現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

尺八の値段と価値

2009-04-22 10:03:39 | 虚無僧日記
尺八は“竹”ですから“タケェ”です」。

バブルの頃は、皆、70~100万もする尺八を競い
合って買い、竹を自慢しあった。私の会員さんの
方が、私よりいい尺八を持っている。

私の尺八は安物ばかりだ。子供の頃は、尺八など
買ってもらえなかったので、箒の柄や物干し竿、
水道管などを切って作った。中学生の時、小遣いを
ためて、ようやく1,800円の練習管を買った。

20代ですでに詩吟の伴奏で稼ぐようになったが、
詩吟の伴奏には、長いの短いの最低3本、全部で
12本。まともに竹で揃えたら、100万円以上は要る。
大卒初任給が3万の頃である。とても買えない。

今も、短い管は水道管や箒の柄で作ったもの。他は、
数千円から数万円で買ってきて、長年かけて自分に
合うように改良した物を使っている。

というわけで、私が現在持っている尺八は、これと
同じ物を購入しようとすると、一本100万円以上
出しても手に入らない。だから、再調達価格は
1,200万以上になる。ところが、私しか吹けないので、
他の人にとっては一文の価値もない。私以外誰も
吹きこなせないのだから、資産価値は0。

あの世にまで持って行くしかないか。



地無し管

2009-04-22 08:22:11 | 虚無僧日記
尺八は、地漆などで管の中のデコボコを埋め、
物理的に鳴るように修正して作る。
その作業が、製管師の長年の経験と勘で、
塗っては削り、また塗っては磨きの繰り返し
だから手間ひまがかかる。そうやって時間を
かけて作っても、竹自体の素材の良し悪しも
あって、思うように鳴らなかったりする。

100本作って1本、いいのが出来れば、値段は
勢い数十万円からウン百万になる。
バブルの頃は、70~100万もする尺八を競い
合って買い求め、竹を自慢しあった。

昨今はそうはいかない。旦那衆が趣味に何十
万もの金を出せなくなった。そして、“地”を
入れない“地無し管”がブームになってきた。
洋楽器のようには鳴らないが、竹本来の響きが
直接指に伝わり、なんともいえない快感がある。

竹を切って孔をあけるだけなら、誰でもできる。
それでも買えば高い。数万円から100万円以上まで
ある。自然のままで鳴るのは、それこそ何百本に
一本の稀少価値だからだ。

先日モスクワから来たサーシャも、ロシア産の
竹でロシア人が作ったもの。太くて物干し竿の
ようなもので、私は吹けないが、彼は上手に吹き
こなす。他人は吹けない、“自分だけの尺八”と
いう満足が、地無し管のブームを呼んでいるようだ。

虚無僧尺八の復活は、虚無僧的な生き方が求めら
れている兆しだ。



自作の尺八で

2009-04-22 07:09:31 | 虚無僧日記
新しい会員さん3人のお名前が「立松、植松、松野」と
皆「松」が付く。「“三蓋松”(さんがいまつ=家紋の名)の
グループ名でデビューしよう」。「10年後か?。その時は
もう“老松”(おいまつ)じゃ」なんて冗談いいあっている。

立松さんと植松さんは、尺八を吹くことより作ることに主眼。
昨日は、立松さんが自作の第一号を持ってみえた。延べ管で
地無しだが、結構鳴る。音階もまぁまあ。練習用には充分だ。
自分で作った尺八を吹きこなす。そんな楽しみ方が尺八には
ある。

今日は植松さんが、自作の尺八を持ってくる。さてどんなかな?