(議場から失笑)。佐藤エイサク福島県知事が4月21日、総理との話し合いの中で、それは分かったと、国が責任を持つって言っているんです。佐藤、オ、雄平、知事ですね、そういう意味で言うと、私、これ、国の責任逃れかな。
東電は一義的にはこれはもうきちんと責任がある。みなさん、何遍も言っている。これ、もう、東電に責任、ぎっちりと、負わせるのは当然ですよ。しかし、国が責任を負うことじゃないんですか。
原発は国策じゃないんですか、総理」
菅仮免「ま、責任という言葉、あー…、が、あのー、色々な意味を持っておりますが、私は、確かに補償を含めて、そういった問題について一義的に、イー、東電が、あるけれども、しかし、最終的には国が責任を持つということは、あの佐藤知事にも申し上げました。えー、そういった意味での責任であれば、全くおっしゃるとおりです」
荒井議員「そういう意味がどういう意味か分からないんです(再び議場内から失笑)。じゃちょっと総理、形を変えますね」
操業できなくなった工場や生産活動ができなくなった農業等に対する政府による直接的な補償の要請に移る。
菅仮免はここでも責任問題を東電の補償が足りない分の政府の補償に責任を限定する矮小化を行っている。原子力安全委員会が安全神話作りに手を貸したことの責任、国の指針や規制が甘かったことの責任、保安院のチェック・監督の機能不全、東電の情報伝達の遅滞、あるいは隠蔽の可能性等のすべての最終責任は政府にあるという責任意識を全く欠いている。
3人の質疑者を取上げて、菅仮免の責任意識、合理的判断能力を見てきたが、一国のリーダーにふさわしいとは決していえない責任意識、合理的判断能力であり、今に始まったことではない責任回避意識・言い逃れだけが目立つ、呆れるばかりの答弁となっていた。
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